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コーヒーショップ 2
「それでどうなったんですか?」
野口は相変わらず何を考えているのかわからない表情で、
真剣に僕を見つめた。
どうしてこんな昔話を野口にしているのだろう。
自分でも気付かないうちに彼女の口車に乗ってしまったようだ。
「それから少しして坂田は転校したよ。今は連絡も取ってない」
「そうなんですか……お姉さんへのロケットなんてロマンチックですね」
野口はカフェモカをスプーンでかき混ぜながら
ウィンドウ越しに流れる人々を眺めていた。
「私もね、小さい頃から入院している弟がいたんです。最後は家で看取ったんですよ。
まだ幸せだったかもしれませんね」
「ごめん、こんな昔話……」
「いえ! 私が聞きたかったんです。できればもっと話してください」
野口は優しく僕に笑いかけた。
彼女の前ではうっかりすべてをさらけ出してしまいそうになる。
とても緩やかな暖かさが体中を巡るような気がする。
……あのときもそうだった。




