51話:責任感
初めてのパーティー実習から一時間くらいは経過したと思う。
これまでに倒したゴブリンの数は14体。
全てのゴブリンを俺が弱らせて、パーティーのみんながトドメを刺すスタイルだ。
過保護かもしれないが初日だし、これでいいと思ってる。
それに次で恐らくだが、みんなのレベルが上がると思う。
「みんな、次でレベルが上がるはずだ」
この一声でみんなの戦意が戻る。
「だから、今日はそこで終わりにしようと思う」
全員が頷くのを確認すると、最後の標的を求めて歩き出した。
俺のパーティーメンバーがうつ伏せで倒れるゴブリンを囲む。
その顔には期待と焦燥が滲む。
これでレベルが上がる。
やっと終われるからと――
合図に合わせて、武器を振り下ろす。
ギャア!?
ゴブリンが黒い霧に変わると、誰もが止まる。
やがて、「……レベルが上がった!」と歓声が広がる。
「おめでとう!みんな頑張ったな!」
まるで指導者のような励まし。
俺はいったい何様なのか、疑問が湧くが目標を達成出来てホッとする。
「みんな、おめでとう!」
見守っていた姫川のパーティーからも声がかかる。
「次は私たちの番よ!」
「はい!」
姫川は誰より先に声をかけ、仲間たちも迷いなく返事をする。
隊列も乱すことなく、気を抜いていない。
うちのパーティーよりも結束力が良さそうだ。
解放感からか、地面に座るメンバー達。
東雲先生が見たら、ダンジョン内で気を抜くな!なんて言いそうだ。
「みんな、お疲れ様。姫川のパーティーもレベルが上がったら一緒に帰ろう」
初めてのパーティーリーダー。
上手く出来たとは言い難いが、無事に終えたことが嬉しかった。
「御堂くん、ありがとね」
当初、一番緊張していた島袋さんが声をかけてきた。
「御堂くんのパーティーに入れてもらえて良かったよ」
「ホント、そうね」
みんなは同意する。
「ただ――」
みんなの口角が僅かに上がった。
「出来ない奴はパーティーから外れてもらうは酷過ぎるわよ」
「あはは……ごめんなさい」
クスッと笑いが起きる。
「でも、頼りになるのは間違いないわね」
向けられた笑顔に何故か、顔を背けてしまった。
少し離れたところで歓声が上がる。
「姫川たちもレベルが上がったみたいだな」
笑顔でハイタッチするのが見える。
「さあ、俺たちも帰ろうぜ!」
どうなるか心配だったダンジョン実習は終わった。
正直、一番緊張していたのは俺だと思う。
でも、リーダーとして恥ずかしい姿も、頼りない姿も見せたくなかった。
リーダーが不安ではメンバーに伝染してしまうから。
「お待たせ」
いつも自信に溢れている姫川。
何だかんだ言っても気遣いが出来る俺とは違うタイプのリーダー。
明確な差を見せつけられた気がする。
だけど、ライバルとして負ける気はない。
「何よ?」
「いや、別に……」
俺は振り返り、パーティーメンバーを見る。
「明日の目標は一対一で討伐だ!」
「……」
この宣言は不評だった。




