38話︰部屋
「れいれい、お疲れ様!」
姫川ファンの真由が自身の隣の席を勧める。
「ありがと」
静かにお礼を言うが、俺から目を離さない。
「なんか用か?」
普段は目を合わそうともしないのに、今日は睨みつけてくる。
これは異常事態だろう。
姫川は視線を反らして、少しだけ逡巡するが意を決したように口を開いた。
「東雲が言ってたけど……あんた、スキルが生えたって、ホント?」
「おいおい、後ろに先生本人がいるのに呼び捨てか」
東雲先生にツッコむやつはいない。
それにしても、確かにスキルは生えたが、どうして解ったのか。
と言っても、東雲先生は腐っても一流ブレイバー。
しかも、模擬戦の相手をしてもらっていたから、気付いてもおかしくはないか。
それに何が生えたかまで言うつもりはないから、別に言ってもいいか。
「ああ、生えたぞ」
その瞬間、姫川の表情が一瞬だけ崩れた。
「……私はまだ、何も掴めてないのに」
うん、読めたわ。
東雲先生のやつ、また俺を踏み台にして姫川に発破をかけたな。
俺と姫川はライバル宣言してることも知ってるのか……。
「あんたには!負けないから!」
それだけ言うと、素早く食事を済ませて席を立とうとする。
……たぶん、いや絶対に昼休憩に素振りするつもりだな。
それは全員が感じていた。
「れいれい、待って!」
真由もそれは解ったのか、引き止める。
「午後からも授業があるから、身体を休めた方が良いわ」
もっともな意見に姫川の動きが止まる。
だが、その表情は苦い。
「なら……私がヒールをかけるわ」
姫川の気持ちを察してか、真由が決断した。
ゆっくりと立ち上がると、姫川の両肩に手を置く。
「推しヒール!」
ヒールの効果で身体が淡く輝く。
食堂にいる他の科の奴らは、初めて見るヒールに息を呑んだ。
「少しは疲れが取れたかな?」
首を傾げる真由の両肩に、今度は姫川の手が置かれる。
「ついてきて」
それは圧力しかない、お願いだった。
「え!?」
返事を聞く前に手首を掴まれて、真由は連れて行かれた。
「真由、魔力が持てばいいけど……」
保奈美の呟きにみんなが同意した。
午後一番の授業。
再びの俺の寮部屋。
女子たちは慣れたのか、午前中ほどソワソワしてない。
保奈美に限っては、物を落としたふりをしてベッドの下を確認していた。
うん、探しても何もないからね。
そんな中、茅ヶ崎真由は疲弊していた。
「茅ヶ崎さん、何回使わされたの?」
野々村先生が問う。
「……4回……です」
「うん、成長してるわね」
感想はそこですか!?
「御堂くん、こっちのベッドは空いてるのよね?」
「……はい」
寮は基本二人部屋。
しかし、あふれた俺は一人で使っている。
「なら、こっちのベッドで休ませてもらいなさい」
真由は本当に立っているのも辛かったのか、ベッドに沈むのは早かった。
「さて、午後からの実習を始めますよ」
その言葉で俺は上半身裸になった。
月、水、金曜日あたりに更新してみようかな




