表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残響の庭  作者: とま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/120

第68話「新たな発見」

 対策は——順調に進んでいた。


 オンライン面会の利用者が増え、残響同士の交流会も定期開催されるようになった。


 しかし——問題は、完全には解決していなかった。


          ◇


「水無瀬さん——また、活性化が記録されました」


 田所が報告してきた。


「Cブロックか?」


「いえ——今度は、Dブロックです」


 柊の眉が寄った。


「広がってるのか——」


「そうみたいです。しかも——」


 田所は端末を見せた。


「今度は——違う言葉が、記録されてます」


『雨が——降っている』

『懐かしい——匂いがする』

『誰かの——記憶が、見える』


 柊は——言葉を失った。


「記憶が——見える?」


「はい。複数の残響が——同じことを、言ってます」


          ◇


 玲に連絡を取った。


「記憶が見える——?」


「ああ。残響たちが——そう言ってる」


 玲は考え込んだ。


「残響は——他の残響の記憶を、見ることができるの?」


「普通は——できないはずだ」


「でも——見えてるって言ってる」


「ああ——」


 沈黙が流れた。


「調べる必要がある——」


「今夜——また、桜の園に来る?」


「ええ。データを——詳しく分析したい」


          ◇


 夜、玲が到着した。


 二人はサーバールームで、データを分析した。


「見て——これ」


 玲が画面を指差した。


「活性化した残響のデータに——異常がある」


「異常?」


「通常、残響のデータは——個別に管理されてる。でも——」


 玲は別の画面を開いた。


「一部のデータが——他の残響のデータ領域に、漏れ出してる」


「漏れ出してる——?」


「ええ。だから——他の残響の記憶が、見えるのかもしれない」


 柊は画面を見つめた。


「なぜ——そんなことが起きてるんだ」


「わからない。でも——」


 玲は深刻な表情をした。


「このままだと——もっと、広がるかもしれない」


「広がる——?」


「データの漏洩が——全体に波及する可能性がある」


 柊は——息を呑んだ。


          ◇


「対策は——あるのか」


「応急処置なら——できる。でも——」


 玲は首を振った。


「根本的な原因が——わからない限り、一時的な対処にしかならない」


「根本的な原因——」


「なぜ——データが漏れ始めたのか」


 玲は考え込んだ。


「残響たちが——『帰りたい』と言い始めたのと、関係があるのかもしれない」


「どういう意味だ」


「残響は——存在意義を見失うと、不安定になる」


「ああ——」


「不安定になると——データの境界が、曖昧になるのかもしれない」


 柊は窓の外を見た。


 雨が——降り続いている。


「残響たちの——存在意義を、取り戻すしかないのか」


「そうかもしれない。でも——」


 玲は柊を見た。


「もう一つ——気になることがある」


「何だ」


「漏れ出してる記憶——特定のパターンがある」


「パターン?」


「死ぬ直前の記憶——が、多いみたい」


 柊の心臓が跳ねた。


「死ぬ直前——」


「ええ。苦しみや——恐怖や。そういう——」


 玲は言葉を選んだ。


「最も——強い記憶が、漏れてる」


 沈黙が流れた。


「それは——まずいな」


「ええ。残響たちが——他の残響の、死の記憶を、見てしまう」


「精神的な——影響が」


「あるかもしれない。だから——」


 玲は立ち上がった。


「早く——対策を、打たないと」


 柊も頷いた。


 新たな問題が——浮上していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ