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残響の庭  作者: とま


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101/120

第101話「父としての日々」

 柊は——父親になった。


          ◇


 毎日が——新しい発見だった。


 陽向の——小さな変化を、見逃さないように。


「今日——笑った気がする」


 柊が言った。


「まだ——早いんじゃない?」


 玲が笑った。


「でも——笑ったように、見えた」


「親バカね——」


「そうかもしれない——」


 柊は照れくさそうに笑った。


          ◇


 仕事と育児の両立は——大変だった。


 玲は——育児休暇を取っていた。


 柊も——できる限り、早く帰るようにしていた。


「水無瀬さん——お先に失礼します」


「ああ。ゆっくり——」


 田所が笑顔で見送った。


「赤ちゃん——元気ですか」


「元気だよ——」


「よかったです——」


          ◇


 帰宅すると——陽向が待っていた。


「ただいま——」


 柊は陽向を抱き上げた。


「今日は——どうだった?」


 玲が言った。


「仕事は——順調。陽向は——?」


「よく寝てた。ミルクも——たくさん飲んだ」


「よかった——」


 柊は陽向を見つめた。


「大きくなれよ——」


          ◇


 夜中——陽向が泣いた。


 柊が——起き上がった。


「俺が——行くよ」


「ありがとう——」


 玲は疲れていた。


 柊は——陽向を抱いて、あやした。


「どうした——お腹すいたか」


 ミルクを作って——飲ませた。


 陽向は——満足そうに、また眠った。


「よしよし——」


 柊は——しばらく、陽向を抱いていた。


          ◇


 ある夜——柊は考え込んでいた。


 父親として——何を、伝えられるのか。


 自分の父は——柊が子どもの頃、あまり家にいなかった。


 研究に——没頭していた。


「俺は——違う父親になりたい」


 柊は呟いた。


「陽向と——たくさん時間を過ごしたい」


 玲が——隣で言った。


「そうしようね——」


「玲——」


「柊は——いいお父さんになってるわよ」


「そうかな——」


「そうよ。陽向も——柊が大好きみたい」


 柊は——少し、安心した。


          ◇


 週末——柊は陽向と散歩に出かけた。


 ベビーカーを押しながら——公園を歩いた。


「いい天気だな——」


 陽向は——周りをキョロキョロ見ていた。


「何を——見てるんだ」


 木々、空、鳥。


 すべてが——新鮮なのだろう。


「お前には——世界が、どう見えてるんだろうな」


 柊は微笑んだ。


「教えてくれよ——いつか」


 陽向は——小さな声を上げた。


 それは——答えのように、聞こえた。


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