第119話「未来へ」
季節は——秋になっていた。
柊は——庭で、空を見上げていた。
◇
「パパ——」
陽向が声をかけた。
「何だ——」
「何、見てるの——」
「空を——」
「空——?」
陽向も——空を見上げた。
「きれいだね——」
「ああ——」
秋の空が——高く澄んでいた。
◇
「パパ——」
「何だ——」
「私——将来のこと、考えてるの」
柊は陽向を見た。
「どんなこと——」
「パパみたいな仕事——してみたい」
「残響庭園で——?」
「うん。残響と——話をする仕事」
柊は微笑んだ。
「大変だぞ——」
「わかってる。でも——」
陽向は柊を見つめた。
「みゆちゃんと——話した時、思ったの」
「何を——」
「死んだ人と——繋がれるって、すごいことだって」
「……」
「それを——守りたい」
柊は——胸が熱くなった。
「そうか——」
「パパ——反対しない?」
「しない——」
柊は陽向を抱きしめた。
「嬉しいよ——」
「本当——?」
「本当だ。お前が——俺の仕事に、興味を持ってくれて」
陽向は微笑んだ。
「じゃあ——頑張る」
「ああ。応援する——」
◇
夜、玲と話した。
「陽向が——残響庭園で働きたいって」
「聞いた——」
「嬉しいな——」
「そうね——」
玲も微笑んでいた。
「次の世代が——繋がっていく」
「ああ——」
「柊の仕事が——陽向に引き継がれる」
「そうなるといいな——」
◇
柊は——窓の外を見た。
星が——輝いていた。
「父さん、母さん——」
柊は心の中で語りかけた。
「陽向が——俺の仕事を継ぎたいって」
「喜んでるか——?」
返事はなかった。
しかし——どこかで、二人が微笑んでいる気がした。
◇
「柊——」
玲が言った。
「何——」
「これからも——一緒に、頑張ろうね」
「ああ——」
「陽向のために——残響たちのために」
「そうだな——」
柊は玲の手を握った。
「俺たちは——まだ、やることがある」
「ええ——」
「未来のために——」
二人は——静かに、夜空を見上げた。
星が——無数に輝いていた。
残響たち——彼らもまた、どこかで輝いているのかもしれない。
繋がりの中で——永遠に。




