表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残響の庭  作者: とま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

107/120

第107話「引き継ぎ」

 沢渡からの引き継ぎが——始まった。


          ◇


「責任者として——大切なことを、伝えておく」


 沢渡が言った。


「はい——」


「一つ目——残響を、人間として扱え」


「……」


「残響は——データだ。でも、それを意識するな」


「わかります——」


「二つ目——遺族を、大切にしろ」


「はい——」


「残響だけじゃない。遺族も——大切な存在だ」


 柊は頷いた。


「三つ目——」


 沢渡は少し間を置いた。


「自分を——大切にしろ」


「自分——」


「お前は——仕事に没頭しすぎる傾向がある」


「……」


「家族がいるだろう。玲と、陽向」


「はい——」


「彼女たちを——大切にしろ。仕事だけが、人生じゃない」


 柊は——深く頷いた。


「肝に——銘じます」


          ◇


 引き継ぎは——一年かけて、丁寧に行われた。


 予算管理、人事、対外交渉——


 責任者としての仕事は——多岐にわたった。


「大変だな——」


 柊が呟いた。


「そうだろう。でも——お前なら、できる」


「沢渡さん——」


「何だ——」


「長い間——お疲れさまでした」


 沢渡は微笑んだ。


「まだ——早い。引退まで、もう少しある」


「でも——言っておきたくて」


「……ありがとう」


          ◇


 引き継ぎの合間に——残響たちにも会い続けた。


「水無瀬さん——責任者に、なるんですか」


 美優が尋ねた。


「ああ——」


「すごい——」


「でも——やることは、変わらない」


「どういう意味——」


「残響たちと——話をすること。それが——一番、大切だから」


 美優は微笑んだ。


「柊おじさんらしい——」


「そうか——」


「うん。柊おじさんは——いつも、私たちのこと、考えてくれる」


「当然だ——」


「だから——みんな、信頼してる」


 柊は——照れくさそうに笑った。


          ◇


 一年後——沢渡が、正式に引退した。


 送別会が——開かれた。


「長い間——お疲れさまでした」


 柊が挨拶した。


「沢渡さんから——たくさんのことを、学びました」


 スタッフたちも——感謝の言葉を述べた。


「ありがとう——みんな」


 沢渡は涙を流していた。


「残響庭園は——俺の人生だった」


「……」


「でも——もう、大丈夫だ。水無瀬がいる」


 沢渡は柊を見た。


「頼んだぞ——」


「はい——」


 柊は深く頷いた。


「必ず——守ります」


          ◇


 翌日から——柊は、責任者として働き始めた。


 重い責任——しかし、やりがいもあった。


「頑張ろう——」


 柊は呟いた。


 残響たちのために——遺族のために。


 そして——父の遺志を継ぐために。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ