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イヤイヤからノリノリでダンジョン攻略  作者: くろのわーる
ダンジョン編

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58話:強いのは?



 午前中の模擬戦は姫川が主役で、俺はやや不完全燃焼だがお腹は空く。


 山口が気絶した後、もうお昼ご飯の時間とあって柴田も姫川にサクッと気絶させられていた。


 それについて、語る女子が誰もいないので俺が話しておく。


 2人は今頃、仲良く夢の中だ。


 テーブルでは午前中の模擬戦で学んだ事で盛り上がっている。


「戦闘科の授業より、身につくわね」


「ホント、怪我させても近藤さんがいるから思いっきりいけるよね」


 何だろ、悪寒が走った。


「まあ、全部防がれちゃったけど」


「御堂君、ホント強いよね」


 なんだか照れくさいが悪い気はしない。


「姫川さんもめっちゃ速いし、全然当てられないし、どっちが強いんだろうね」


 何気ないひと言だった。


 だが、全員の箸が止まり、会話も止まった。


「あっ、い、今のはナシで……」


 気不味い空気がテーブルを支配する。


 そんな空気を破ったのは姫川。


「御堂、午後からの模擬戦で決着をつけましょ」


 俺の方を向いて、告げた姫川の目は真剣な眼差しだった。


「……わかった。どっちが上か決めようぜ」


 本気には本気で返す。


 口を滑らした姫川のパーティーメンバーの子は動揺していたが、他のみんなは興味津々といった感じだった。




 昼休憩を終えた俺達は再びグランドに足を運んでいた。


 お互いに無言で柔軟する様子に周りは固唾を飲んで見ている。


 そこに野々村先生が東雲先生を連れて来る。


「お前ら、休日まで訓練してるなんて真面目だな」


 一人だけ、いつもと変わらない雰囲気。


 わざわざ呼んだのは、ストップ役。


 ここに集まったメンバーの中に俺と姫川を物理的に止められる奴がいないからだ。


 柔軟を終えた俺達は正対する。


「まあ、面白そうだから良いか」


 俺も姫川も、東雲先生なんてもう見ていない。


 そこにあるのはライバルと認めた相手への勝敗。


 二人が放つ闘気に誰もが口を噤んだ。


「若いって、いいねぇ」


 東雲先生が呟いた言葉は誰にも届かなかった。


 二人の間に立つと、両者を見る。


「手加減は必要ない。いざとなったら俺が止めてやるから本気で殺れ」


 こんなことをいう教師がいて、いいのか――


 コンプライアンス的に問題有りだが、ここは探索者学校。


 強い奴が正しいと言われる野蛮な場所。


 誰が強いとか、あいつが強いとかが重要になる。


 それは学内ランキングシステムがあることが何よりの証拠だ。


 先週に見せてもらった上級生達の決闘。


 俺達もいずれは参加する戦いの前哨戦だと思えばいい。


 俺は木刀を腰から抜く仕草をして、正眼に構える。


 向き合う姫川もレイピアを模した木剣を腰から抜く仕草の後、半身になり突きの構えをとる。


 全員が息を呑んだ。


 二人の仕草がまさに実剣を扱っているようで錯覚したから。


 東雲先生がゆっくりと腕を上げる。


 姫川と目が合う。


 上げられた腕が振り落ろされるのがやけに遅く感じる。


「始めっ!」


 合図と共に踏み出したのは姫川。


 その手に握られた木剣が御堂を捉えていた。




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