第4章の17
いよいよ今日だ。緊張してきた。何か俺の方が死にそうだわ。
まあ、そんなことは言ってられない。失敗しないようにハバタキとは綿密に調整をしておかないと……。
俺とハバタキは昼休みに待ち合わせ、最後の打ち合わせを行った。
「3回目の未来を見終わった後は、車が突っ込んでくるまで30秒もないはずだ。携帯に連絡するのでは間に合わなくないか?」
「ふむ、そんなこともあろうかと、これを用意しておいたのだ。小型通信機だよ。まあ一方通行で、こちらからの言葉しか聞こえないのだがな。はっはっは」
「それは通信機じゃないだろ。お前にしては情けない代物だな」
「まあ、見ていてくれたまえ。威力は保障つきだよ」
「何か知らんが、任せた。お前がマタタキのためにあほなことするとは思えんしな」
―――ここで時間は元に戻る―――
そう俺はハバタキにヘルメットを装着されている。
「ミズサキ、僕は君のことを信じてるよ……」
「おい、何だその言い草、不吉すぎるだろ。もし失敗したら化けて出てやるからな」
ハバタキがスイッチを入れた。
『午後3時37分』
何だ、この圧迫感は。体がみしみしいっているぞ。あ、でもすぐに楽になったわ。何だか周りも明るくなってきたし。
というか、ここは校門前じゃないか。いや、でも何か違うぞ。見えているポジションが人間のそれではないな。どちらかというと鳥が上から眺めているような……。
まあ、そんなことはどうでもいい。とにかくしっかり見ておかないと。
ああ、マタタキが歩いてきている。ということはもう数秒後か……。
頼む。1回で生還する場面を見せてくれ。
俺が選択したのは空を飛ぶ能力だった。練習では一番まともにできていたからだ。
『あれはっ!』
俺は人より高いところにいるため、誰よりも早く異変に気がついた。
そう、暴走してくる車が見えたのだ。
来たっ! かわせよ、絶対にかわすんだぞ、マタタキ!
車は左右に揺れながら猛スピードで突っ込んでくる。もはやマタタキ目掛けて走ってるとしか思えないほどのいやらしい動きだ。
車とマタタキとの距離が縮まってくる!
残り15m……マタタキはまだ気づかない。
・
・
・
残り10m……まだか、早く気づけ!!
・
・
残り 5m……まだかあああああああ
・
残り 2m……やっと気づいたかっ!!
『迷うな!! 飛べっ、マタタキ! 天高く舞い上がれっ!!』




