表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残響の庭  作者: とま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

108/120

第108話「美優の選択」

 責任者になって——一年が経った。


 ある日——美優が、柊に話があると言った。


          ◇


「柊おじさん——私、決めたの」


 美優の表情は——穏やかだった。


「何を——」


「成仏——することにした」


 柊は——心臓が止まりそうになった。


「美優——」


「ずっと——考えてた。いつかは——この日が来るって」


「でも——」


「大丈夫」


 美優は微笑んだ。


「今度は——本当に、決めたの」


          ◇


「なぜ——今なんだ」


 柊が尋ねた。


「私——ここで、十年過ごした」


「ああ——」


「お父さんに——会えた。新しい家族も——見守れた」


「……」


「陽向ちゃんにも——会えた。一緒に遊べた」


 美優の目に——涙が浮かんだ。


「だから——もう、十分」


「美優——」


「私——幸せだった。本当に」


          ◇


「お父さんには——話したのか」


「うん。昨日——」


「何て——」


「泣いてた。でも——『わかった』って、言ってくれた」


 美優は微笑んだ。


「お父さんは——いつも、私の気持ちを、尊重してくれる」


「……」


「だから——安心して、行ける」


 柊は——何も言えなかった。


          ◇


「柊おじさん——」


「何だ——」


「ありがとう」


 美優は柊を見つめた。


「私が——ここにいられたのは、柊おじさんのおかげ」


「俺は——」


「話を聞いてくれた。一緒に遊んでくれた。陽向ちゃんにも——会わせてくれた」


 美優は涙を流した。


「だから——幸せだった」


「美優——」


「柊おじさんが——いてくれて、よかった」


 柊も——涙を流した。


「俺のほうこそ——」


          ◇


 成仏の日が——決まった。


 一週間後。


 柊は——その日まで、毎日、美優に会いに行った。


「今日は——何して遊ぶ?」


「お絵かき——」


「いいよ——」


 二人は——たくさん遊んだ。


 最後の時間を——大切に過ごした。


          ◇


「柊おじさん——」


 ある日、美優が言った。


「何だ——」


「陽向ちゃんに——伝言、お願いできる?」


「もちろん——」


「私のこと——忘れないでね、って」


「伝える——」


「あと——」


 美優は微笑んだ。


「いつか——どこかで、また会おうね、って」


 柊は頷いた。


「必ず——伝える」


「ありがとう——」


 美優は——嬉しそうに笑った。


 少女の笑顔——それは、柊の心に、深く刻まれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ