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【完結】妖精と呼ばれた転生令嬢は今度こそ恋をしたい  作者: ごんちゃん


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(15)バイラー侯爵の誤算

今回続けて2話更新しているのでお気をつけください。

(14)を読んで無い方はそちらを先に読まないと話が繋がらないと思います。

マルクを語るエリーの言葉に違和感を感じて、気付けば私は問い返していた。




「エリー、彼はモンドールに行って変わってたってこと?」


「うーん。まあ、女癖が悪いとか性格の悪さは変わってないかもしれないけど、父親の非道さには嫌悪感を持っていたようだし、なにより彼は母親のような女性は作りたくなかったそうだ」


「マルクの、お母様…」


「彼の母はクット商会の一人娘で、バイラー侯爵の目にとまった時は商会代表が後継として育てていた現在副代表を務める男性と相思相愛で、結婚間近だったそうだ」


「そんな……」




貴族の愛人と聞いてなんとなく、お金や権力に魅力を感じた女性がすすんで囲われていたり、政略結婚したものの、本当に愛し合っているのは身分の低い愛人であったりというイメージがあった。


だからマルクの母もそういった立場にあるのだと、私は勝手に思っていた。


彼の印象が悪かったせいもあるけれど、これは私の未熟な先入観だ。




「商会で対応した彼女を気に入った侯爵が、強引に馬車に乗せて屋敷に連れ去ったと言っていた。侯爵領を基盤に商売をしていたクット家では抵抗もできなかっただろうね。実際娘の保護を国境警備騎士団に願い出たらしいが、揉み消されてなかったことにされていたよ」


「誘拐も強姦も、れっきとした犯罪だわ…騎士団まで加担するなんて本当に酷い…」


「彼の母は3ヶ月ほどで実家に戻されたものの既に妊娠していた上、心を病んでしまっていたようで……結婚予定だった男性は今も結婚せずに代表と彼女を支えているのだそうだ」


「でも、以前マルクが……侯爵がお気に入りのお母様を手放さない為にお金を出していると、言っていたわ…」


「バイラー侯爵はクット商会を侯爵家のお抱え商会にすることで、金で横っ面を叩きながら彼らから逃げる術を奪ったんだ。従業員やその家族に至るまでさえ人質のようなもので、反抗すれば母親も息子も実家も愛していた男性も、互いに全てを失うのだと脅されてね」


「……最低。そんな最低な人が、いるんですね……」




立場が上の者が権力を振りかざして女性に関係を強いるなんて、最悪のパワハラセクハラで明確な犯罪じゃないか。


以前遠くから見かけたことがあるバイラー侯爵は、美しい奥様をエスコートして鷹揚な笑みを浮かべたいかにも貴族然とした人物だった。


けれど裏ではこれほど酷いことを平然とやってのける卑劣漢で、マルクの家族はその被害と苦しみに耐えるしかなかったなんて。




「彼も自分の本当の父親が、時折母を尋ねてくる侯爵らしいということは薄々知っていたようだけど、当時の詳しい事情を知ったのは彼がモンドールに渡ってから送られてきた、祖父からの手紙でだったらしい。それに副代表である男性を、父のように慕って尊敬していたようだから」


「だから、あんなに父親を嫌っていたのね……だから、彼なりに変わろうと努力したのね?」


「私からすればもっと方法はあったと思うけど。ただ、彼としては侯爵の手を逃れて自分も家族も救うには、一度侯爵の懐に入って何かしら犯罪の証拠を掴んで潰すしかないと考えていたみたいだよ?例え自分も罰を受けたとしてもね」


「……本当に、馬鹿ね…」


「ああ。バイラー侯爵の最大の誤算は自分の力量を測り損ねたことと、馬鹿で欲深い駒だと思っていた息子が、将来得られる権力や己の保身より家族の安全と復讐を選んだことだろう」




きっとマルクは自分に流れる血すら恨んでいるのだろう。


認知もせずに母を弄ぶ侯爵に嫌悪感を抱き、血の繋がらない自分を可愛がってくれた男性を父のように慕っていたのであれば、きっと自分の存在すらその男性と母親を苦しめる一因だと気付いてしまったはずで。


自棄になった時期もあったのだろうけれども、彼なりに最低な父親に立ち向かう術を模索して辿り着いた答えが、父親の悪事の証拠集めとあの模擬戦での魔道具使用だったのだ。


父侯爵の監視から離れ、王家や騎士団、そして父親と通じていない高位貴族と直接交渉できる場をもぎ取るために。


馬鹿だとは思うけれど、平民や若造1人の力で立ち向かえるほど高位貴族の力は甘くないということなのだろう。




「だから今日の卒業式でも彼を見かけたと思うけど、彼が昨日まで表向き休学という形で謹慎して、今日の卒業式と卒業パーティーには来ているのはそういうわけなんだ。本当は潰してあげようと思ってたんだけどね」




確かに遠目にチラッとマルクが見えた気もするけど、関わりたくないから視界に入れないようにしていた。


またエリーに絡みにきたら私が守るつもりだったけど、実際は全く逆だったらしい。


エリーだけでなく、あのマルクにすら守られていたなんて。




「もちろん、既に彼を監視をつけるという名目で婿入りさせる家も決まっているよ。一応彼は王族の血も入っているし、私の遠縁にも当たるからね。簡単に誰とでも結婚できるわけじゃないのは、流石に彼も分かっていたようだ。一応そういう処分になっているけど、エタはそれで大丈夫?何か報復したいとか思ってる?」


「まさか!もう私やエリーに絡んで来たりして困らせないなら、私はそれでいいの。今回は彼にも助けてもらったってことなんでしょう?」


「そうだけど、彼には当時かなり嫌な思いをさせられたのに、やっぱりエタは優しいね?エタが望むなら、どんな復讐だってしてあげるのに」




今日の話を聞く前なら、もしかしたら仕返ししたいと思ったかもしれない。


けれど、これまで私が知らなかったことを知ってしまえば、もうそんな気持ちにはなれない。


なにより、笑顔のエリーが言う『復讐』がなんだか生半可なものでないような気がしてならない。


助けてもらったからってマルクと仲良くしたいとは到底思えないけど、遠くで幸せになってくれれば復讐するよりその方がずっと気分がいいと思えた。


もちろん、私がマルクのお母様のような被害にあわなかったから言える事なんだけども。




「うーん。優しいというより、自分にとって大切ではない人の人生にまで責任を持ちたくない、のかも」


「ははは、まあそういうことにしておこうか……可愛いね」




って、うわわわわ。


こんなチビッコ見つめながら、そんな綺麗な笑みを浮かべないで!


耐性ないので指先に小さなキスをして『優しい私のお姫様』なんて囁くのやめてください!



「エリーは私に甘すぎる……」


「そうかな…うん、まあそうかもしれないね?だっていつだって私はエタをドロドロに甘やかしてあげたいとは思っているからね」


「……きゅ、急すぎて気持ちが追いつかないですっ」


「あはは、無理強いする気はないから大丈夫」




既に今の状況すら大丈夫じゃないんですが、どうしたらいいのでしょうか?


それに、エリーの気持ちも私の状況も分かったけれど…本当に受け入れていいものなのだろうか。


私がチビッコで彼には不釣合いなことは、誰の目にも明らかで、私の力を公にすれば異論はでないだろうけど、今度は第2第3のバイラー侯爵が現れないとは言い切れない。


エリーが大切だから一緒にいたい。


エリーが大切だから迷惑をかけたくない。


私はどうしたらいいのだろうか。

彼のようになりたいと思わせてくれる父のような存在

父のようになりたくないと思わせてしまう実の父。

真実を知ってマルクが選んだのは、彼にとっても良い未来だったと思われます。

次からようやくエタのターン!

もし少しでも面白い!更新頑張れ!等思っていただけましたら、ブックマークや評価などして頂けたら嬉しいです。

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