5話:情報
「大きな時代のうねりが来るな」
西園寺の発言はこれからの激動を予期していた。
そして、秘書も静かに頷く。
「それから来月のギルドマスター会議で議決を得てからになるが、ブレイバー学校に来年度から新たなクラスを新設する予定だ」
「新たなクラスですか?」
「そうだ」
二人の間に、僅かな沈黙が降りる。
「それは政府からの意向ですか?」
単なる確認の為の問い。
「それもなくはないがまだ未確認の情報だが今回、アメリカで5次職が発現した者は学生時代、職業なしで目も掛けられていない者だったらしい」
秘書は少しだけ思考する。
「では職業なしの者のクラスを新設するのですか?」
「そうだ。それと魔導技術科も新設し、魔法科は攻撃魔法と回復魔法でクラスを分ける。その上で5次職に至った者がもともと職業なしだったことは公にはしない。理由はわかるな?」
秘書は考える素振をして、2つの理由に思い当たる。
「一つは他の職業の者達に希望を持たせること。2つ目はブレイバーになった者達は選民意識が取り分けて、高い者が多いからですね」
西園寺はそうだと言わんばかりに机の上で手を組む。
「うむ、憶測であろうと、今まで自分達よりも下だと思っていた職業の者が潜在値が高いからと言われ、優遇されることを許せる者は少ないだろう」
西園寺としては、職業なしの者を理不尽な者達から守るためにも、学科を増設することで教師や生徒への目眩まし。
そして、政府や各種機関から要求されている魔導技術、魔法技能の向上を目論だ二重の策であった。
「わかりました。では講師と設備の手配も追加で行っておきます」
「急で悪いが頼む」
「それが私の仕事ですので」
著しく頭を下げると秘書が出ていく。
その様を見送ると上質な椅子を180度反転させ窓の外に映る夜景を見ながら、深く溜息を吐くのであった。
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場所は移り、御堂久遠の自室。
決意をした後、少しでも今後の役に立つ情報はないかとパソコンに噛りついている。
中学に入ってからというもの、自分自身がブレイバーになるとは、まったく考えなくなっていた為に知識が不足していた。
そこでまずは自身に備わっていた技能:直感について調べている。
すでにパソコンと向き合って、数時間は経っているが解ったことは少ない。
というのも直感スキルは一応、N〜Rランクに属するということ。
珍しくはあるが、全く所持者がいないわけでもないスキル。
このスキルのランクはブレイバー達が実際に使用して、有用性と希少性で勝手に判断したものだ。
なので人によって使えると言う者もいれば、またその逆もしかりといった具合にスキルランクが定まっていない微妙なスキル。
結局、スキルで大事なのはしっかりと意識して使うこと。
あとは、レベルアップ時に貰えるポイントを消費してスキルを取得し、スキル同士の組み合わせをどうするか、次第なのだが[職業なし]はレベルが上がってもポイントが貰えないことがわかった。
これが最弱と言われる所以だ。
決意して、やる気を出したのに出鼻を挫かれるとはこのことだった。
だけど、掲示板の書き込みを思い出す。
「レベルがカンストしたら1次職にクラスアップした」
この書き込みが本当なら、0次職と言われる職業なしは他の職業よりも、アドバンテージを得られるはずだ。
なぜなら、ポイントは貰えなくても能力は上がるから。
ちなみにスキルの組み合わせについて、言及すると。
例えば、1次職の剣士の場合、剣士ジョブを授かった時点で先天性のスキルとは別に、俺でいう直感スキルの他に職業技能として剣術スキルを授かる。
みんなは忘れてしまったかもしれないが、浜口が授かった荷物持ちの職業技能はアイテムボックスになる。
なので、剣士なら剣術スキルと相性の良いスキル、回避や筋力上昇などを取得するのが主流だ。
取得できるスキルは効果の高いもの程、必要ポイントが高くなり、ジョブによっても取得可能なスキルに違いが出てくる。
ポーターは極端に取得可能な戦闘系スキルが少なかったり、剣士では魔法系スキル取得に倍のポイントが必要となったりだ。
この仕様のせいでネット上には魔法剣士の夢を打ち砕かれ、嘆くニキが大勢存在する。
それでも夢を諦めきれず、無理して魔法スキルを取得したばかりにクラス1や2で成長限界に達して、ブレイバー人生が詰みかけてる奴もいるようだ。
一般的なブレイバーの成長限界は、クラス3と言われている。
ほんの一握りの才能がある者だけが、クラス4に到達できるとも。
日本でも過去を振り返っても、クラス4に到達したものは50人程しかおらず、現役に限って言えば10人のみ。
さて、少々深刻な話になってしまったが、実はポイントを消費しなくても、スキルを取得できる方法が2つもある。
一つ目はズバリ!努力だ!
この方法はそのまま、反復練習を繰り返しいつ報われるかわからない。
もしかしたら、報われることがないかもしれない努力をひたすら行うこと。
この方法でスキルを取得できた者はわずかだが努力が実を結んだ者達は皆、強者揃いらしい。
そして、2つ目は初回ダンジョンをソロで攻略すること。
難点は命懸けであり、望んだスキルが得られる確率が低い事。
また、ダンジョンには難易度があり、難易度に合わせたランク以下のスキルしか得られないこと。
今はまだ資格がない為、ダンジョンに挑むことができない。
ならば、不足している知識を補うのと、戦闘に耐えられるように身体を鍛えるのが、先決との結論に至る。
これからの目標が見えたことで、心に余裕ができた気がする。
「死にたくないからな」




