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黄金比  作者: 空と雲
16/22

【16】 浮受さん、そちらはどなたで?

成り行きで、浮受さんの事務所にやってきた私達。

これからなにが始まるというのだろう。

新キャラ登場の第16コマ目、バシッと読んじゃってー!

「さあ、遠慮はいらない。さっさと入れ」

「じゃ、遠慮なく」

「……うん」


 事務所内は、とてもシンプルだった。タオル生地みたいなブルーの絨毯に、薄いベージュの壁紙。ガラス製のローテーブルに革のソファー。照明は裸電球と、アロマキャンドルみたいなものが机に置いてある。


 浮受さんの事務所って綺麗ですね。とか、なんだか浮受さんに似つかないですね。とか、黙ったままの馬央位様にツッコミをもらいたくて、私はわざと当たり前の情景を口に出して言った。

 でも、彼は何も言わないまま(うつむ)いている。長めのカールした髪が顔にかかって、表情が読み取れない。


 こんなはずじゃなかったのに。


 私はここで話を切らしてはいけないと思って、浮受さんに質問をした。ただ単純に思ったことを聞いた。それだけ。


「そういえば、浮受さん。ここって1人でやってるんですか?」

「あ? そんなワケないだろう。俺はそんなに有能じゃない」

 今この人、あっさり自分が有能発言したよ。ナルシストだよ。

「じゃあ、やっぱり助手さんとかいらっしゃるんですか?」

「まあな。あ、丁度いい。今紹介するか」


 そう言うと浮受さんは奥の部屋に姿を消した。隣にいるウチの所長は少しだけ顔をあげていた。


「おまたせ」


 ややあって現れたのは、浮受さんと1人の少女。

「コイツが、俺の助手。ヒトミ、挨拶しろ」

「あっ、ハイ」

 少女は一歩前に出て言った。

「わたし、麻墓様の助手をしております。権内(ごんない)人見(ひとみ)って言います。よろしくお願いします」

 名刺を差し出される。慌てて私も挨拶と名刺を交換した。

「あら、凪原さん、私と同い年なんですね!」

 名刺に目を通した人見さんが驚いた声を出した。

「あっ、確かに……奇遇ですね」

「これからもっと仲良くなれそうですね」

「はい!」


 浮受さんの助手、かぁ。なんだか浮受さんにはもったいないくらい可愛い子だな。

 

「どうぞ、お紅茶です。砺龍さんも、これまだ熱くなってますから気を付けてくださいね。いつもの調子だと確実にこぼされますよ」

「うん」

「では、ごゆっくりどうぞ」


 エプロン姿なのがまた乙なところだ。やはり浮受さんにはもったいない子です。人見ちゃん、すごい可愛いし。


つづきます。

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