第114話「広がる波紋」
講演は——大きな反響を呼んだ。
◇
メディアが——柊の講演を取り上げた。
「残響の帰る場所——繋がりの中に」
そのフレーズが——広まっていった。
「水無瀬さん——取材依頼が、殺到しています」
田所が報告した。
「全部は——受けられないな」
「どうしますか——」
「重要なものだけ——選んでくれ」
「わかりました——」
◇
いくつかの取材に——応じた。
「残響技術は——死者を閉じ込めていると、批判されることがあります」
記者が質問した。
「どうお考えですか——」
「閉じ込めてはいません——」
柊は答えた。
「残響は——自由です。存在を続けるのも、成仏するのも、自分で選べます」
「しかし——」
「大切なのは——選択肢があること。そして——繋がりがあること」
柊は記者を見つめた。
「残響は——繋がりの中で、安らぎを見つけています」
◇
社会の反応は——様々だった。
賛同の声もあれば——批判の声もあった。
「繋がり——という考え方は、素晴らしい」
「しかし——やはり、自然な死を妨げているのでは」
柊は——すべての意見を、真摯に受け止めた。
「全員を——納得させることは、できない」
柊は玲に言った。
「でも——対話を続けることは、できる」
「そうね——」
「少しずつ——理解を広げていく」
◇
残響たちからも——反応があった。
「水無瀬さん——講演、見ました」
ある残響が言った。
「嬉しかったです——」
「何が——」
「私たちのこと——理解してくれてる人がいるって」
柊は微笑んだ。
「俺は——ずっと、あなたたちのそばにいる」
「ありがとうございます——」
◇
遺族からも——手紙が届いた。
『水無瀬様
講演を拝見しました。
亡くなった夫の残響と——十年間、会ってきました。
『繋がりの中に帰る場所がある』——その言葉に、救われました。
夫との繋がりは——これからも、続いていくのですね。
ありがとうございました。』
柊は——手紙を読みながら、涙を流した。
「伝わった——」
「よかったね——」
玲が言った。
「柊の言葉が——届いてる」
「ああ——」
柊は空を見上げた。
「父さん——母さん——」
どこかで——二人が微笑んでいる気がした。




