坂田のロケット 4
水が噴き出る音とロケット花火の破裂音で一瞬耳が遠くなる。
ロケットは物凄い勢いで上……には飛ばずに中空でグルグルと何周も回った。
その姿はまるで火炎太鼓のように神々しく、力強い。
ああ……と僕らはただ口をポカンと開けて中空を舞う暴れ馬に目を奪われた。
「逃げろ!」
僕はハッとして坂田とグラウンドの中心から走り出した。
何故か腰が抜けそうなぐらいにビビりながら。
ロケットはもはやミサイルと化し、
オレンジのネオンを伴いながら幾度となくグランド中にぶつかり、
数メートル弾んだ。
シューシューと唸った後、
ミサイルはコツンと乾いた音を立てて墜落した。
周囲に焦げた臭いが漂う。発射は失敗に終わった。
動力にロケット花火を選んだのは完全に間違いだった。
「回ったね」
「……めっちゃ回ったな」
僕らは顔を見合わせると腹を抱えて笑った。
こんなにも清々しい気分は久しぶりだ。
ド派手な演出に反する「回る」というアクションに
さっきまでの真剣なムードは吹き飛んで、
あたりがパッと明るくなったような気さえした。
「坂田ごめん、全然飛ばなかった」
グラウンドに大の字に寝転びながら僕は坂田に謝った。
「いいよ、飛ばないのはわかってたし。久しぶりにこんなに笑った」
坂田は胡坐をかいて僕の横に座った。
「まだ焦げ臭いなぁ。こんなに広いグラウンドでもやっぱり臭うもんだね」
グランドにくっついた背中は冷たくて固く、自分の背骨の形が手に取るようにわかった。
「あれ、掃除しよう」
坂田はバラバラになったロケットを指差した。
「きっと坂田の姉ちゃんも笑ってるぞ。こんな馬鹿なこと我ながらよく考えたよ。
あんなに真面目にさ」
僕らは立ち上がって星空の下、砕けた欠片を拾い集めた。
まるであのロズウェル事件を再現しているようで
なんだかワクワクした。




