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落ちこぼれ美少女たちを再設計したら、全員最強になった件  作者: 白石ロジック


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3/6

学院最優秀を作り直したら、安定して最強になった件

第3話です。


学院最優秀の少女を再設計します。


「天才」が崩れる回です。

翌日。


約束の時間より、少し早く来た。


廊下はいつもより静かだったが、

視線だけはやけに多い。


「……来たわね」


扉の前に、エリスが立っていた。


昨日と同じ制服。

だが、その立ち方は少しだけ違う。


無駄な力が抜けている。


——考えたな。


「逃げなかったか」


俺が言うと、エリスは一瞬だけ眉をひそめた。


「逃げる理由がないもの」


「そうか」


それだけ返す。


余計な言葉はいらない。


「……本当に、全部捨てろっていうの?」


エリスが、少し低い声で言った。


「あれが、私のやり方よ」


「積み上げてきたものなの」


「知ってる」


俺はあっさり答えた。


「だから崩す」


「……っ」


エリスの視線が鋭くなる。


だが、怒りだけじゃない。


迷いが混ざっている。


「安心しろ」


俺はドアに手をかけながら言った。


「壊すのは“やり方”だけだ」


「お前の力は、そのまま使う」


エリスは黙った。


ほんの一瞬だけ、目が揺れる。


——いい。


「入るぞ」


扉を開ける。


中には、すでに何人か集まっていた。


教師。

生徒。

そして——


見物人。


「……ずいぶん集まったな」


俺は軽く周囲を見渡す。


視線が一斉にこちらに向く。


好奇心、疑念、敵意。


だが問題ない。


やることは一つだ。


「始めるぞ」


俺はエリスを見る。


「まず確認だ」


「今のやり方で、もう一回やれ」


エリスは一瞬だけ迷い、

すぐに手を前に出した。


「……フレイム・バースト」


炎が弾ける。


昨日と同じように、強い。


だが——


「止めろ」


俺は短く言った。


エリスの動きが止まる。


「……何?」


「今の時点で分かる」


俺は一歩近づいた。


「お前、それ“再現できない”」


周囲がざわつく。


エリスの目が細くなる。


「……やる前から分かるわけないでしょ」


「分かる」


俺は即答した。


「呼吸が違う」


「最初のイメージもぶれてる」


「だから流れも毎回変わる」


エリスの表情が、固まった。


「……なんで」


小さく、声が漏れる。


「なんで、それが……」


「見れば分かる」


俺は淡々と言う。


「全部、表に出てる」


沈黙。


その場の空気が、ゆっくりと変わっていく。


「……じゃあ」


エリスが、低く言った。


「どうすればいいの」


——いい流れだ。


俺はわずかにうなずく。


「簡単だ」


そして、はっきりと言った。


「順番を変える」


「順番を変える」


エリスの眉が寄る。


「……順番?」


「ああ」


俺は床を軽く指で叩いた。


「お前、最初に“威力”を作ってるだろ」


「……当たり前じゃない」


「違う」


俺は首を振る。


「最初に作るのは“形”だ」


教室が静まる。


「形?」


「そうだ」


俺は手を前に出す。


「まず、ここに小さく固定する」


空間に、指先ほどの火が灯る。


揺れない。


広がらない。


ただ、そこにある。


「……っ」


エリスの目が見開かれる。


「それ、弱すぎるわ」


「だからいい」


俺は即答した。


「制御できるからな」


そのまま、指をわずかに動かす。


火が、滑るように移動する。


ぶれない。


消えない。


「次に“流れ”を作る」


火が、ゆっくりと回り始める。


小さな円を描くように。


「ここまで来て、初めて増やす」


ふっと、火が大きくなる。


だが暴れない。


形を保ったまま、密度だけが上がる。


教室がざわつく。


「……何よ、それ」


エリスの声が、わずかに震える。


「簡単だ」


俺は火を消した。


「“制御→流れ→出力”の順にしただけだ」


「お前は逆だ」


「出力→制御、だから毎回崩れる」


沈黙。


エリスは、じっと俺を見ている。


「……できるわけない」


小さく、吐き出すように言った。


「そんなやり方、やったことない」


「だからやるんだろ」


俺は淡々と返す。


「……っ」


一瞬、言葉に詰まる。


その反応を見て、確信する。


——ここだな。


「いいか」


俺は少しだけ声を落とした。


「最初は“弱くていい”」


「むしろ弱くないとダメだ」


「再現できる形を作れ」


エリスの手が、ゆっくりと持ち上がる。


だが、動きが硬い。


「……小さく」


つぶやくように言う。


火が、灯る。


だが——


ぶれる。


すぐに揺れ、形が崩れかける。


「止めるな」


俺はすぐに言った。


「崩れそうでも、そのまま維持しろ」


「……っ」


エリスの呼吸が乱れる。


火がさらに揺れる。


「呼吸」


短く指摘する。


「一定にしろ」


「……は、ぁ……っ」


呼吸が整い始める。


それに合わせて、火の揺れがわずかに収まる。


「そうだ」


俺は一歩近づく。


「その状態を覚えろ」


「今のお前は、“出せてる”んじゃない」


「“保ってる”だけだ」


エリスの目が、揺れる。


「……これが」


小さく、呟く。


「基礎だ」


俺ははっきりと言った。


「全部はここから積み直す」


教室は静まり返っている。


誰も口を挟まない。


「……もう一回」


エリスが、自分から言った。


「もう一回、やる」


——いい。


俺はわずかにうなずいた。


「今度は、自分で作れ」


エリスは目を閉じる。


呼吸を整える。


そして——


再び、手を前に出した。


小さな火が、灯る。


さっきより、明らかに安定している。


「……っ」


周囲が息を呑む。


エリス自身も、気づいている。


「……できてる」


震える声で、そう言った。


俺は短く答える。


「ああ」


「それが“再現できる力”だ」


「……できてる」


エリスの声が、わずかに震えていた。


手の上の火は、小さい。


だが——


崩れない。


「ああ」


俺は短く答える。


「それが“再現できる力”だ」


教室は、静まり返っていた。


さっきまでのざわめきはない。


誰もが、同じものを見ている。


——明らかな違い。


「……もう一回」


エリスが言う。


今度は迷いがない。


火を灯す。


保つ。


そして——


わずかに、強くする。


火は揺れない。


崩れない。


形を保ったまま、密度だけが増す。


「……っ」


誰かが息を呑む。


「そんな……」


小さな声が、あちこちから漏れる。


昨日までのエリスとは、明らかに違う。


「……なんで」


エリスが、自分の手を見つめたまま呟く。


「こんなに、簡単に……」


「簡単じゃない」


俺はすぐに言った。


「順番を間違えてただけだ」


エリスは、ゆっくりと顔を上げる。


その目にあったのは——


迷いではなく、理解だった。


「……最初から」


「こうするべきだったのね」


「違う」


俺は首を振る。


「今だから分かるだけだ」


「順番も、意味も」


「全部な」


エリスは、何も言わなかった。


ただ、数秒だけ考え——


そして、静かに言った。


「……教えて」


教室の空気が、また変わる。


「全部」


「最初から」


その言葉に、誰もが息を止めた。


学院最優秀。


誰にも頭を下げなかった少女が、


初めて、他人に教えを求めた。


俺は少しだけ考え、

そして答える。


「いいぞ」


それだけ言って、踵を返す。


「ただし条件がある」


エリスが顔を上げる。


「……何?」


俺は振り返らずに言った。


「俺のやり方でやる」


「途中で口出しはなしだ」


一拍の沈黙。


「……分かった」


即答だった。


迷いはない。


——いいな。


「じゃあ、明日からだ」


俺は扉に手をかける。


「今日はここまで」


ドアを開ける。


外の空気が流れ込む。


「……待って」


エリスの声が、背中に届く。


「名前」


「まだ聞いてない」


俺は足を止めた。


少しだけ考える。


名乗る必要はないが——


まあ、いい。


「……シロウだ」


それだけ言って、教室を出る。


背後で、小さくざわめきが広がる。


——これで一人。


俺は廊下を歩きながら、軽く息を吐いた。


「さて」


次は、どいつだ。


学院は広い。


問題児も、多い。


だが——


やることは同じだ。


全部、作り直す。


——順番からな。

読んでいただきありがとうございます!


今回は天才を一度崩す回でした。


強いだけじゃダメで、「再現できるか」が大事、という話です。


ここからエリスも変わっていきます。


よければ続きも読んでください!

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― 新着の感想 ―
“制御→流れ→出力”を出来るわけないと天才は言っていましたが、具体的にこれまでのやり方と比べてどう難しいんでしょうか。
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