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訓練場
リィム隊長と手を繋いで歩いていたが、人通りが多くなる通路まで来ると、それとなく自然に手は離れた。
きっとリィム隊長が気を使ってくれたのだと思う。
しかし一緒に歩いているところを、トモエ隊長に、見られてしまった。
「リィム隊長にクルト、か。リィム隊長、昼食のときはどちらへ?」
「すまない、クルトの部屋で済ませた」
「そうであったか。給仕係に聞いても「自分で済ませる」と言われただけで、どこにいるか分からないと言われたものでな」
「言葉が足りなかったな。申し訳ない」
リィム隊長は客人だから、いきなりいなくなると困るんだろうなぁ。
しかも王女だし。
万が一の事があったら、アイネリアの評判に関わるし。
「すみません、トモエ隊長」
「いや、いいんだ。リィム隊長ならちょっとやそっとの暴漢相手でも問題ないであろうが、万が一、な」
どんなときでも最悪の状況を想定して行動する。
ミーティングでも何度も言われたことだ。
別れ際、トモエ隊長から耳打ちをされた。
「(後で何があったか聞かせてもらうからな)」
そして手をギュッと握られ、トモエ隊長は歩いていってしまった。
うーん、ドキッとしてしまった。
さりげない行動がかなり動揺を誘うなぁ、もう。
「クールーちゃーんー」
「あ、テレーズさん!」
「昨日からリィム隊長とトモエ隊長のガードがキツくて~、なかなか話せなくて寂しかったよ~」
昼休憩後の集合で並んでいた頃に、テレーズさんから話しかけられた。
「あ、実はですね……」
僕が言い掛けたところに、
「よし、では皆聞いてくれ!」
トモエ隊長の号令が響いた。
「明日、リィム隊長がエルフの国に帰られることになった!
指導を受けられるのは今日までになるため、聞きたいことがある者は今日中に指導を受けるように!」
「へえ~、もう帰っちゃうんだね~」
「みたいですね」
「それから、相互研修という形で私たちの軍からも、一人エルフの国に行くことになった!
だが、私たちの軍は少数精鋭であり、一人でも欠けると通常業務に支障が出てしまう!
そこで、まだ基礎訓練中のクルトに行ってもらうことにした!
もちろんこれは遊びではないし、帰ってきたら休んでいた分の訓練はすべてこなしてもらう!
異論がある者は今日中に私の所まで来るように!以上だ!」
テレーズさんがジト目で僕を見つめてきた。
「ふ~~~~~ん、そうなんだ~~~~~」
「あの、僕からちゃんと伝えようと思ってたんですけど、ちょうどトモエ隊長が……アハハ……」
「リィム隊長とね~~~~~、結婚を申し込みにきたリィム隊長とね~~~~~?」
「うぅ……」
「ちょ~~っとジェシカの気持ちが分かるような分からないような~~?」
「ご、ごめんなさい…」
怖い!テレーズさんが怖い!
「テレーズ、何も言わずに行かせてやろうぜ」
「ジェシカ~?」
「ジェシカさん…」
いつの間にかジェシカさんが隣にいた。
「クルトは必ず帰ってくる。私たちのもとに」
「ジェシカ~、でも~、いいの~?」
いいんだ、と目を閉じ深くうなずくジェシカさん。
「ジェシカさん、なんか、ありがとうございます」
「うん、気にするな。私は信じてるから、ね☆」
とウィンクされた。
「むむむ~、ジェシカのくせに~!!」
「テレーズ、余裕ないなぁ~。余裕のある女が大人の女だぜ~?」
「ふん~、クルちゃんが結婚して戻ってきてから焦っても遅いんだからね~!!」
「クルトは必ず私たちのところに戻ってくる!!・・・多分!!」
「あ、あはは・・・」
そんな話をしていると、すごい勢いでこっちにくる物体が!!
トモエ隊長だ!!
「こらー!!おまえたち、早く訓練を始めないか!!」
「「「す、すみませーーーん!!!」」」
僕らは自分の訓練にそれぞれ散っていった。
テレーズさんんもジェシカさんも、寂しいんだろうな。
僕のことをすごく考えてくれてる。
それに対して僕は・・・
僕は・・・
二人に何かしてあげたい、と思った。
恩返しでもあり、親愛の気持ちであり・・・
それ以外の気持ちも、込めたいな。




