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マグローザ漁船だけは嫌だ!借金100万の元社畜勇者は、タローマン製初期装備と真の勇気で炎上系偽勇者のヤラセ配信をぶっ壊す!   作者: 月神世一


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EP 6

【閑話】神界会議。胃痛持ちの中間管理職と、数字(PV)が全ての炎上神

神界『セレスティア』――その中枢にある第一会議室。

大理石で作られた荘厳な円卓には、アナステシア世界をはじめとする各次元を管理する神々が集結していた。

「……というわけで、今日の議題だが」

主神オリンは、重いため息と共に円卓のホログラムモニターを指差した。

彼の頭頂部は後光が差すほどに見事なスキンヘッドであり、会議室の照明を反射してピカピカと輝いている。

「現在、アナステシア世界のゴッドチューブにおけるPVページビュー率が著しく落ち込んでいる。スポンサーである上位神々からの風当たりも強く、来期の予算編成が非常に苦しくてだな……」

「ちょっと良い?」

主神の深刻な話を遮り、永遠の17歳(自称)こと女神ルチアナが、ダルそうに手を挙げた。

彼女は神聖な会議の場だというのに、いつものピンク色の芋ジャージに健康サンダルという、休日のパチンコ屋に行くような格好である。

「オリンさぁ……ハゲが眩しいから、ちょっと上のライト消してくんない?」

「私は電球かね!?」

主神オリンは顔を真っ赤にしてツッコミを入れた。

そして救いを求めるように、隣に座る月の女神カグヤへと視線を向ける。

「カグヤ君! 君からもこのふざけた女神に何とか言ってやってくれ!」

「……オリン様」

全身をハイブランドで固めたカグヤは、扇子で口元を隠しながら、氷のように冷たい視線をオリンに向けた。

「あまりジロジロとこちらを見ないでくださるかしら? セクシャル・ハラスメントって言葉、ご存知?」

「顔を見ずに話せと言うのかね!?」

「うわあああん、オリン様が怒った〜。怖いよぉー(棒読み)」

見習い女神のリリスが、手元のエンジェルすまーとふぉんでソシャゲをポチポチしながら、感情の一切こもっていない棒読みで泣き真似をする。

「オリン様。声が大きすぎますわ。近所迷惑です」

極めつけに、天使族族長であるヴァルキュリアから、冷徹なトーンでトドメを刺された。

「うぅ……胃が……。誰か、私に胃薬を持ってきてくれ……」

女性陣からの容赦ないモラハラの連撃に、主神オリンは胃を抑えてテーブルに突っ伏した。

「そもそも、現場の調停者たちが働かないのが問題なのだ! 竜王デュークは『ラーメンの湯切りで忙しい』と通信を切るし、不死鳥フレアは『息子の反抗期で午前上がりします』と言う! 狼王フェンリルに至っては着信拒否でパチンコだぞ!? 頼みの綱の聖獣機神ガオガオンは、内部の社内不倫事情がドロドロすぎて『出社拒否』ときた! これでどうやって世界の治安とPVを保てと言うのだ……!」

オリンの悲痛な叫びが会議室に響き渡る中。

――ズズゥッ。

空気を全く読まない、ストローで飲み物をすする音が鳴り響いた。

円卓の端で、ハイブランドのモード系カジュアルに身を包み、ブルーライトカット眼鏡をかけた若い男神が、マイタンブラーのカプチーノを飲み干したのだ。

「……さーせん」

『炎上神』ワイズ。

彼は手元の専用ノートPC(無制限ブラックカード仕様のエンジェルすまーとふぉん同期型)をパタンと閉じると、面倒くさそうに立ち上がった。

「時間の無駄なよーなんで、俺は抜けますわ。自分の仕事タスクが有るんで」

「ひっ……!」

ワイズが立ち上がった瞬間、見習い女神のリリスが小さな悲鳴を上げ、脱兎のごとくヴァルキュリアの背後に隠れた。

彼女の動物的な本能が、ワイズの奥底に潜む『底なしの悪意』を察知して震えているのだ。

温厚で礼儀正しいはずのヴァルキュリアの眼光が、瞬時に殺意へと変わる。

「リリス、大丈夫よ。私が守るから。……ワイズ、貴様の顔は不愉快だ。今すぐ消え失せろ」

「あらら〜。どうやら嫌われてるみたいっすね、俺」

ワイズは肩をすくめ、ヘラヘラとした薄ら笑いを浮かべた。

だが、その瞳の奥には微塵の感情も、他者への敬意も存在しない。

「でーも〜……この会議室で、唯一スポンサーが喜ぶ『数字』を持ってるのは、俺っすよ? 俺が回してるチャンネルの収益で、あんたらの給料が出てるってこと、忘れないでほしいっすね。じゃ、お疲れ様でーす」

ワイズはひらひらと手を振りながら、会議室を後にした。

その背中を見送りながら、円卓に残された神々は、それぞれの内心でどす黒い感情を煮えたぎらせていた。

(……調子のんなよ、クソガキが)

ルチアナは、ギリッと奥歯を噛み締めた。

(私が作りあげたアナステシア世界を、おもちゃにしやがって。村を焼かせて、そこに仕込みの勇者を向かわせる? お前のやってる事は神の試練でもなんでもない、ただのヤラセ炎上配信だろうが。命への冒涜だ、反社野郎が……!)

カグヤもまた、扇子を握る手に力を込めていた。

(……三流ですわ。物語を作る時、クリエイターは人々を愛し、共に笑い、共に泣き、散りゆく時は弔う……それが一流というもの。自らは安全圏にいて、血を流させて数字を稼ぐような安物の『ざまぁ』など、月の世界には必要ありませんわ)

さらに、次元の彼方。

ルチアナによって刑務所(天魔窟ダンジョン)に服役させられているインテリヤクザこと邪神デュアダロスすらも、独房の中でモニターを見ながら舌打ちをしていた。

(ワレェ、仁義が無いのぅ……。刺される覚悟もねぇガキが、粋がって火遊びしとるんじゃねぇぞ。俺が刑務所を出たら、夜道と背後には気をつけろよ? トカレフで後ろからはじいたる!)

神々の思惑と憎悪が交錯する中。

自室に戻った炎上神ワイズは、新たな「最高にバズる悲劇」をプロデュースするため、暗躍を開始しようとしていた。

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