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星の下  作者: 路傍の石
15/21

夕焼けの飛行船 4

「星の家? へ~、そんなのあるんだ」


翌日、僕は早速東海林を誘った。

晴れた日だったのであの望遠鏡も問題なく見えるだろう。


「今日一緒に行かない?」

「行く行く! 面白そうだし」


東海林は遠くを見ながら楽しそうに笑った。

本当にあどけない子どものような顔だ。

でもその陰に、僕にはない何か深いものを感じる。


時々それが恐くなる。

でも逆に、そんな東海林だからこそ何でも話せるような気がした。

東海林にとって僕はどうなんだろう、それだけが気がかりだ。


学校帰り、僕らはその足で電車に乗った。

東海林は暮れていく車窓の外を眺めながら、

哀愁を帯びた瞳にその景色をしみ込ませた。

僕が見ていることに気付くと、ふっと力を抜く。


「楽しみだなぁ、星の家。やっとあの空の向こうが見れるんだね」


僕は今更になって胸が高鳴っていることに気付いた。

さらっと誘ってしまったがこれは二人の初デートだ。

しかも星の家には工藤さんが居る。

デート兼知り合いへの紹介……という2つのハードルが

突如として僕にのしかかってきた。

星の家へはあっという間に到着する。悩んでいる暇などない。

僕は一人気合を入れて鞄の持ち手を強く握った。


「いらっしゃい! 待ってたよ」


星の家の自動ドアの前で、

工藤さんはこれでもかという程の営業スマイルを見せた。


「こんばんは。あの、チケット2枚ください」


僕が財布を出そうとすると工藤さんがそれを制止した。


「ストップ! 今日二人は私の友達扱いだから、お金はいらないよ」


工藤さんがそう言うと東海林は何かを悟ったように頷いた。


「工藤さんですよね。初めまして! 田辺先輩から話は聞いてます」

「こ、こちらこそ初めまして! 噂の工藤です」

「本当に良いんですか? お金」

「もちろん! 田辺君とは付き合い長いからさ」


東海林はペコリとお辞儀をしながら、流れるように僕に腕を絡ませた。

その自然な動作に驚く暇がない僕に優しく笑いかける。


「先輩! 案内してね」


いつもと少し様子が違っていた。

それも工藤さんの最後の一言を聞いてからだ。

何か誤解させたのかもしれないが、僕はそれを否定する必要性を感じず

しばらく東海林の言動を楽しむことにした。


星の家の展示を見ながら東海林は思いのほか楽しんでおり

特に月の石に対する食いつきは半端ではなかった。

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