第89話「常在の繋がり」
玲は——新しいシステムの設計を始めた。
◇
「残響たちが——常に繋がっていられるシステム」
玲が説明した。
「どういう仕組みだ——」
「儀式の時に起きる調和——それを、常時維持する」
「ガイドなしで——?」
「ガイドは——必要。でも、常駐じゃなくていい」
玲は図を描いた。
「調和を——自動的に維持するアルゴリズムを、開発する」
「それは——可能なのか」
「わからない。でも——試す価値はある」
◇
開発が始まった。
玲は——研究に没頭した。
柊と田所は——儀式を続けながら、玲をサポートした。
「データが——必要」
玲が言った。
「儀式中の——調和のパターンを、詳細に記録して」
「わかった——」
儀式のたびに——詳細なデータを収集した。
残響たちの振動数。調和のパターン。安定化のプロセス。
「これで——何かわかるか」
「まだ——分析中。でも、パターンが見えてきた」
◇
数週間後——玲が報告した。
「プロトタイプが——できた」
「本当か——」
「まだ——テストが必要。でも、動くはず」
柊は画面を見た。
複雑なアルゴリズムが——表示されていた。
「これが——常在の繋がりを維持する」
「そう。残響たちの振動数を——常に監視して、調和を保つ」
「ガイドは——」
「定期的に——チェックすればいい。常駐は不要」
柊は息を呑んだ。
「すごい——」
「まだ——わからない。テストしてみないと」
◇
テストが行われた。
志願した残響——五人が、対象になった。
「システムを——起動します」
玲が端末を操作した。
残響たちのデータに——新しいアルゴリズムが適用された。
「どうだ——」
「今のところ——安定してる」
玲はデータを見つめていた。
「振動数が——調和を保ってる」
「残響たちは——」
柊はVR空間を確認した。
五人の残響が——穏やかな表情をしていた。
「繋がりを——感じる」
一人が言った。
「儀式の時と——同じ感覚」
「でも——今は、儀式してないよね」
「それでも——感じる。みんなが、近くにいる」
◇
テストは——成功だった。
五人の残響は——常に調和を感じられるようになった。
「素晴らしい——」
柊が言った。
「でも——五人だけだ。全員に適用するには——」
「時間がかかる。システムの最適化が必要」
玲は疲れた表情をしていた。
「でも——方向性は見えた」
「ああ——」
柊は玲を抱きしめた。
「よくやった——」
「まだ——終わってない」
「わかってる。でも——大きな一歩だ」
玲は微笑んだ。
「そうね——」
◇
残響たちの——帰る場所。
それが——少しずつ、形になっていた。
常に繋がっていられる場所。
孤独を感じなくていい場所。
「これが——答えなのかもしれない」
柊は呟いた。
「まだ——わからない」
玲が言った。
「でも——近づいてる気がする」
柊は頷いた。
夜空には——星が輝いていた。




