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第6話 伝説の豆を探せ

世界樹の根元が割れた。


ゴゴゴゴゴ……


大地が震え、巨大な石扉がせり上がる。


その中央に古代文字。


原初の焙煎庫プライマル・ロースタリー


……名前がもう強い。


古竜バルザロスが震えている。


「伝説は本当だったか……」


魔王がつぶやく。


「神々以前に存在した珈琲文明」


壮大になってきたな。


勇者が剣を抜く。


「行こう」


なんで当然のようにパーティ化してるんだ。



十分後。


なぜか冒険隊が結成された。

•モリトモ(バリスタ)

•魔王ゼルガディア

•勇者アレス

•女神セレスティア

•古竜バルザロス


バランスおかしい。


俺だけ職業が喫茶店。



地下へ降りる石階段。


薄暗い遺跡。


壁には奇妙な壁画があった。


古代人がコーヒーを掲げ、争いを止めている。


女神が読む。


「“一杯は剣より強し”」


思想が強い。



第一の試練はすぐ現れた。


巨大な石像。


六本腕。


目が光る。


守護者だ。


石像が響く声で言う。


「問う」


来たな、謎解き系。


「珈琲とは何か」


全員沈黙。


魔王が言う。


「深煎り」


違うと思う。


勇者。


「士気向上飲料」


軍隊すぎる。


女神。


「浄化媒体」


宗教寄り。


古竜。


「焙煎哲学」


長い。


石像の目が赤くなる。


不正解らしい。


やばい。


その時、俺は言った。


「……人と人の距離を少し縮めるもの、かな」


沈黙。


石像が止まる。


やがて、道が開いた。


勇者が言う。


「主人公みたいな答えだな」


やめてくれ。



第二の試練。


毒キノコ迷宮。


完全にRPG。


魔王が前衛。


勇者が護衛。


女神が回復。


古竜が空から偵察。


そして俺だけ荷物持ち。


「俺の役割!」


「珈琲担当」


そうだけど。



迷宮最奥。


ついに見つけた。


祭壇に一粒だけ置かれた黄金の豆。


光っている。


神々しい。


古竜が震える。


「原初の豆……!」


その時。


黒い影が現れた。


フードをかぶった男。


不穏。


「待っていたぞ」


「誰だ!」


勇者が剣を構える。


男はフードを外した。


老人だった。


髭もじゃ。


ローブ姿。


目だけ異様に鋭い。


「我は豆仙人」


豆仙人いるんだ。



老人は笑う。


「原初の豆は渡せぬ」


魔王が前に出る。


「なぜだ」


「最後の試練がある」


嫌な予感。


豆仙人は指を立てた。


「究極の一杯を淹れよ」


バトルじゃなくてバリスタ勝負か。


助かったのか困ったのか分からん。



即席珈琲決闘が始まった。


豆仙人は神業で淹れる。


湯が芸術。


香りが暴力。


強い。


古竜が震える。


「……伝説級」


俺、勝てるのか?


その時。


仲間たちを見る。


魔王の不器用な優しさ。


勇者の真っ直ぐさ。


女神の孤独。


古竜の情熱。


全部、ここまで一緒だった。


俺は微笑んだ。


《感情抽出》発動。


仲間たちの想いを一滴ずつ抽出。


原初の豆で淹れる。


完成。


名付けて――


「世界平和ブレンド」


タイトル回収きた。


豆仙人が飲む。


沈黙。


長い沈黙。


やがて一言。


「……負けた」


勝った。


コーヒーで。



原初の豆は授けられた。


だが豆仙人は言う。


「だが気をつけよ」


「何を」


老人の顔が曇る。


「この世界には“紅茶帝国”がある」


……は?


「奴らは珈琲を滅ぼそうとしている」


ジャンル変わった。


飲料戦争始まるの?


俺は頭を抱えた。


ただコーヒーを淹れていただけなのに。


なぜか茶戦争に巻き込まれそうだった。



新メニュー追加。


世界平和ブレンド

飲むと争う気が薄れる場合があります。



つづく


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