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残響の庭  作者: とま


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102/120

第102話「美優の決意」

 美優が——柊に、話があると言った。


          ◇


「柊おじさん——相談があるの」


 美優の表情は——真剣だった。


「どうした——」


「私——成仏しようと、思ってるの」


 柊は——言葉を失った。


「成仏——」


「うん——」


「なぜ——」


 美優は——少し黙った。


「色々——考えたの」


          ◇


「私——ここで、七年過ごした」


 美優が話し始めた。


「お父さんに——会えて、嬉しかった。柊おじさんにも——たくさん話を聞いてもらった」


「美優——」


「でも——最近、思うの。私——いつまで、ここにいればいいんだろうって」


「……」


「お父さんには——新しい家族ができた。弟も——大きくなってる」


 美優の目に——涙が浮かんだ。


「私——お父さんの邪魔に、なってるんじゃないかって」


「そんなことは——」


「わかってる。お父さんは——毎週、会いに来てくれる。私のこと——忘れてない」


「……」


「でも——私がいなくなれば、お父さんは——もっと、前に進めるんじゃないかって」


          ◇


 柊は——美優の話を、ゆっくり聞いた。


「それは——美優が、決めることだ」


 柊が言った。


「でも——一つ、聞いていいか」


「何——」


「お前は——幸せか」


 美優は考え込んだ。


「幸せ——だと思う」


「じゃあ——なぜ、成仏したいんだ」


「お父さんのため——」


「本当に——それだけか」


 美優は——黙った。


「美優——お前は、どうしたいんだ。本当は」


 長い沈黙が流れた。


「わからない——」


 美優は涙を流した。


「わからないの。どうすればいいか」


          ◇


 柊は——美優を抱きしめた。


「焦らなくていい——」


「柊おじさん——」


「ゆっくり——考えればいい」


「でも——」


「お前が——どうしたいか。それが——一番大切だ」


 美優は——しばらく、泣いていた。


          ◇


 翌日——柊は美優の父親に連絡を取った。


「美優のことで——お話があります」


「何かありましたか——」


「美優が——成仏を考えているようです」


 電話の向こうで——息を呑む音が聞こえた。


「成仏——」


「あなたに——会いたいと言っています」


「わかりました。すぐに——行きます」


          ◇


 美優と父親が——対面した。


「美優——」


「お父さん——」


「成仏を——考えてるって、聞いた」


「うん——」


 父親は——美優を見つめた。


「なぜ——」


「お父さんの——邪魔に、なってると思って」


「邪魔なんかじゃない——」


 父親の声が震えた。


「お前は——俺の、大切な娘だ」


「お父さん——」


「新しい家族ができても——お前への愛は、変わらない」


 父親は涙を流した。


「だから——焦らなくていい。お前が——望む時まで、俺は会いに来る」


 美優は——父親の腕の中で、泣いた。


「お父さん——ありがとう」


 柊は——その光景を、静かに見守っていた。


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