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ジェシカさんの目は爛々と輝いている。
どうしたものか・・・
このまま腹筋すればただの変態になってしまうし、しなかったらしなかったでジェシカさんに怒られそうだし・・・
「クルト、まさかアタシの胸見たくないっていうのか!?」
「いやいやいや、なんでそうなるんですか!」
「タダでキレイなお姉さんの胸が見られるチャンスだぞ!それに腹筋も鍛えることができて一石二鳥!!クルトも誘惑できて一石三鳥!!!」
「あはは・・・」
どうしようどうしよう。
するべきかしないべきか。
どうしようどうしよう。
と、そのとき何かが飛んでくるような音が聞こえた。
これは・・・
剣の音だ!!
そう思ったのも束の間、ドスッ!!と僕の顔の左横に剣が突き刺さった。
その剣を確かめたあと、僕は右を向いた。
剣を投げました、というフォームのまま固まっているトモエ隊長が見えた。
顔は下を向いているようで見えない。
が。
炎のように真っ赤なオーラが漂っている事はわかる。
「あっぶないなー!これだからトモエ隊長は・・・」
ジェシカさんは特に動揺もせず、トモエ隊長の悪口を言う。
僕は冷や汗をかいていた。
ゆうに50メートル以上は離れているところから、僕の顔の真横を狙って剣を投げてきたトモエ隊長。
思った。
怒られるって。
案の定、怒られた。
あのあと、トモエ隊長は僕らがいるところまでダッシュで来て、ジェシカさんの頭にゲンコツを一発お見舞いした。
僕はびっくりして立ち上がった。
「いっっっってえええぇぇぇ!!!ちくしょう、なんで分かったんだよぅ!!!」
「訓練場内で、高らかに下着を掲げていれば誰だって気づくであろう!!訓練をなんだと思っている!!」
「ただ漠然と筋トレなんてしたって意味ないんだよ!少しぐらいギャンブル性があった方が、はかどるってもんだ!!」
「ほう・・・言い訳するとは良い度胸だ」
「ふん!!」
ガルルルル、と唸るジェシカさん。
あんまり好きじゃないトモエ隊長相手だから、余計に食い下がるんだろうな。
僕はどうしたら良いのだろう。
「トモエ隊長、すみません。すぐに筋トレの続きを始めますからこれくらいに・・・」
「クルト、なぜお前が謝る。間違ったことをしたのはジェシカであろう」
「なんだよ!訓練場で下着脱ぐのが間違いなのかよ!!なんでなのか理由を」
ジェシカさんがそこまで言ったあと、トモエ隊長はぶん殴った。
ジェシカさんをぶん殴った。
ジェシカさんはきりもみ回転しながら宙を舞い、頭から地面に突き刺さった。
「私に口答えするとは良い度胸だ」
「はは・・・」
「全く・・・ジェシカがクルトに近づいた時点で不安だったのだが・・・調子に乗るといい加減なことばかりやるからな」
「すみません・・・」
「クルトは謝る必要はないと、さっき言っただろう」
ふぅ、とトモエ隊長はため息をついた。
とりあえず僕は、ジェシカさんを地面から抜いて、仰向けに寝かせてあげた。
息はしてるみたいだから大丈夫かな。
土に頭から刺さってたのに、さすがの生命力だ。
「(クルト、私の胸が見たいならいつでも言え)」
「え!?」
トモエ隊長は去り際、僕の耳元でそう囁いた。
その横顔を見ると、ニヒルに笑っていた。
僕は少しドキドキしてしまった。
いつでも、って。
いつでもいいのかな。
なんて考えて、ハッと気づき自分を戒めた。
筋トレしなきゃ!!
明日はエルフの国出発だ!!
その前に午後から技術訓練だ!!
今日も平和だってことかな!!




