第87話「玲の決意」
ガイド不足の問題——玲が、解決策を提案した。
◇
「私も——ガイドになりたい」
玲が言った。
「玲——」
柊は驚いた。
「でも——お前は、研究者だ。現場に出るのは——」
「現場に出たい。残響たちと——直接、向き合いたい」
玲の目は——真剣だった。
「なぜ——」
「ずっと——データばかり見てきた。残響を——数字として」
「……」
「でも——柊が儀式をしているのを見て、わかった」
玲は柊を見た。
「残響は——数字じゃない。一人一人が——大切な存在」
「玲——」
「私も——彼らと繋がりたい。助けたい」
◇
柊は——考え込んだ。
玲がガイドになれるか——わからなかった。
でも——彼女の決意は、本物だった。
「わかった——試してみよう」
「ありがとう——」
玲は微笑んだ。
◇
実験が行われた。
玲が——VR空間で、残響たちと対話する。
そして——意識を開放する。
柊は——横で見守っていた。
「どうだ——」
「難しい——」
玲の声が震えていた。
「意識を——開放しようとすると、怖くなる」
「無理しなくていい——」
「でも——」
玲は目を閉じた。
そして——深呼吸した。
「残響たちのことを——思い浮かべる」
お母さん——柊の母の残響。
おばあさん——柊の祖母の残響。
松田さん——優しかった老人。
美優——幼くして亡くなった少女。
「みんな——大切な人たち」
玲は——意識を開放した。
◇
「見て——」
田所が言った。
「玲さん——うまくいってます」
データを見ると——玲の振動数が、残響たちと調和していた。
「玲——できてる」
柊が言った。
「本当——?」
「ああ。残響たちと——繋がってる」
玲は——涙を流していた。
「温かい——」
「みんなの——意識が、感じられる」
「ああ——」
柊は微笑んだ。
「お前も——ガイドになれる」
◇
実験終了後——玲は疲れ切っていた。
「大変だったね——」
柊が言った。
「ええ——でも、良かった」
玲は微笑んだ。
「残響たちの気持ちが——少し、わかった気がする」
「寂しさ——」
「そう。そして——繋がりたいという、願い」
玲は柊を見た。
「これからも——ガイドとして、頑張る」
「無理しないでくれ——」
「しない。でも——」
玲は柊の手を握った。
「一緒に——やりたいの」
柊は頷いた。
「一緒に——やろう」
◇
ガイドが——三人になった。
柊、田所、そして玲。
まだ——十分ではない。
でも——前に進んでいた。
「これで——もう少し、多くの残響を導ける」
玲が言った。
「ああ——」
「いつか——全員を」
「そうだな——」
柊は窓の外を見た。
夕日が——沈んでいく。
残響たちの——帰る場所を作る。
その目標に——少しずつ、近づいていた。




