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黄金比  作者: 空と雲
11/22

【11】 難駄様と雪臣様③

 難駄様と雪臣様の知られざる過去が明かされた。

なんともう11コマ目突入!


しっかり読んでくれよな☆

 そうして帰宅。


「ただいま」

「おかえりィ~パスタは……って、その子は誰かな?」

「さっきそこで拾ってきた。とりあえず飯でも食わせてやってくれ。風呂の準備も頼む」

「うん……えーと、あんまり良く事情はわからないけど、大体わかったよ。とりあえず家の中にあがってて! 今着るものとか持ってくるからー」

 深音がいなくなると、男の子は心配そうに俺に尋ねた。

「お兄さん。ここ、どこ?」

「ここはね、俺の家だよ。心配しなくていい。ココには悪い人は一人もいないから」

「……悪い人ほどそういうこと言うんだよ? 知ってた?」

 す……鋭い。例えが悪かったか。なんとなく空気が濁ってきた。でもここで負けてはいけないぞ、俺。何としてでも会話を成立させるんだ。

「そうなんだー。でもココは本当に大丈夫だよ。あ、俺の名前は難駄(ナダ)。よろしくな」

「ナ・ダ、お兄ちゃん?」

「そうだよ。キミのお名前はなんていうのかな?」

「僕? 僕の名前は、ユキオミ。雪臣っていうんだ」

「そうかーいいお名前だね」

「当たり前だよ。だって、おかあさんがつけてくれたんだもんね」

「……そうか」

 なんだか、更に暗い雰囲気にしてしまった。俺は慌てて雪臣くんを部屋へとあがらせた。

「おいで。怪しいものはないから」

「うん。お邪魔します、ナダお兄ちゃん!」

 こんどは笑って受け入れてくれた。やっぱり子供って可愛い。俺の望みが今いっぺんに叶ったような気がした。


◆◆◆◆◆


「その電車がねェ~すっごく大きくってねぇ~!」

「へぇー!! 僕も見てみたいなあ~!」

 雪臣くんを連れ込んで一時間が経過した。今まさに夕食の真っ最中であるのだが、隆斗以外の三人そろった食卓は、今までとは打って変わってにぎやかなものであった。

 もともと子供が大好きな深音は、男の子が大好きな乗り物話を持ち込んで、雪臣くんと対等に話している。俺はそれ関係には全くを持って無関心なため、話には一切入っていくことができない。相槌をうってごまかしてはいるつもりだが。

 話が落ち着いたころ、パスタを半分たいらげた雪臣くんは、静かに話し始めた。

「お兄さんたちに、お願いがあります」

 今まで楽しい話をしていたのに、いきなり真面目な話を持ち込まれた深音は多少ながら(いぶか)しげな表情をした。これは至近距離でないとわからない、微細な変化。

「なになになにー? 改まっちゃってさーぁ」

 これは深音の声。このコをこの家に連れてきた経緯をちゃんと話したはずなのに、どうしてそんなにおどけていられるのか、不思議でならない。

「僕を、この家に住まわせてください! お願いします!」

 小さな男の子の、精一杯の懇願。俺と深音はおもわず顔を見合わせて……。不覚にも笑ってしまった。

 うつむいていた雪臣くんは、その笑い声で頭をもたげ、「?」といった風に小首を傾げた。

「いいよいいよ。そのつもりで連れてきたんだからさ、ね」

「そうだよーいつまでいてもいいんだよ?」

「本当に?! ありがとう!ナダお兄ちゃんと、ふわふわしたお兄ちゃん!」


 ふ……っふわっ(笑)あ―――腹いてぇ……。

 笑い転げる俺をちょっと(にら)んで、深音は雪臣くんに向けて言った。


「あのー名前、深音(しんね)っていうんだー。覚えてね?」

「うん! シンお兄ちゃん!」

「いや……シンネだからー(苦笑)」

 今までにないくらい楽しい夕食会は、まだまだ続きそうだ。


続きますぅー。

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