56話:自主練
フロアボス周回をしている俺達のパーティーは上級生達の間で密かに噂となっているらしい。
話はそれだけだ。
さて、俺と姫川が計画した同級生のトップになる目標は達成されている。
この一週間で俺のレベルは9。
当然、姫川も。
そして、パーティーメンバー達は全員がレベル5に達している。
今日は週に一度の貴重な休み。
俺は部屋でゴロゴロと、身体を休ませている。
「ステータスオープン」
この一週間で成長した成果に頬が緩む。
名前:御堂 久遠
職業:なし 称号:大物喰い、完全試合
レベル:9 0P
筋力:22+20
体力:26+20
魔力:9+20
精神:22+20
耐性:16+20
器用:39+20+1
敏捷:22+20
魅力:19+20
幸運:21+20
技能
直感 集中 刀剣術
装備中:無銘の軍刀
器用の指輪
世界が豹変する前なら、トップアスリート並みの能力値。
だが、ブレイバーの世界ではまだまだヒヨッコ。
嬉しさは隠し切れないが緩んだ頬を引き締めると、勢いよく起き上がる。
立ち上がると窓の外に柴田と山口が歩いているのが見えた。
何処に行くのだろうか?なんて分かっている。
柴田の肩には槍が山口の手にはグローブが付けられている。
本日はダンジョンに入ることは出来ない。
なら、武器を持ってやることなど一つ。
自主練だろう。
この一週間、あの二人は頑張ったらしいがレベルは4止まり。
俺と姫川との差は5レベル差。
うちのパーティーメンバー達にも抜かれてからは口を聞かなくなった。
向こうがな。
俺は嫌らしいくらい話し掛けているけど……。
そこがまた癪に障るんだろう。
より距離が開いた気がする。
部屋の隅に立て掛けてあったサーベルを手に取ると、腰に帯びて部屋を出る。
目的地は柴田、山口が向かってあろうグランドだ。
勿論、絡みに行く。
というのは半分は嘘でスタンピードに向けて、やれることはやっておきたいから。
職業なし科御用達のグランド、その中央に柴田と山口が模擬戦をしている。
そして、他にも人影が……。
姫川パーティーに俺のパーティー、さらに保奈美たち回復科がいた。
俺は当然、保奈美のところへと向かうが――
「あんた、来るのが遅いわよ!」
姫川さんや、開口一番がそれですか。
「そもそも、集まる約束なんてしてないだろ?」
今日ここに集まるなんて、ひと言も話し合っていない。
「何、腑抜けたこと言ってるのよ!スタンピードまでもう一ヶ月を切ってるのよ」
俺はなんとなく、保奈美を見る。
すると保奈美は頑張れ!と両手でガッツポーズをするので、真似ておこう。
「さあ、やるわよ!」
引き摺られるようにして、連れていかれた。
素振りでもしようかなと思っていたのにパーティーメンバー達との模擬戦。
当然だが、木剣とか木刀を使用している。
それでも俺には保奈美が、姫川には茅ヶ崎さんがいるからと当てていいことになっている。
しかも、何故か勝ち抜き戦。
ちょっと、ハードな1日になりそうだぜ。
パーティーメンバーとの一週目の模擬戦が終わる頃、見学する人数が増えていた。
柴田と山口だ。
二人は真剣に俺の立ち会いを見ている。
そして、模擬戦が終わると近付いて来た。
「御堂、頼みがある」
いつもと違う表情。
羞恥心と切迫感。
「俺達とも模擬戦をしてくれ!頼む!」
俺は頭を下げる二人の後頭部を見ていた。




