表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残響の庭  作者: とま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

109/120

第109話「美優の成仏」

 その日が——やってきた。


          ◇


 美優の成仏式には——多くの人が集まった。


 父親、継母、弟。


 柊、玲、陽向。


 そして——美優と親しかった残響たち。


「みんな——来てくれたんだ」


 美優は嬉しそうだった。


「当たり前だ——」


 柊が言った。


「最後まで——見届ける」


          ◇


 式の前に——美優は、一人一人と話をした。


「お父さん——」


「美優——」


 父親は涙を流していた。


「ありがとう。十年間——会いに来てくれて」


「美優——俺のほうこそ」


「新しい家族を——大切にしてね」


「ああ——」


「私——お父さんの娘で、幸せだった」


 父親は——美優を抱きしめた。


「美優——愛してる」


「私も——愛してる」


          ◇


「陽向ちゃん——」


 美優が陽向に言った。


「みゆちゃん——」


 陽向は——不安そうな顔をしていた。


「みゆちゃん——いなくなっちゃうの?」


「うん。でも——大丈夫」


 美優は微笑んだ。


「私——ずっと、陽向ちゃんのこと、見守ってるから」


「見えないのに——?」


「見えなくても——そばにいるよ」


 陽向は——美優を抱きしめた。


「みゆちゃん——だいすき」


「私も——大好き」


          ◇


「柊おじさん——」


 美優が柊の前に立った。


「美優——」


「最後まで——ありがとう」


「俺こそ——」


「柊おじさんは——私の、大切な人」


 美優は涙を流した。


「いつか——また、会おうね」


「ああ——約束する」


 柊は——美優を抱きしめた。


「元気で——行けよ」


「うん——」


          ◇


 成仏プロトコルが——起動された。


 美優の姿が——光に包まれ始めた。


「みんな——ありがとう」


 美優は手を振った。


「私——幸せだった」


 光が——強くなっていく。


「さようなら——」


 美優は微笑んだ。


「また——どこかで」


 彼女の姿が——消えていった。


          ◇


 式の後——静寂が広がった。


 誰もが——涙を流していた。


 しかし——悲しみだけではなかった。


 どこか——穏やかな空気もあった。


「美優——幸せそうだったな」


 柊が呟いた。


「ええ——」


 玲が答えた。


「最後まで——笑ってた」


「ああ——」


 陽向が——柊の手を握った。


「パパ——みゆちゃんは、どこに行ったの?」


 柊は考えた。


「わからない。でも——きっと、いい場所だ」


「いい場所——」


「ああ。みんなが——待ってる場所」


 陽向は頷いた。


「じゃあ——みゆちゃんは、さびしくないね」


「そうだな——」


 柊は空を見上げた。


 美優が——どこかで笑っている気がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ