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異端の剣精~厄介者と言われ続けた俺が、忌み者と呼ばれた上位精霊と契約できた上にまさかの自分が剣になっちゃった!~  作者: 誰ソ彼 三途


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27.花に埋もれる

学園アイドルマスターというゲームをご存知ですか?

新しい章が始まって、育成が楽しいんですよね。

ちなみに僕の推しは、広と美鈴です。


「――何があったんだ」

直前までの記憶が曖昧だ。

ただ、鼻をくすぐる花の香りだけが妙にはっきりしている。

まるで、小さい頃に寝転んだ花畑のようだ。

(……このままずっと寝ていたいな)

そんなことを考えていたときだ。


「…………」

どこからか声が聞こえる。

誰かもわからないその声には、なぜだか安心感を感じる。


「……ル」

まだうまく聞き取れないが、どうやら俺を呼んでいるようだ。


「アル」

「――エル……ナビス」

ふと口から出た言葉に、今までのことを思い出す。


「そうだ、俺は――」

そうして目を開くと、豪華な天井が目に入った。

(……前にも見た光景だな)


「大丈夫ですか?」

枕元から聞き馴染みのある声が聞こえる。


「エルナビス、無事だったか」

そうして彼女に手を伸ばす。

だがそこで異変に気が付く。


手や腕に包帯が巻かれていることに関しては特に疑問ない。

しかし、包帯の下からはどういうわけか無数の花々が顔をのぞかせていた。


「なんだよこれ……」

慌てて包帯を外そうとして、もう片方の腕も同じ状態であることもわかった。

「アル、落ち着いてください」

エナはそう言うが、腕の違和感がその言葉をかき消す。


彼女の言葉を無視して包帯を外すと――

自分の腕に、色とりどりの花がびっしりと咲き誇っていた。


「おい、なんだよ!」

美しさよりも恐怖に満たされて、腕を引っ掻く。

「なんなんだよ!!!」

花を取ろうとするが、まったく抜ける様子がない。


「くそっ!」

さらに力を込めようとしたその時――


「落ち着きなさい!」

エナが俺の頬を叩いた。

頬にじんわりと伝わる熱で、少しだけ頭が冷えた。


「…………エナ」

そこで改めて相棒の姿を見直す。

いつものドレスアーマーではなく、患者が着るような薄着だ。

そして肩の部分からは、俺の腕と同じく花が植えられていた。


(傷口に花……、もしかして――)

「マーリンの仕業か……」

花精マーリン、あの上位精霊なら人に花を植え付けるなど造作もないだろう。


「そのとおりです」

俺の想像は、彼女の言葉で確信に変わった。

「魔力で構成された花で、傷を塞ぎ治癒の活性化もしています」

「――だから安心してください」


「あ、ああ……」

そこでふと彼女の姿に違和感を感じた。

いつもの服装でないこともそうだが、それ以上になにかある。


(あ、右腕――)

「エナ、その腕は!」

坑道で溶かされたはずの右腕が、なぜか今は元通りになっている。


「ああ、これですか」

彼女も自分の腕に目を向ける。


「精霊の体は魔力で構成されていますから」

「もう一度構築しなおせば、何も問題ありませんよ」

腕をさすりながらそう告げる。

軽々しく言ってのけるがあまりに常軌を逸している。


「失くした腕でも、元通り治せるのか……」

信じられず思わず触れてみたが、たしかに存在している。


「とはいえ、外側を取り繕っているだけですよ」

「中はまだなので、動かすことはできません」

そう言って肘を上げるが、腕は力なく垂れ下がったままだ。


「そう……なのか」

どうやら彼女は、俺の想像を超える頑強さのようだ。

などと考えていると


「そろそろ、ここに至るまでの経緯を説明したいのですが……」

「ああ、問題ない」

以前にも全く同じようなやり取りをしたせいか、妙に冷静になれた。


それから、坑道で意識を失った後のことをエルナビスに教えてもらった。

どうやら倒れた時点で、エナも俺もかなり危うい状態だったらしい。


「ほとんど魔力切れの状態でしたからね――」

「あのままでは私は消えて……」

「あなたも火傷と脱水で死んでいたでしょう」


そこに坑道から溢れたアリを処理していたマーリンが、アリの消失を確認したことで様子を見に来ていたところに、ちょうど俺達が出くわしたとのことだ。


そこからは、エナと俺の治療のために自らの能力を使用したとのことだ。


(本当にわけのわからないやつだ)

最初は散々貶されたが、次は助けてもらっている。

気まぐれかあるいは何か考えがあるのか。

(どちらにしろ、今はそんなことを考えても仕方ないな)


「その傷も2~3日もすれば綺麗に治ります」

「花も枯れて残らないので、安心してください」

そこでエナからの話は一区切りついた。


「なあ、エナ――」

説明を聞き終えた俺は、戦いの中で気になっていたことを聞くことにした。


「はい、なんでしょう?」

彼女がこちらに向き直る。


「蟻王との戦いの時のことだけど――」

そこまで聞いたところで、唇に人差し指を当てられた。

まるで、今は聞きたくないといったようだ。


「……今は身体を休めてください」

「お互い治ったら、その話をしましょう」

その静かな声に込められた穏やかな威圧に、俺は何も言えなかった。


その時だ――

腕の辺りから、何かが砕ける音がした。


(今のは、坑道で聞いたあの――)

その音が聞こえたと同時、唐突な睡魔に襲われる。


「エナ……、何を……」

直感的に彼女の仕業とわかった。

「少しだけ花の精霊の力を借りただけです」

聞きたいことがあるが、抗えない眠気に意識がどんどん遠のいていく。


「……ごめんなさい」

彼女の声を最後に、俺は再び沈むような感覚に落ちていった。


思ったより長くなってしまいました。

戦後処理って思ったより長いんですね。

次の冒険に行くまでには、しばらくかかりそうです


P.S.恋人と別れてメンタル落ち気味です。

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