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落ちこぼれ美少女たちを再設計したら、全員最強になった件  作者: 白石ロジック


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魔力暴走の少女

落ちこぼれ扱いされた美少女たちを、

おっさん家庭教師が理屈で全部立て直していきます。


スカッとしつつ、ちょっと納得できる話を目指してます。

「この子は“危険個体”です。これ以上、関わるべきではありません」


目の前の教師は、そう言い切った。


まるで、もう結論が出ているかのように。


……なるほど。


俺は、視線を横にずらす。


部屋の隅。

そこに、小さく座り込んでいる少女がいた。


銀色の髪は乱れ、俯いたまま顔は見えない。

両手はぎゅっと握られ、わずかに震えている。


——だが。


「……」


何もしていないはずのその少女の周囲で、

空気がわずかに歪んでいた。


机の上の紙が、触れてもいないのにかすかに揺れる。


……強いな。


「名前は?」


俺が声をかけると、少女の肩がびくりと跳ねた。


「……ルナ」


かすれた声。


その一言だけで、部屋の温度がわずかに下がる。


魔力が、漏れている。


制御できていない――


いや、違う。


そもそも、制御の仕組みが存在していない。


「見た通りです」


教師が、ため息混じりに言う。


「詠唱は覚えている。ですが発動のたびに暴走する。周囲に被害が出る可能性がある以上、学院としては――」


「丸暗記か」


俺は途中で言葉を切った。


教師が眉をひそめる。


「……何です?」


「詠唱、全部覚えさせただろ」


一瞬の沈黙。


それで十分だった。


「……それが、何か問題でも?」


……やっぱりか。


俺は小さく息を吐いて、少女――ルナを見る。


呼吸は浅い。視線は泳ぎ、魔力の流れはばらばら。


順序が崩壊している。


「ルナ」


名前を呼ぶと、少女がゆっくり顔を上げた。


不安と恐怖が入り混じった目。


その奥に、ほんのわずかに期待がある。


「安心しろ」


俺は淡々と言った。


「お前は壊れてない。壊れているのは、やり方の方だ」


「安心しろ」


俺は淡々と言った。


「お前は壊れてない。壊れているのは、やり方の方だ」


「……っ」


ルナの瞳がわずかに揺れる。


だがすぐに、困惑と警戒がそれを覆った。


「無理です……私、何度やっても……」


「いいから、一度やってみろ」


俺は机の上に置かれていた紙片を指で弾いた。


「簡単なやつでいい。火でも風でも、何でもいい」


「……でも」


「いいから」


少しだけ、語気を強める。


ルナはびくりと肩を震わせたあと、小さくうなずいた。


震える手を前に出し、ぎこちなく詠唱を始める。


「……フレイム、リ……」


その瞬間。


ぶわり、と空気が膨張した。


魔力が一気に噴き出す。


机の上の紙が舞い上がり、壁にかけられた布が大きく揺れる。


——暴走。


教師が一歩後ずさった。


「ほら見なさい! だから危険だと――」


「止めろ」


俺は短く言った。


「……え?」


「詠唱を止めろ。今すぐ」


ルナがはっとして、言葉を飲み込む。


魔力の噴出が、ぴたりと止まった。


その場に、重たい静寂が落ちる。


「……今の、分かったか?」


俺はルナを見る。


ルナは息を切らしながら、首を横に振った。


「じゃあ教える」


俺は机に指で三本の線を引いた。


「魔法は三つに分かれる」


「……三つ?」


「イメージ、流れ、詠唱」


指で順番に叩く。


「お前は今、これを全部同時にやろうとしてる」


ルナの表情が固まる。


「……違うんですか?」


「違う」


俺は即答した。


「順番がある」


一本目の線を叩く。


「先にイメージを固定する」


二本目。


「次に、魔力の流れを作る」


三本目。


「最後に詠唱で形を確定する」


教師が眉をひそめる。


「そんな理論、聞いたことが――」


「だからできないんだろ」


一言で切る。


教師が言葉に詰まった。


「ルナ」


俺は視線を戻す。


「今から詠唱は禁止だ」


「……え?」


「いいからやれ」


少女は戸惑いながらも、ゆっくりと手を前に出した。


「火を出すな」


「……?」


「“火がある状態”をイメージしろ」


ルナの目が閉じられる。


呼吸が、少しずつ整っていく。


さっきまで暴れていた魔力が、わずかに落ち着く。


——いい。


「そのまま、動かすな」


俺は静かに言う。


「流れだけ作れ」


少女の周囲に、ゆるやかな魔力の循環が生まれる。


さっきとは違う。


爆発ではなく、連続。


「……最後だ」


俺は一歩だけ近づいた。


「短く言え。“火”だけでいい」


ルナの喉が、ごくりと鳴る。


そして――


「……フレイム」


ぼっ、と。


指先に、小さな火が灯った。


揺れることもなく、崩れることもなく。


ただ、そこに在る。


「……え」


ルナが目を見開く。


教師も、言葉を失っていた。


俺はその様子を見て、小さく息を吐く。


「な?」


「設計を変えれば、結果は変わる」


ルナの指先で、静かな火が揺れていた。


さっきまでの暴走が嘘みたいに、

ただ、安定してそこに在る。


「……出た」


かすれた声。


信じられないものを見るように、ルナは自分の指先を見つめていた。


「私、ちゃんと……出せてる……」


震えていた手が、今は止まっている。


魔力も、乱れていない。


ただ、静かに流れている。


「馬鹿な……」


背後で、教師が呟いた。


「こんな短時間で、安定させるなど……そんな理論は――」


「理論がないんじゃない」


俺は肩をすくめる。


「あんたらが知らないだけだ」


教師は何か言いかけて、言葉を失った。


ルナはまだ、火を見つめている。


その瞳に浮かんでいるのは、恐怖じゃない。


——確信だ。


「……もう一回、やってみてもいいですか」


小さな声。


だが、さっきまでとは違う。


「好きにしろ」


ルナは一度深く息を吸い、目を閉じる。


イメージ。


流れ。


そして——


「フレイム」


今度は、迷いなく。


指先に、同じ火が灯った。


揺れない。


崩れない。


ただ、そこに在る。


「……できた」


その一言に、すべてが詰まっていた。


俺はそれを見て、静かにうなずく。


「ああ。できてる」


——これで十分だ。


基礎は入った。


あとは積み上げればいい。


「さて」


俺は軽く背伸びをする。


「今日のところはここまでだな」


「……え?」


ルナが顔を上げる。


「もう終わり、ですか?」


「十分だろ」


俺は淡々と言った。


「今まで何年やってもできなかったことが、今日できたんだ」


「それ以上、何をやる」


ルナは言葉を失い、それからゆっくりとうなずいた。


その顔には、もうさっきまでの影はない。


代わりにあるのは——


ほんの少しの、自信だ。


俺はそれを確認して、部屋を出ようとした。


そのとき。


「待ってください!」


教師が慌てて声を上げる。


「あなた、一体何者なんですか……!」


俺は足を止めて、少しだけ振り返った。


そして、短く答える。


「ただの家庭教師だ」


それだけ言って、今度こそ部屋を出た。


——その日のうちに。


「危険個体とされていた少女が安定して魔法を発動させた」


という報告は、学院中に広まることになる。


そして同時に、


「正体不明の家庭教師が現れた」


という噂も。


——面倒なことになりそうだな。


俺は小さく息を吐いた。

読んでいただきありがとうございます!


とりあえず一人目、安定しました。

でもまだ序盤です。ここから増えます。


次は学院がざわつきます。

よければ続きも読んでください!

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― 新着の感想 ―
何故この教師は誰かも分からない相手に落ちこぼれの少女を紹介したのでしょうか
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