【16】 浮受さん、そちらはどなたで?
成り行きで、浮受さんの事務所にやってきた私達。
これからなにが始まるというのだろう。
新キャラ登場の第16コマ目、バシッと読んじゃってー!
「さあ、遠慮はいらない。さっさと入れ」
「じゃ、遠慮なく」
「……うん」
事務所内は、とてもシンプルだった。タオル生地みたいなブルーの絨毯に、薄いベージュの壁紙。ガラス製のローテーブルに革のソファー。照明は裸電球と、アロマキャンドルみたいなものが机に置いてある。
浮受さんの事務所って綺麗ですね。とか、なんだか浮受さんに似つかないですね。とか、黙ったままの馬央位様にツッコミをもらいたくて、私はわざと当たり前の情景を口に出して言った。
でも、彼は何も言わないまま俯いている。長めのカールした髪が顔にかかって、表情が読み取れない。
こんなはずじゃなかったのに。
私はここで話を切らしてはいけないと思って、浮受さんに質問をした。ただ単純に思ったことを聞いた。それだけ。
「そういえば、浮受さん。ここって1人でやってるんですか?」
「あ? そんなワケないだろう。俺はそんなに有能じゃない」
今この人、あっさり自分が有能発言したよ。ナルシストだよ。
「じゃあ、やっぱり助手さんとかいらっしゃるんですか?」
「まあな。あ、丁度いい。今紹介するか」
そう言うと浮受さんは奥の部屋に姿を消した。隣にいるウチの所長は少しだけ顔をあげていた。
「おまたせ」
ややあって現れたのは、浮受さんと1人の少女。
「コイツが、俺の助手。ヒトミ、挨拶しろ」
「あっ、ハイ」
少女は一歩前に出て言った。
「わたし、麻墓様の助手をしております。権内人見って言います。よろしくお願いします」
名刺を差し出される。慌てて私も挨拶と名刺を交換した。
「あら、凪原さん、私と同い年なんですね!」
名刺に目を通した人見さんが驚いた声を出した。
「あっ、確かに……奇遇ですね」
「これからもっと仲良くなれそうですね」
「はい!」
浮受さんの助手、かぁ。なんだか浮受さんにはもったいないくらい可愛い子だな。
「どうぞ、お紅茶です。砺龍さんも、これまだ熱くなってますから気を付けてくださいね。いつもの調子だと確実にこぼされますよ」
「うん」
「では、ごゆっくりどうぞ」
エプロン姿なのがまた乙なところだ。やはり浮受さんにはもったいない子です。人見ちゃん、すごい可愛いし。
つづきます。




