表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王位継承  作者: るーく
49/60

49

ジェシカさん事件のあとは、また一人で筋トレをして午前中は終わった。


さて、食堂はまだ飯抜きだから、自分の部屋に帰って食べよう。




「クルト」


「あ、リィム隊長、お疲れさまです!!」


「昨日から疑問に思っていたのだが、クルトは皆と同じように食堂へ行かないのか?」


「あ、それは……」



僕はかいつまんでリィム隊長に説明した。


ボコボコにされて気を失ってルールを破ったなんて言ったら、どんな顔されるやら……


別にいいんだけど、なんかカッコ悪いし、ね。




「なるほどな、それで自炊をしている、と」


「はい…でも最近始めたばかりなので、失敗しながら覚えてるところです」




それでは、と僕はリィム隊長の前から立ち去った。


昼休みの時間は貴重だからね。




貴重なんだけど……









僕が部屋に帰ってくると、テーブルの前にはリィム隊長が座っていた。



「おかえり、クルト」


「えっと……」


「不用心だな、鍵がかかっていなかったぞ」


「取られて困るものもありませんし…」



なぜ先回りされた!?


なぜ僕の部屋を知っている!?




「クルトの手料理が食べたい」


「え!?いや、そんな、リィム隊長に食べてもらうほどの物なんて作れないですよ!!」


「別に豪華な物が食べたいんじゃない。クルトが作った物を食べたいんだ」



だめかな?と小首を傾げる仕草をしたリィム隊長は、凛々しさとのギャップで、すごく魅力的だった。




「わかりました……ですが、期待しないでくださいね」


「すまないな、わがままを言ってしまって」









緊張するなぁ…

トモエ隊長とテレーズさんのときは、事前に心と食材の準備ができていたし…









今日自分が昼に作って食べようと思っていたチャーハンを、2人分作った。


失敗する確率が低い物の方がいいしね!!


どうせなら、おいしいと言ってもらいたいしね!!









「ふむ」


「チャーハンです。勉強中なので、正直な感想を言って頂けたら嬉しいです」


「わかった。ではありがたく、いただきます」



リィム隊長は両手を合わせたあと、レンゲを器用に使い食べ始めた。


よく考えたら、エルフの王女様にチャーハン出すとかありえなく無いか!?と思ったが後の祭り。


内心ドキドキだ。









「ごちそうさま」


「はい…いかがでした?」


「うむ、クルトの人間性がよく現れた素朴な味であった。また食べたくなる味だな」


「そうですか…」



まずくなかった、ってことでいいんだよね?


なんか恥ずかしいな。





「ふふ、私の国に行ったら、今度は私がクルトに振舞おう。あぁ、楽しみだな」


「はい、僕も楽しみにしてます!」



エルフの国の料理かぁ。

どんなのが出てくるんだろう。




リィム隊長に食後のお茶を出し、僕は後片付けをした後、一緒にお茶を飲み始めた。




「こういってはなんだが、クルトは王族っぽくないな。素直な青少年という感じだ」


「リィム隊長は王族っぽい男がお好みですか?」


「いや、ただプライドばかり高い王族や貴族は好まない。腹の中に何を溜め込んでいるか分からないからな」



リィム隊長は立ち上がると、座っている僕の後ろから抱きしめてきた。


心臓が跳ね上がる。


同時にふわっと、リィム隊長の甘い匂いが僕の鼻孔をくすぐった。




「プライドが高い王族や貴族にこういうことをすると、どうなるか分かるか…?」


「……あ、愛をささやき合うんですか?」


「違う」


「……」


「調子に乗るのさ。自分の物になったと思ってな」


「え?」


「王族や貴族なんて、所詮恋愛なんてゲームとしか思っていないんだ。女が甘い顔をすれば、自分の物になったとすぐに飽きてしまう。そのくせ、束縛したがりで、自分は自由にいたいという困った連中だ」


「な、なんかすごいですね」


「今のクルトみたいに、顔を赤くして体をこわばらせるなんて奴らには全くないからな」



僕の首に顔をスリスリするのはやめてください。


恥ずかしいです。




「すまないな、変な話をして」


「いえ……」


「クルトに触れる理由が欲しかったのだ。許せ」


「……」










しばらくそのままだった。


すごく、時間がゆっくり感じた。









「そろそろ午後の訓練の時間だな」


「はい…」


「これはおまじないだ。クルトの剣が上達しますように…」



リィム隊長はそう言うと、スッと僕の頬に口付けをしてきた。



一瞬何をされたか分からなかった僕は固まってしまった。



「ふふ、クルト、エルフの国ではこのおまじないをされたら、相手にも同じことをしてやらなければならないんだ」


「えぇ!?」


「さ、早くしろ。時間がないぞ」




リィム隊長にキスしなければならないのか!?


いや、でも、ほっぺただ。ほっぺたにだ。


意識するな、意識するな!!



僕とリィム隊長は立ち上がり、正面に向き合った。



「リ、リィム隊長がいつまでも健やかでありますように……」


「ん……」



僕は恐る恐るリィム隊長の頬にキスをした。


スベスベでしっとりしていた。



「ははは、クルト、震えていたぞ」


「な、慣れていないもので…」


「だが、すごく嬉しかった。今度するときは唇で誓い合いたいものだな」




リィム隊長はすごく良い笑顔だった。


何を誓いあうのかは聞かないでおこう。


うん。



「ありがとう、クルト。さぁ、訓練場に行こうか」



リィム隊長はそう言うと、僕から離れ、僕の手を取り、歩きだした。



僕は途中までならいいか、と手を握ったままで訓練場に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ