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残響の庭  作者: とま


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113/120

第113話「講演」

 柊は——講演を行うことにした。


          ◇


 残響技術シンポジウム——全国から、研究者や遺族が集まるイベント。


 柊は——基調講演を依頼された。


「テーマは——『残響の帰る場所』です」


 主催者が説明した。


「水無瀬さんの——経験を、お聞かせください」


「わかりました——」


          ◇


 講演の日が——やってきた。


 会場には——数百人の聴衆がいた。


 柊は——壇上に立った。


「本日は——お集まりいただき、ありがとうございます」


 柊は深呼吸した。


「私は——残響庭園で、十五年間、働いてきました」


「その経験から——お話しさせていただきます」


          ◇


「残響は——何のために存在するのか」


 柊は問いかけた。


「遺族のため——それが、一般的な答えです」


「しかし——それだけではありません」


 会場が静まり返った。


「残響は——繋がりを求めています」


「遺族との繋がり。残響同士の繋がり。そして——より大きな繋がり」


 柊はスクリーンに資料を映した。


「私たちは——『常在の繋がり』というシステムを開発しました」


「これにより——残響たちは、常に繋がりを感じられるようになりました」


「結果——『帰りたい』という訴えが、激減しました」


          ◇


「残響の帰る場所——それは、繋がりの中にあります」


 柊は続けた。


「孤独ではなく——繋がりの中に」


「生きている間も——成仏した後も」


「繋がりは——続きます」


 柊は聴衆を見渡した。


「私の母も——残響でした」


「彼女は——成仏しました。しかし——」


 柊の声が震えた。


「彼女との繋がりは——今も、続いています」


「私の心の中に——彼女はいます」


「それが——帰る場所なのです」


          ◇


 講演が終わった。


 会場から——拍手が起きた。


 多くの人が——涙を流していた。


「素晴らしい——講演でした」


 主催者が言った。


「ありがとうございます——」


「水無瀬さんの言葉——心に響きました」


          ◇


 講演後——多くの人が、柊に声をかけてきた。


「私も——母の残響と会っています」


「残響との繋がり——大切にしたいと思いました」


「ありがとうございます——」


 柊は——一人一人と、話をした。


          ◇


 帰り道——玲が言った。


「良い講演だったわ——」


「そうかな——」


「みんな——感動してた」


「伝わったかな——」


「伝わったわよ——」


 玲は柊の手を握った。


「柊の言葉は——本物だから」


「本物——」


「経験に裏打ちされた——本物の言葉」


 柊は微笑んだ。


「ありがとう——」


 空には——夕日が沈んでいた。


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