第86話「調和の儀式」
新しい試みが——始まった。
◇
柊と田所は——定期的に、「調和の儀式」を行うことにした。
少人数の残響を集めて——共鳴を導く。
安全に——繋がりを体験してもらう。
「最初は——週に一回」
玲が提案した。
「様子を見ながら——頻度を調整しよう」
◇
第一回の儀式が——行われた。
参加者は——五人の残響。
全員、長期間存在していた人たちだった。
「今日は——皆さんと、繋がりを体験します」
柊が説明した。
「怖がらなくて、大丈夫です。俺が——ガイドとして、見守ります」
残響たちは——緊張した表情をしていた。
「始めましょう——」
柊は——意識を開放した。
◇
共鳴が——始まった。
柊の意識が——残響たちに寄り添う。
残響たちの意識が——互いに近づく。
しかし——溶け合うのではなく、調和している。
「これは——」
ある残響が言った。
「温かい——」
「みんな——一緒にいる」
「寂しくない——」
残響たちは——微笑んでいた。
柊は——その光景を見守っていた。
「よかった——」
◇
儀式は——三十分で終わった。
残響たちは——満足そうな表情をしていた。
「ありがとうございました——」
ある女性の残響が言った。
「久しぶりに——寂しくなかった」
「また——やりたい」
「みんなと——繋がれる」
柊は頷いた。
「また——やりましょう」
◇
儀式の後、玲とデータを分析した。
「成功——だね」
玲が言った。
「残響たちの振動数——安定した調和を保ってた」
「暴走も——しなかった」
「ガイドがいれば——安全に共鳴できる」
柊は安堵した。
「これを——続ければ」
「残響たちの——存在意義が、回復するかもしれない」
「繋がりが——あれば」
「そう」
玲は微笑んだ。
◇
調和の儀式は——定期的に開催されるようになった。
参加者は——徐々に増えていった。
口コミで——効果が広まっていた。
「あの儀式——良かったよ」
「俺も——参加してみたい」
「寂しさが——和らぐらしい」
残響たちの間で——儀式への関心が高まっていた。
◇
しかし——問題もあった。
「参加希望者が——増えすぎてる」
田所が報告した。
「今のペースじゃ——対応しきれない」
「ガイドが——足りない」
「そう。俺たち二人だけじゃ——」
柊は考え込んだ。
「もっと——ガイドを育てないと」
「でも——素質がある人は、少ない」
「わかってる。でも——」
柊は玲を見た。
「何か——方法があるはずだ」
玲は頷いた。
「考えてみる——」
新たな課題が——浮上していた。




