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残響の庭  作者: とま


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105/120

第105話「陽向と美優」

 陽向が——三歳になった。


 言葉がしっかりしてきて——会話ができるようになっていた。


          ◇


「パパ——みゆちゃんに、会いたい」


 陽向が言った。


「美優に——?」


「うん。みゆちゃん——元気?」


 柊は微笑んだ。


「元気だよ——会いに行くか」


「うん——」


          ◇


 VR空間にログインした。


 美優が——待っていた。


「陽向ちゃん——」


「みゆちゃん——」


 二人は——嬉しそうに挨拶した。


「大きくなったね——」


「うん。三さいに、なったの」


「すごい——」


 美優は陽向を見つめた。


「可愛いなあ——」


          ◇


 二人は——遊び始めた。


 VR空間では——様々な遊びができた。


 ボール遊び、かくれんぼ、お絵かき。


「みゆちゃん——上手」


「ありがとう——陽向ちゃんも上手だよ」


 柊は——二人の様子を、見守っていた。


          ◇


「パパ——」


 陽向が柊を呼んだ。


「何だ——」


「みゆちゃんは——どうして、ここにいるの?」


 柊は——少し考えた。


「美優は——残響だから」


「ざんきょう——?」


「死んじゃった人が——ここにいるんだ」


 陽向は首を傾げた。


「しんじゃった——?」


「ああ——」


「みゆちゃん——しんじゃったの?」


 美優が——柊を見た。


 柊は頷いた。


「そうだよ——」


 美優が陽向に言った。


「私——前に、死んじゃったの。でも、ここにいる」


「どうして——」


「パパみたいな人が——私を、ここに残してくれたから」


 陽向は——じっと美優を見つめた。


「みゆちゃん——かなしい?」


「時々——悲しいよ。でも、今は嬉しい」


「どうして——」


「陽向ちゃんに——会えるから」


 陽向は——美優を抱きしめた。


「みゆちゃん——だいじょうぶ。ひなたが、いるよ」


 美優は——涙を流した。


「ありがとう——」


          ◇


 帰り道——柊は考えていた。


 陽向は——死を理解し始めている。


 でも——怖がってはいない。


 自然なこととして——受け入れている。


「玲——」


 夜、柊は玲に話した。


「陽向が——美優と、死について話してた」


「そう——」


「陽向は——怖がってなかった」


「子どもは——素直だからね」


 玲は微笑んだ。


「死を——特別なこととは、思ってないのかもしれない」


「そうかもしれない——」


「美優がいることで——陽向は、自然に死を学んでるのね」


 柊は頷いた。


「それが——いいことなのか、わからないけど」


「いいことだと——思うわ」


 玲は柊の手を握った。


「死は——怖いことじゃない。自然なこと」


「ああ——」


「それを——陽向が学んでいる」


 柊は——安心した。


 陽向は——健やかに育っていた。


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