表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残響の庭  作者: とま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/120

第97話「新しい命」

 ある日——玲が、柊に告げた。


          ◇


「柊——話があるの」


 玲の表情は——少し緊張していた。


「どうした——」


「私——妊娠したみたい」


 柊は——一瞬、言葉を失った。


「妊娠——」


「うん。病院で——確認した」


 柊の目から——涙が溢れた。


「本当か——」


「本当よ」


 玲も涙を流していた。


「よかった——」


 二人は——抱き合った。


          ◇


 結婚して——四年。


 子どもは——できないかもしれないと、思っていた。


 でも——ようやく、新しい命が宿った。


「嬉しい——」


 柊が言った。


「私も——」


「父親に——なるんだな」


「そうよ」


 玲は微笑んだ。


「いいお父さんに——なってね」


「努力する——」


          ◇


 職場で——報告した。


「おめでとうございます——」


 田所が言った。


「ありがとう——」


「水無瀬さんが——父親になるんですね」


「そうだな——」


 柊は照れくさそうに笑った。


          ◇


 残響たちにも——伝えた。


「柊おじさん——赤ちゃんができたの?」


 美優が嬉しそうに言った。


「ああ——」


「すごい——おめでとう」


「ありがとう——」


「私——赤ちゃん、見てみたい」


 柊は微笑んだ。


「生まれたら——会わせるよ」


「本当——?」


「約束する——」


 美優は——嬉しそうに跳ねた。


          ◇


 夜、柊は考え込んでいた。


 新しい命——それは、希望だった。


 でも——同時に、責任も感じていた。


「玲——」


「何——」


「俺——いい父親に、なれるかな」


「なれるわよ——」


「どうして——そう思う」


「だって——」


 玲は柊を見た。


「柊は——残響たちを、ずっと大切にしてきた」


「……」


「美優のことも——自分の子どものように、可愛がってる」


「ああ——」


「だから——大丈夫。いい父親になれる」


 柊は——安心した。


「ありがとう——」


「私こそ——」


 玲は柊の手を握った。


「一緒に——頑張ろうね」


「ああ——」


          ◇


 新しい命が——宿った。


 死者と向き合う仕事をしながら——新しい生命を迎える。


 それは——不思議なことだった。


 でも——柊は思った。


 死と生は——繋がっている。


 死者を送り出し——新しい命を迎える。


 それが——人間の営みなのだと。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ