53話:了承
今週から始まったパーティー実習も三日目を迎えた。
俺と姫川のパーティーは順調で学年の中では頭ひとつ飛び抜けている。
というわけでうちのメンバーを改めて、紹介しよう。
まずは魔技科の片桐さん。
パーティー編成に当たって、最初に声を掛けてきた二人のうちの一人。
将来は家業を継いで、鍛冶師になりたいと言っていた。
刃物で有名な地域出身らしくて、武器についての知識も俺とは比べものにならない。
仲良くなったことで俺のサーベルのメンテナンスも引き受けてもらったりしている。
次は補助科の島袋さん。
片桐さんと共に声をかけて来た一人で二人は同じ出身地とのこと。
職業は荷持ちで今のところ、一番戦闘に苦労している。
怪我をさせるわけにはいかないので、要フォローだ。
そして、戦闘科の伊勢さん。
活発な性格の持ち主で職業は剣士。
勝ち気ではないが負けん気が強いようで、よく戦い方について俺に質問してくる。
面倒見もよく実質、このパーティーのサブリーダー的存在だ。
それから魔法科の如月さん。
職業はレア寄りの魔法使い。
……正直、羨ましい。
まだ、魔力の塊を飛ばすことしか出来ないらしいが初めて見た魔法には憧れる。
大人しく性格も控えめで、伊勢さんの後ろに隠れてることが多い。
所謂、小動物系女子だ。
最後は斥候科の早川さん。
職業は斥候で最近ではパーティーの先頭を任せている。
どうやらイメージするブレイバー像があるらしく、それに向かって努力しているからか、結構ストイックな一面がある。
今、パーティー内で一番伸びてる成長株だ。
ただ、本人はまだ自覚していない模様。
みんなが装備の点検を終えたのを確認すると声を掛ける。
「全員、準備はいいか」
「大丈夫よ!」「こっちも問題なし」
みんなの顔は初日とは比べものにならないほど、落ち着いている。
「よし!行こう!早川さん、よろしく」
「任せて」
隊列を組んで歩く俺達の横に姫川パーティーが合流する。
「今日もよろしく」
「うん、頑張ろうね!」
みんなも当たり前のように受け入れている。
俺はもう何も言わないよ。
無駄とかそういうことじゃないんだ。
女男比11:1。
相手方は同調圧力を得意としている。
勝てる要素が微塵もない。
戦って良い相手ではないのだ。
「御堂」
「ん?」
「みんなもだいぶ慣れてきたから効率を優先したいわ」
姫川からの提案。
効率と聞いて、思い浮かんだのはひとつ。
フロアボス周回だ。
だが――
「まだ、流石にボスゴブリンは早いと思うぞ」
「ボスは私とあんたで受け持つのよ」
姫川の言い分も分かる。
ボスゴブリンの周りにはゴブリン共が一回で30匹程湧く。
ふらふらとフロアを歩いて、ゴブリンを探すよりも遥かに効率的なのだ。
「そっちのみんなは了承してるのか?」
「説明して、了承してもらったわ」
俺は後ろを振り返り、自分のパーティーメンバーを見る。
みんな聞こえていたようで、その表情にはやる気を感じた。
「(それに私達のレベル上げにもなるわ)」
小声で言う姫川のひと言が魅力的で俺も了承した。




