55話:トップを狙え!
フロアボスを倒し終わり、みんなの元へ戻る。
色々な種類の視線。
羨望、畏怖、興味、驚愕。
最も熱い視線は上級生達から向けられる興味の視線だ。
「お疲れ様、言うだけのことはあったわね」
俺は軽く頭を下げておく。
「本当に一年生なの?」
上級生達は俺と姫川のバッジを確認して、目を剥く。
「グレーのバッジ……そんな」
俺たち、職業なしはグレーのバッジ。
同じ一年の戦闘科の奴らは一度、俺と姫川に〆られているから、最早侮ってくることはないが――
「貴方たち、職業なしなの?」
「ええ、そうですけど、何か問題でもありますか?」
興味から疑いの目に変わった。
この人達もやっぱり同じなのか……。
――
僅かな間を割いたのは先輩方。
「職業とか関係なく、有望な後輩は歓迎よ」
「そうね、東雲先生も元は"職業なし"だったらしいし」
「頑張ってね!」
軽いウインク。
俺は一瞬だけ、ホント一瞬だけ見惚れた。
「ふふ、私達は少し離れたところから監視させてもらうわね」
俺は静かにその後ろ姿を見送った。
「近藤さんに言いつけるわよ。鼻の下伸ばしてったって」
姫川様〜!?勘弁してくだせぇ〜。
―――
俺と姫川はパーティーメンバー達を前に戦闘方針を伝える。
「初めての集団戦になるがさっき見てもらった通り、一度に襲ってくるのはこちらと同数程度」
向こうはこちらの3倍近い数がいるが単純計算で3回の戦闘で終わる。
希望的観測とも言うが。
「全員が横一列に並んで迎え討とう!」
みんな、ここに来るまでに一対一での戦いは済ませてある。
正直、柴田や山口よりも筋が良いと思う。
「最悪、何かあっても心強い先輩方が助けてくれる」
俺は使えるものは何でも使う主義だ。
みんなは少し離れた場所に立つ先輩達へ目を向ける。
先輩達は良いように利用されたと分かって、苦笑いを浮かべている。
「リポップまでは30分。上手くいけば、今週中に他の同級生達よりも頭二つは抜ける!」
これは事実だ。
他の同級生達はレベル2に上がった奴らがチラホラいる程度だが、うちのパーティーそして姫川のパーティーメンバーは皆、レベル3に達している。
「ここがブレイバーとして、分水嶺だ!」
全員の表情にやる気がみなぎる。
「俺達が一年のトップになるぞ!」
「「おう!」」
上手く、指揮を上げることが出来て満足だ。
「リポップまで後20分、各自武器の点検をしておくように」
それだけ告げると姫川が寄ってくる。
「御堂、打ち合わせするわよ」
「わかった」
俺達はパーティーリーダー。
メンバーに怪我を負わせるわけにはいかないからな。
打ち合わせは開始5分前まで続いた。




