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【完結】妖精と呼ばれた転生令嬢は今度こそ恋をしたい  作者: ごんちゃん


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(14)バイラー侯爵の計画

昨日更新予定でしたが遅くなりました。

エリーの事情を聞けば、私に話せなかったことは十分理解できている。


向けられている瞳を見れば、こちらが赤面してしまう程の甘さを含んでいることだって鈍い私も分かる。


むしろ良く今まで気付かなかったなと、己の鈍さを恥じるぐらいに。


もちろん、貴族としての義務や打算がなかったわけでは無いと思うけれど、それだけではないのだと伝わってくる。


そう。


信じられないのはエリーじゃなく、前世からずっと選ばれなかった私自身だ。


大丈夫、気にしない、仕方ない、と呪文のように唱え続けて隠し続けた私自身の弱さが、差し出されたエリーの手をとることを躊躇わせている。


そして王家やメルカッツ家に迷惑をかけている子供のような私が隣に並ぶことで、この先もエリーの足を引っ張ってしまうだろうことも、私の弱さに追い討ちをかけていた。


バイラー侯爵家といえば王族の降嫁もあるほどの名家で、南の国境に接する自らの領地に加え、隣接する王領の管理も任されている為、実質南の辺境伯も兼任している。


私の実家であるツヴェルグ家もバイラー侯爵家やその縁戚に囲まれているようなものなので、我が家の力だけでは到底太刀打ちできる相手ではない。


政治、経済、武力のどの面からでも容易に圧力をかけることができるぐらいの差が、我が家とバイラー侯爵家にはあるのだから。


おそらくこれまで強行手段に出なかったのは、表立って動いて私の存在を国や他家に知られて奪われることを懸念しただけのこと。


それでも、もしもこれまで王家とエリーが守ってくれていなければとっくの昔に私も、私の家族や領民も潰されていたことだろう。


一体どれほどの無理をして守ってくれたのだろうか。


これからもどれほどの迷惑をかけてしまうのだろうか。


目にジワリと熱いなにかがこみ上げてきそうになった私が再び俯くと、エリーが重ねていた手を軽くポンポンと叩いてクスッと笑うのが聞こえた。




「大丈夫だよ、エタ。それに今回は本当に不本意だけど、あの男の力も借りることで、ようやく黒幕であるバイラー侯爵を捕らえることができたから。これからは安心して過ごせるよ?」


「あの男?え……もしかして、マルク?」


「そうだよ。彼はよほど自分の父親が嫌いなんだろうね。魔道具の件での処分を軽くすることを条件に、バイラー侯爵からの指示内容を証拠まで添えて証言するって私に交渉を持ちかけてきたんだ」


「こちらとしては彼よりバイラー侯爵の方が手ごわかったから、ありがたく利用させてもらったよ。私とこの国から君を奪うなんて絶対に許せないからね」




マルクの処分が少し軽い『ちょっとした事情』ってそういうことだったのか。


まあ、あの男が自らすすんで私を助けるはずはないだろうし、それぐらいのメリットがないと協力はしないだろう。


いくら嫌っていたとしても、父親が身分を失えば譲り受けるはずだった地位や財産も失ってしまうのだから。




「そう、だったんだ。指示内容って?」


「バイラー侯爵はどうやら君を自分の妾として屋敷に閉じ込め、我が国や隣国に対する脅しに使うつもりだったようだね。実にふざけた話だ」


「えええ……侯爵様の妾って……こ、こわ…でも、私を使っても脅しになんてならないのでは…」


「いや、十分なるよ。もし君が自在に植物魔法の範囲を調整できるようになれば不可能ではないから。瘴気に侵された土地に作物が実らなくなったらどうなるか、エタも分かるでしょう?」


「……国民が飢えてしまうわ」




ああ……うん。


マルクの非道っぷりなんて父親に比べたら可愛いものだったわ。


そりゃそんな男が父親だなんて、さすがのマルクも嫌だろう。


巻き添えにだってされたくないだろうし、自己保身に走っても仕方ないわ。




「ああ。そんな恐ろしい脅しをかけて、彼は自領だけでなく管理する王領も占拠して、隣国にも協力を持ちかけてて独立するつもりだったらしい」


「独立?!」


「その為の重要な鍵がエタ、君だった。彼が言うには侯爵からは『どんな手段を使ってでも』エタを手に入れるように、と言われていたらしい」


「へ?いやいや、だってその割にマルク、私じゃなくてエリーにちょっかいかけてた気がするけど…」




気がするっていうか、完全に狙ってたよね?


確かに私にも絡んではいたけど、手に入れるつもりならあの絡み方はないだろう。




「ふふっ…まあ、彼は私を女性だと思っていたようだし、元々父親の指示に従うつもりもなかったみたいだからね。一応父親側の監視がある手前、エタにも絡んでいたらしいよ?」


「つまり、指示に従ってるふりをしてた…?」


「まあ、私に手を出してくれたおかげでこちらも手が打ち易くなったから、彼の勘違いも役には立ったけどね?」




なるほど監視がついてたのか。


昔と違って人目がある所で絡まれると思ってたけど、身分を手に入れて驕ってたからじゃなくてバイラー侯爵側に見せるためだったのか。


あいつはあいつでやっぱり苦労はしていたらしい。


まあ、驕っていたのは勘違いじゃないし、私にしたことやエリーにしようとしたことを思えば同情すらしないけど、すくなくとも、国民を飢えさせたり戦乱の火種を撒き散らす行いに加担するほどのクズではなかったってことみたい。





「あー……なんか絡まれてた理由が分かって、かえってスッキリしたかも」


「ふふっ、それは良かった。それに、おそらく彼が私に手を出してきたのもワザとだと思うよ?以前の彼からは考えられないだろうけど、彼は意外と計算高い男になったようだね」


「えー、そうかなぁ……」


「あはは、エタの知ってる彼は実際クズ男だったからね」




まさか自分にそんな力や価値があるなんて、これまで考えてみたこともなかったけれど、理由が分からないままに狙われたり絡まれたりするのはとても恐ろしいことだ。


少なくとも、最近のマルクには彼なりの理由があって私に絡んでいたのだと分かれば、得体の知れない恐ろしさは無くなる。


それにエリーの今の言い方ではまるで、以前はともかく今の彼はクズ男ではないように聞こえるのは、決して気のせいではないはずだ。

マルクより父侯爵が悪辣でした。

会話多くてすみません。

甘さが足りなさ過ぎて自分で泣きたくなります。

さっさとイチャイチャしてくれー(笑)


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