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落ちこぼれ美少女たちを再設計したら、全員最強になった件  作者: 白石ロジック


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学院最優秀の少女が、家庭教師に噛みついてきた

第2話です。


ルナの変化が噂になり、学院がざわつき始めます。


そして、学院最優秀の少女が登場します。

「例の“危険個体”が、安定して魔法を発動させたらしい」


その噂は、半日もかからず学院中に広まった。


廊下を歩けば、ひそひそとした声が耳に入る。


「ありえないだろ。あの子、隔離寸前だったんだぞ」


「しかも、外部の人間が関わったって……」


「家庭教師らしいが、そんな奴が何をしたっていうんだ」


——面倒だな。


俺は軽くため息をついた。


想定通りではあるが、少し早い。


「……あの」


隣から、小さな声がした。


ルナだ。


昨日とは違い、背筋はわずかに伸びている。

目も、ちゃんと前を向いていた。


それだけで十分な変化だ。


「気にするな」


俺は周囲を一瞥してから言う。


「ああいうのは、理解できないものに対する反応だ」


「……はい」


ルナは小さくうなずく。


だが、まだ少しだけ不安が残っている。


——当然か。


環境は、何も変わっていない。


「今日は何をやるんですか」


ルナが聞いてきた。


昨日よりも、少しだけ声に芯がある。


「基礎の固定だ」


俺は即答した。


「安定した状態を“再現できるか”を確認する」


「……再現」


「一回できても意味はない」


俺は歩きながら言う。


「同じ条件で、同じ結果が出る。それが基礎だ」


ルナは黙って、それを聞いていた。


——いい。


理解しようとしている。


そのとき。


「ちょっと待ちなさい」


後ろから、はっきりとした声が飛んできた。


足を止める。


振り返ると、そこには一人の少女が立っていた。


鮮やかな金髪。

整った姿勢。

そして、露骨なまでの敵意。


「あなたが、あの子を“直した”家庭教師?」


……来たか。


俺は少女を一瞥する。


魔力は安定している。

だが——


流れが歪んでいる。


「で?」


俺は短く答えた。


「何か用か」


少女は一歩前に出る。


「そのやり方、本当に正しいのかしら」


「見たこともない理論で、勝手なことをして」


「もし失敗したら、その子はどうなるの?」


……なるほど。


典型的だな。


「あんた、名前は?」


俺が聞くと、少女は一瞬だけ驚いた顔をした。


すぐに表情を戻し、顎を上げる。


「エリス・フォン・アルヴェイン」


「この学院で、最も優秀な魔法使いよ」


——天才枠、か。


俺は小さく息を吐く。


「そうか」


そして、淡々と言った。


「じゃあ、分かりやすい」


少女の眉がぴくりと動く。


「何が?」


俺は、ほんの少しだけ口元を上げた。


「あんたのやり方、全部無駄だ」


一瞬、空気が凍りついた。


「……は?」


エリスの表情が、わずかに崩れる。


周囲のざわめきも止まった。


「今、なんて言ったの?」


「そのままの意味だ」


俺は肩をすくめる。


「安定してるように見えるが、全部“力押し”だ」


「効率が悪い。再現性も低い」


「長く持たない」


エリスの目が、はっきりと怒りに変わる。


「……ふざけないで」


低い声だった。


「私はこの学院で一番よ」


「教師にも認められてる」


「あなたみたいな外部の人間に、何が分かるっていうの」


「分かるさ」


俺は即答した。


「見ればな」


一歩、エリスに近づく。


ルナが少し不安そうにこちらを見るが、手で制する。


「簡単なことだ」


「今から一つ、やってみろ」


「……何を?」


「何でもいい」


「得意な魔法でいい」


エリスは一瞬だけ迷い、すぐに顎を上げた。


「いいわ」


右手を前に出す。


無駄のない動き。


詠唱も、短く洗練されている。


「フレイム・バースト」


——瞬間。


轟、と炎が弾けた。


強い。


確かに、この学院ではトップだろう。


周囲から小さな歓声が上がる。


エリスはそれを当然のように受け流し、こちらを見る。


「これで?」


「ああ」


俺はうなずいた。


「じゃあ、もう一回だ」


「……は?」


「同じ条件で、同じ威力、同じ形で」


「完全に再現しろ」


エリスの眉がひそめられる。


「そんなの、当たり前でしょ」


「やればいい」


俺は一歩下がる。


「見てる」


エリスは鼻で笑い、再び手を構えた。


「フレイム・バースト」


——炎が弾ける。


だが。


「……」


さっきより、わずかに広がり方が違う。


炎の密度も、微妙にばらついている。


本人も気づいたのか、わずかに顔が曇った。


「もう一回」


俺は言った。


「……何度でもやるわ」


エリスは苛立ちを隠さず、三度目の詠唱を行う。


「フレイム・バースト!」


——今度は、やや強すぎる。


炎が一瞬膨張し、収束が遅れる。


「……っ」


エリスの呼吸が、わずかに乱れた。


「な?」


俺は静かに言う。


「再現できてない」


「そんなの、誤差よ!」


エリスが強く言い返す。


「戦闘ではそれくらい——」


「致命的だ」


俺は遮った。


「誤差が出るってことは、制御できてないってことだ」


「制御できてないものは、いつか崩れる」


エリスの表情が、わずかに固まる。


「……違う」


小さく、否定の言葉が漏れる。


「私は、ちゃんとできてる……」


「じゃあ聞く」


俺は一歩だけ踏み込んだ。


「今の三回、全部同じ手順でやったか?」


エリスの口が、止まる。


「……それは」


「毎回、微妙に変えてるだろ」


「無意識に調整してる」


「だから“それっぽく”見えてるだけだ」


「……っ」


図星だな。


エリスの視線が、わずかに揺れる。


「それはな」


俺は淡々と言った。


「再現性がないって言うんだよ」


エリスの表情が、わずかに歪んだ。


「……違う」


小さく、だがはっきりと否定する。


「私は、ちゃんとできてる」


「そう思いたいなら、それでいい」


俺は肩をすくめた。


「ただ、そのまま続ければ、いずれ崩れる」


「それだけだ」


「……っ」


エリスは何か言い返そうとして、言葉を飲み込んだ。


代わりに、強く俺を睨みつける。


その視線には、怒りと——わずかな迷いが混じっていた。


「……証明してみなさいよ」


低い声で言う。


「あなたのやり方が正しいっていうなら」


「この私に、同じことをやらせてみせなさい」


——来たな。


俺は小さく息を吐く。


「いいぞ」


それだけ答えた。


「ただし条件がある」


エリスの眉が動く。


「何?」


「今までのやり方は全部捨てろ」


一瞬の沈黙。


周囲の空気が張り詰める。


「……は?」


「聞こえなかったか?」


俺は淡々と繰り返す。


「全部だ」


「詠唱も、手順も、感覚も」


「一回、ゼロに戻せ」


エリスの顔が、明確に歪んだ。


「ふざけないで」


「それがどれだけ積み上げてきたものか——」


「関係ない」


俺は即座に切った。


「間違ってるものを積み上げても、間違いが大きくなるだけだ」


「……っ」


言葉が詰まる。


図星だ。


「できるか?」


俺は短く聞いた。


エリスはしばらく黙り込んだ。


周囲も、息を潜めている。


やがて。


「……今日はやらない」


絞り出すように言った。


「準備がいる」


「そうか」


俺はあっさりうなずく。


「逃げてもいいぞ」


「逃げないわ!」


即座に返ってきた。


さっきまでよりも、ずっと強い声で。


「明日、同じ時間に来なさい」


「そのとき、証明してあげる」


——いい顔になったな。


俺はわずかに口元を緩める。


「分かった」


それだけ言って、踵を返した。


「……先生」


ルナが小さく呼ぶ。


振り返ると、不安と期待が入り混じった目でこちらを見ていた。


「大丈夫ですか……?」


「何が」


「あの人、すごく強そうで……」


「強いな」


俺はあっさり認めた。


「でも問題はそこじゃない」


ルナは首をかしげる。


俺は少しだけ考えてから、言った。


「強いかどうかじゃない。正しく使えてるかどうかだ」


ルナはその言葉を、ゆっくりと噛みしめるようにうなずいた。


——さて。


明日は少し、忙しくなりそうだ。


「行くぞ」


俺は歩き出す。


ルナがその後ろを、小さくついてくる。


背後ではまだ、ざわめきが続いていた。


「あのエリス様が……」


「外部の家庭教師と対決……?」


「何が起きてるんだ……」


——だから言っただろ。


俺は心の中で呟く。


「設計が違えば、結果は変わる」

読んでいただきありがとうございます!


今回は天才枠のエリスが登場しました。


強いけど安定しないタイプです。

次回、どうなるか。


よければ続きも読んでください!

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― 新着の感想 ―
毎回まったく同じ魔法を発動出来ないなら制御できておらず危険というのはどういうことでしょうか。 具体的に何か起こるのでしょうか。それともあくまで技術的な話でしょうか。
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