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イヤイヤからノリノリでダンジョン攻略  作者: くろのわーる
ダンジョン編

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47/51

46話:成果



 東雲の呟きに、柴田と山口が目を見開く。


「結構、ギリギリだが上手くやってるな」


 その言葉には、助けに入る気は含まれていなかった。


 姫川のレイピアが漸く抜けた。


 そして、距離を取る。


 御堂とボスゴブリンに向けられる視線。


 その目に宿る感情は、悔しさ。


 御堂のおかげで、助けられた事実から来ていた。


 対峙する御堂とボスゴブリンの視線は、互いだけを捉えていた。


 その輪の外に立つ自分の存在が、妙に浮いて見える。


 だが、御堂がゆっくりと摺り足で側面に回ろうとする。


 それに釣られて、ボスゴブリンも身体の向きを変えた。


 自分が戦いから省かれた悔しさはあるが、こんな好機を逃すのは愚かだ。


 姫川は一つ呼吸を整えると、レイピアを握り締める手を緩めた。


 感情の昂ぶりや、冷静さを欠いた状態では満足なパフォーマンスは出来ない。


 今回のダンジョン実習で、御堂から学んだこと。


 がむしゃらな自分には、まだ足りない要素。


 心の底から、目の前にいる同級生をライバルだと認めた瞬間だった。



 動き出したのは、御堂。


 対抗する為にボスゴブリンが身構えるが――


 御堂の動きは、フェイントだった。


 本命は、姫川。


 御堂から視線を外さなかった姫川は、彼の思考を見抜き、その一瞬の隙をついた。


 ボスゴブリンの胸から、レイピアの鋭い剣身が生える。


 そして、素早くレイピアは引き抜かれた。


 同じ轍は踏まないと、言わんばかりに。


 苛立ちから、ボスゴブリンは姫川の方に振り返るが……。


 丸見えとなった首を御堂のサーベルが切り裂いた。


 膝から崩れ落ちるボスゴブリン。


 障害がなくなったことで、二人の視線の高さが合う。


 音の言葉はない。


 でも、確かに二人は目だけで会話していた。



「お疲れさん」


 不意に声を掛けられたことで、二人の会話は終わった。


 ボスゴブリンは黒い霧となって消える。


 ピコン!


『レベルアップしました!』


 本日、3回目のレベルアップ。


 姫川の目標は達成された。


 そして、黒い霧がなくなった後には宝箱がひとつ。


「ああ、フロアボスからは宝箱が出るぞ」


 俺と姫川は再び目を合わせる。


 当然、どちらが宝箱を開けるかについてだ。


 僅かな沈黙。


 やがて、姫川は口を真一文字に結んだ後、言葉を発した。


「あんたが……開けなさいよ」


 予想外な答えに戸惑うが。


 俺は譲ると、決めていたので迷いはない。


「いや、姫川が開けろよ」


「じゃあ、遠慮なく」


 早っ!決断も戦闘スタイルも早い!


 姫川はるんるん!と宝箱に近付く。


 俺も、東雲先生、柴田、山口も覗き込むように宝箱を囲む。


 ゆっくりと蓋が開けられた。


 中には、一枚の紙。


 姫川が手を入れて、紙切れを取る。


 そこにはひと言。


『20RP獲得』と、書かれていた。


「「……」」


 東雲先生以外は動きを止めた。


「おお、初めてのランキングポイント獲得だな」


 俺は思わず、聞いていた。


「浪漫アイテムとか、厨二武器は?」


「そんなの出るわけないだろ。ここは政府が管理してるダンジョンだぞ」


「……」


 俺はダンジョン実習二回目で現実を突き付けられた。


「御堂、ポイントは半分ずつよ」



 姫川の言葉が救いに思えて仕方なかった。




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