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落ちこぼれ美少女たちを再設計したら、全員最強になった件  作者: 白石ロジック


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やる気ゼロの少女を無理やり立たせたら動き出した件

第5話です。


新ヒロイン登場回です。


今回は「やる気がない」のではなく、「止まっている」状態を扱います。

翌日。


教室に入った瞬間、空気が違うと分かった。


「……何かあったのか?」


俺がそう言うと、ルナが少し困ったように笑った。


「えっと……」


「今日は、その……」


言いにくそうに視線を逸らす。


「“新しい人”が来てるんです」


「新しい人?」


「はい」


そのとき。


「……別に、紹介はいらない」


静かな声が、教室の奥から聞こえた。


全員の視線がそちらに向く。


窓際。


一番後ろの席。


一人の少女が座っていた。


長い黒髪。


表情は薄い。


視線は外に向いたまま。


「……」


こちらを見ない。


だが——


気配だけは、はっきりとある。


「……あの子です」


ルナが小さく言った。


「昨日から来てて……」


「でも、その……」


言葉を濁す。


「話しかけても、ほとんど返事しなくて」


「授業も……あまり」


「なるほど」


俺は一歩だけ前に出る。


「ちょっと問題あり、か」


「……」


その瞬間。


窓際の少女の視線が、わずかに動いた。


こちらを見る。


一瞬だけ。


それだけで分かる。


——聞こえてるな。


「やめときなさい」


横から、エリスが低く言った。


「あの子、昨日も先生と揉めてたわ」


「授業中に急にいなくなったり」


「話も通じない」


「関わらない方がいいタイプよ」


「そうか」


俺は軽くうなずく。


そして——


そのまま、歩いた。


「ちょ、ちょっと!」


ルナが慌てる。


「本当に行くんですか!?」


「ああ」


「でも……」


「問題があるなら、見るだけだ」


「……っ」


エリスが小さく舌打ちする。


「……好きにすれば」


だが、視線は外さない。


俺はそのまま、窓際の席まで歩く。


机の前で止まる。


「……」


少女は何も言わない。


視線も向けない。


「名前は?」


俺が聞く。


数秒の沈黙。


「……答える必要ある?」


初めて、声が返ってきた。


平坦な声。


感情が薄い。


「あるな」


俺は即答した。


「呼ぶときに困る」


「……」


少女は、ゆっくりとこちらを見る。


その目は、冷たい。


だが——


完全に閉じてはいない。


「……ユナ」


小さく、そう言った。


「ユナか」


「ああ」


「で、ユナ」


俺はそのまま続ける。


「授業、やる気あるか?」


「ない」


即答だった。


ルナが息を呑む。


エリスが呆れたようにため息をつく。


「……だろうな」


俺は特に驚かずに言った。


「じゃあ別の聞き方だ」


少しだけ、視線を合わせる。


「“できるようになりたい”か?」


一瞬。


ユナの目が、わずかに揺れた。


ほんの、わずかに。


——今のか。


「……別に」


すぐに視線を外す。


「興味ない」


「そうか」


俺はそれ以上追わない。


「じゃあいい」


そのまま、背を向ける。


「えっ」


ルナが驚く。


「行くんですか?」


「ああ」


「やる気ないやつに時間使う意味ない」


「……」


教室が静まる。


その中で——


かすかに。


「……待って」


小さな声が、背後から届いた。


俺は足を止める。


振り返らない。


「何だ」


「……」


数秒、間が空く。


「……別に」


ユナはそう言った。


「呼び止めただけ」


「そうか」


俺はそのまま歩き出そうとする。


「っ……」


椅子が、わずかに軋む音。


「……それで終わり?」


少しだけ、声が強くなる。


「何がだ」


「……」


ユナは一瞬黙り、


「……普通、もっと聞くでしょ」


「やる気出せ、とか」


「頑張れ、とか」


「……説教とか」


俺は振り返る。


「必要ないからな」


「……は?」


「やる気ないやつに、言葉かけても意味ない」


教室が静まる。


「……っ」


ユナの眉がわずかに動く。


「……冷たいのね」


「事実だ」


俺は淡々と言う。


「やるかどうかは、お前の問題だ」


「俺の仕事は“できるようにすること”であって」


「“やる気にさせること”じゃない」


「……」


ユナは何も言わない。


だが、その視線は外れない。


「ただ」


俺は一言だけ付け足す。


「やるなら、ちゃんとやらせる」


「中途半端はやらない」


「……」


沈黙。


数秒。


「……じゃあ」


ユナが、ゆっくりと口を開く。


「できるの?」


「何がだ」


「私を」


「“できるように”」


その言葉に、空気が変わる。


ルナが息を呑む。


エリスが腕を組む。


「できるな」


俺は即答した。


「……根拠は?」


「今の反応」


「……は?」


「完全に諦めてるやつは、“できるの?”なんて聞かない」


「……」


ユナの表情が、ほんのわずかに固まる。


「まだ残ってる」


「だからできる」


「……」


その言葉に、


初めて、ユナの視線が揺れた。


「……やってみれば」


小さく、吐き出すように言う。


「どうせ無理だろうけど」


「いいぞ」


俺はすぐに答える。


「今からやる」


「え?」


ルナが驚く。


「今からですか?」


「ああ」


「問題は放置しない方がいい」


「熱があるうちにな」


「……」


エリスが、少しだけ目を細める。


「……本気なのね」


「ああ」


「失敗するわよ」


「そのときはそのときだ」


「……」


エリスはそれ以上言わない。


だが、その視線は鋭い。


——試してるな。


「立て」


俺はユナに言う。


「……は?」


「やるなら立て」


「座ったままじゃ無理だ」


「……意味わかんない」


そう言いながらも、


ユナはゆっくりと立ち上がる。


完全には拒否していない。


——いい。


「まず確認する」


俺は一歩近づく。


「今、何ができない」


「……」


ユナは少しだけ考えて、


「……全部」


と答えた。


「雑だな」


「……」


「じゃあ分解する」


俺は手を上げる。


「一番簡単なところからやる」


「できるかどうかじゃない」


「“どこで止まってるか”を見る」


ユナの目が、わずかに動く。


「……」


ルナが、静かに見守る。


エリスは腕を組んだまま、黙っている。


教室全体が、息を潜める。


「いいか」


俺ははっきりと言う。


「お前の問題は“能力”じゃない」


「使い方でもない」


「——止めてるだけだ」


その一言で、


空気が、完全に変わった。


「——止めてるだけだ」


その一言で、

空気が固まった。


「……意味わかんない」


ユナが低く言う。


だが、さっきまでの無関心とは違う。


明らかに、引っかかっている。


「簡単だ」


俺は淡々と続ける。


「お前、“やればできる”状態までは行ってる」


「でも、その先に行かない」


「……」


ユナは黙る。


「理由は一つ」


「失敗したくないから止めてる」


「……っ」


わずかに、表情が歪む。


「違う」


すぐに否定する。


「別に、そんなの——」


「じゃあやれ」


俺は言葉を被せた。


「今」


「ここで」


「……」


ユナの呼吸が、わずかに乱れる。


「やれない理由は?」


「……」


答えない。


「ないならやれ」


「あるなら言え」


「……」


沈黙。


数秒。


「……できなかったら」


小さな声だった。


「どうするの」


俺は即答する。


「何もしない」


「……は?」


「できなかったら、“できなかった”って分かるだけだ」


「それ以上でも以下でもない」


「……」


ユナの目が、揺れる。


「評価もしない」


「責めもしない」


「ただ、次をやるだけだ」


「……」


その言葉に、


初めて、ユナの視線が完全にこちらに向いた。


「……ほんとに?」


「ああ」


「嘘つく理由がない」


数秒の沈黙。


そして——


ユナは、ゆっくりと手を上げた。


「……一回だけ」


小さく、そう言う。


「いいぞ」


教室が、息を呑む。


エリスが腕を組んだまま、じっと見ている。


ルナは、祈るように手を握っている。


「……やる」


ユナが、目を閉じる。


呼吸が浅い。


明らかに不安定だ。


——ここだな。


「深く吸え」


俺は短く言う。


「吐く方を長く」


「……」


ゆっくりと、呼吸が整う。


「余計なこと考えるな」


「今やることだけ見ろ」


「……」


ユナの指先に、わずかに光が灯る。


弱い。


ほとんど形になっていない。


「そのまま」


「消すな」


「……っ」


光が揺れる。


消えかける。


だが——


消えない。


「……」


教室が、完全に静まる。


「維持」


「それでいい」


数秒。


そのまま——


光は、保たれた。


「……できた」


ユナが、小さく呟く。


「ああ」


俺はうなずく。


「それがスタートだ」


「……」


ユナは、自分の手をじっと見つめる。


その表情は、


さっきまでとは明らかに違っていた。


「……なんで」


小さく、漏れる。


「こんなの……」


「簡単だからだ」


俺は言う。


「難しくしてただけだ」


「……」


ユナは何も言わない。


ただ、


もう一度だけ、同じ動きを繰り返す。


光が灯る。


今度は、少しだけ安定している。


「……」


エリスが、わずかに目を細める。


「……そういうこと」


小さく、呟く。


「順番だけじゃないのね」


ルナは、ほっとしたように息を吐く。


「……よかった」


その言葉に、ユナがちらりと視線を向ける。


何か言いかけて、やめる。


「今日はここまでだ」


俺が言うと、

教室の空気が緩む。


「……」


ユナは少しだけ考えて、


「……明日もやるの?」


と聞いた。


「やる」


「やるなら来い」


「……」


一瞬の沈黙。


「……行く」


小さく、だがはっきりと答えた。


——二人目。


俺は教室を見渡す。


視線が、明らかに変わっている。


「行くぞ」


俺が歩き出すと、

ルナとエリスが自然についてくる。


そして——


少し遅れて、


ユナも立ち上がった。


夕方の光の中、


三人だった列に、


もう一人が加わる。


まだ距離はある。


だが——


確実に、繋がり始めていた。


「……次」


俺は小さく呟く。


「まだいるな」


学院は広い。


問題も、多い。


だから——


やることは同じだ。


全部、止めてる原因を外す。

読んでいただきありがとうございます!


新ヒロイン登場回でした。


「やる気がない」のではなく「止まっているだけ」という話です。


ここから三人の関係も動いていきますので、ぜひ続きも読んでください!

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