第二話~状況把握~
アイルとともに詳しい現在の状況を確認する……
「ここは、魔界にある人間の国、シャリーにある村の1つだよ。」
なんだって……? 魔界……?
「魔界って……冗談だろ!?」
俺は思わず掴みかかっていた。アイルの予想外の言葉に、動揺してしまったのだ。だがそれもしかたないだろう。いきなりそんな、魔界だなんて言われたら。
「その反応、やっぱり君は人間界の人なんだね。黒髪黒目なのに、魔力の質が違うみたいだから、変だと思ったんだ。」
どうやらアイルはわかっていたらしい……。それにしても魔界だとか人間界だとか、訳がわからない。思っていることが顔に出ていたのか、アイルが説明を始めてくれた。
「この世には3つの世界が存在するんだ。1つは、君が今まで生活していた人間界。その名の通り人間しか暮らしていない。魔力も何にも持たない、普通の人たちだね。2つ目はここ、魔界と呼ばれている世界だ。魔界で暮らしている人口の7割が魔族と呼ばれる種族で、魔術を扱うのに長けている。漆黒の翼を生やし、必要な時には空を飛ぶ。魔族は皆、黒髪黒目なんだ。残りの3割は人間界にいる人たちと変わらない人間が暮らしているんだ。ただ1つ違うのは、魔界の人間は皆茶髪に茶目で、それ以外の色の持ち主は存在しない。最後の世界は天界と呼ばれている。所謂神とか、天使とかが暮らしているんだ。魔術の代わりに神術というものを使う。彼らには金髪碧眼か、銀髪蒼眼の持ち主しかいない。魔族と同じように、純白の翼を持っている。魔界と同じように、全人口の2割ほどは人間なんだ。彼らもまた、茶髪で茶目しか持たない。普段は、この3つの世界は切り離されていて、繋がることはない。 一度に説明したけど、わかったかな?」
正直に言ってしまえば信じたくなかった。魔界だとか魔族だとか神だとか、空想のものだと思っていたのだ。いきなり普通に存在すると言われても、にわかには信じられない。だが、世界云々を置いておいても、1つ疑問に思うことがある。
「仮にその話を信じるとして、じゃあなんで俺はこの、魔界に来たって言うんだ? 話を聞く限りじゃあ3つの世界は切り離されているんだろ? それにさっき俺に、魔力がない、ではなく、魔力の質が違うって言った。人間界の人間は、魔力がないはずなのに、だ。この2つは、かんけいあるんだろう?」
俺の畳み掛けるような質問に、アイルはゆっくりと微笑を浮かべた。そして徐に口を開いた。
「そう、君の言うとおりだ。とはいえ、僕も詳しいことはわからない。だから今から言うことは憶測になる。それでも聞くかい?」
俺は何の迷いもなく、アイルの言葉に頷いた。
「聞きたい、みたいだね。わかった。ただし、これは本当に僕の推測に過ぎないということを理解して聞いてくれよ。……君は人間界に生まれ、魔界のことも天界のことも知らずに普通の人間として過ごしてきた。だけど何故か、君は魔力を持っていた。」
「ちょっと待ってくれよ! 俺に魔力があるなんて、何かの間違いじゃないのか?」
一度聞いたとはいえ世界のことと同じくらい信じられないことだ。俺は思わず口を挟んでしまった。
「だから、僕の憶測だって言っただろう。大人しく聞けないならやめるけど。」
アイルの思わぬ低い声に俺はぶんぶんと首を横に振った。
「じゃあ、続きを話すよ。……その魔力は魔族のものとは少し違うようだけどね。そして、その魔力が何の作用をもたらしたのか、君をこの魔界に連れてきたってわけ。」
部屋には長い沈黙が下りた。俺も何も言うことができない。憶測とはいえ、全く否定もできないのだから。
「……仮にそれが本当だとして、俺が元の世界に帰れる確率は……?」
「……そうだね、まだなんとも言えないけど、僕の生まれ育った国に行けば何かわかるかもしれない。」
「本当か!?」
「かもしれないって言っただろ? ここにいるよりは、魔族の国である僕の生まれ故郷に行けば、何かわかるかもしれないっていう程度だ。」
薄々気づいてはいたが、アイルは魔族なのか……。それに、何もしないでいるよりはましだ。
「わかった行くよ。それで、どうやって行けばいいんだ?」
アイルは一瞬呆けた顔をした。そしてその後、柔らかく微笑んだ。
「何を言っているんだい? 僕も一緒に行くよ。それに、あそこはちょっと口で説明しただけでは行けないよ。」
まさかアイルが一緒に行ってくれるとは思わなかった。それは本当に助かる。何せ何もわからない世界なのだから。
「アイル、ありがとう。よろしく頼む。」
「あぁ。」
こうして俺の、長い旅が始まった。
第二話、こんな感じでした。いかがでしたでしょうか。
次回ではこれからの行動方針などを決めたいと思います。




