第100話「誕生」
その日が——やってきた。
◇
「柊——陣痛が」
深夜、玲が柊を起こした。
「病院に——行こう」
柊は——急いで準備をした。
◇
病院に着いた。
玲は——分娩室に運ばれた。
柊は——手を握りながら、付き添っていた。
「大丈夫——大丈夫だから」
「柊——」
玲の顔が——苦しそうだった。
「頑張れ——」
「うん——」
◇
長い時間が——過ぎた。
そして——ついに。
「おめでとうございます——女の子です」
医師の声が聞こえた。
赤ちゃんの——泣き声が、響いた。
「生まれた——」
柊は——涙を流した。
「玲——生まれたよ」
「見せて——」
看護師が——赤ちゃんを、玲の胸に置いた。
小さな——命だった。
「可愛い——」
玲も涙を流していた。
「私たちの——子ども」
「ああ——」
◇
柊は——赤ちゃんの顔を、じっと見つめた。
小さな目、小さな鼻、小さな口。
完璧な——人間だった。
「名前——決めないと」
玲が言った。
「考えてたんだ——」
「何て名前——」
「陽向——ひなた」
玲は微笑んだ。
「いい名前——」
「太陽に向かって——まっすぐ育ってほしい」
「陽向——」
玲は赤ちゃんを見つめた。
「陽向——よろしくね」
赤ちゃんは——小さな手を動かした。
◇
数日後——退院した。
自宅に——新しい家族が、加わった。
「ただいま——」
柊が言った。
「おかえり——」
誰もいない家に——赤ちゃんの声が、響いた。
◇
職場にも——報告した。
「おめでとうございます——」
田所が言った。
「女の子——可愛いですね」
「ありがとう——」
柊は写真を見せた。
「名前は——陽向」
「素敵な名前ですね——」
◇
美優にも——報告した。
「美優——生まれたよ」
「本当——?」
美優は目を輝かせた。
「見せて——」
柊はVR空間に——写真を映した。
「可愛い——」
美優は嬉しそうだった。
「名前は——?」
「陽向——ひなただ」
「陽向ちゃん——」
美優は微笑んだ。
「私——陽向ちゃんに、会いたいな」
「大きくなったら——会わせるよ」
「約束——」
「約束する——」
◇
夜、柊は陽向を抱いていた。
小さな命——新しい希望。
「陽向——」
柊は囁いた。
「お前には——たくさんの人が、待ってるよ」
陽向は——眠っていた。
「おばあちゃんも——見守ってる。会えないけど——」
柊の目に——涙が浮かんだ。
「お前は——愛されてるんだよ」
窓の外には——星が輝いていた。
新しい命が——始まった。




