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冤罪  作者: ニベア王子
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(第65回)検察取調べ2日目

1日目は色々あったが、どうやら今日が今後の指針となりそうな予感がする

検察での聴取2日目、次席検事と弁護士同席で朝9時頃始まった。

「それでは本日は引き続き本件の聴取を進めようと思います。

初めに、弁護士さんからご要望があればお伺いしますが、何かありますか」

「ご配慮ありがとうございます。しかしこちらからは特段のお願いは有りません。但し、被疑者は高齢であり、罪も認めておりますので、テンポよく進めていただけると助かります。」

「なるほどご尤もです。では、逮捕した警察からこれを聞いて欲しいと言われていたことをお伺いします。あなたたちは盛んに初犯であり、罪を認めていると言っていますが、余罪は本当に無いのですか。できれば被疑者本人にお答えいただきたい。」ちょっと驚いた様子だったが先生は

「はい、正直申し上げますと過去にもこういった所業をやってみたいと思ったことは何度もありますが、実行したのは今回が初めてです」「ううむ、では過去に思ったときはなぜ罪に及ばなかったとお考えですか」「最大の理由は大臣を拝命しており、そこで犯罪行為に及べば、罪は自分のものであっても、内閣全体に悪い影響を与えることが怖くてとどまったのであると思います。」

「なるほど納得のいく説明ですね、確かに今は大臣職を譲られて1国会議員ですものねえ」「とはいえ、報道されている状況を見ると元大臣が大きくクローズアップされており、迷惑度はあまり変わらなかったなというのが正直なところです。なのでもみ消したり、罪を認めずに裁判を長引かせてという手段は選ばずに、一刻も早く刑に服して更生すべきと考えました」「うん、政治家の方が皆さんそういうお考えだと実に良いですな。以前私が聴取した元大臣は、自分は警察庁長官の先輩だからお前ごときに聴取されるのは不服だと駄々をこね、散々悪あがきした挙句、有罪で政党も除名され、政治家人生が終わりましたからね」

「ああ、あの人が反面教師になっていることは間違いないですな」

「あなたは警察関係者に親しい人は居ないのですか」

「いません。せいぜい私を逮捕した警部と顔見知りになった程度です。私は華々しい学歴もありませんからねえ。確かあの人は東大法学部を首席卒業で、1学年下に警察庁長官が居たはずです。大学時代同じ法律研究サークルだったとも聞きました」「さすが詳しいですね、私も宮仕えなので、長官に何か配慮が必要ですかと相談してこっぴどく叱られました。」「おお、検事さんでもそういう失敗談がああるのですね」「たくさんあります、最も貴方の弁護士は元々こちらの事務所に居たので、色々知っていると思いますがね」

「いや、彼からは何も教えてもらってないです」

「ほう、おそらく検事正あたりが釘を刺したんでしょうねえ」

「お見通しですね、その通りです。釘差しだけでなく、そんなことをしたら次席に火が付くぞ、とも忠告されました」

「やはりそんなところでしたか、ところで警察では大分今回の逮捕が囮捜査であると主張されていたようですが、ここではそれはしないのですか」

「はい、実のところあまりにもスピーディに逮捕が進んだので、囮捜査の線を疑いましたが、なんの手がかりもつかめませんでした。」

「それで潔く罪を認め減刑方向にシフトしたわけですな」

「ご推察通りです」

「確かに初犯であり、反省もしており、という状況であれば懲役3年執行猶予5年あたりが妥当ですなあ」ついに望んでいた方向に動き出した!

「そうしていただけるなら被疑者も罪を認めた甲斐が有ったと思います」

「ですがねえ、どうも警部は別件の被害者を法廷に証人で出廷させるようなのですよ」「えっ!」「私もどんでん返しで過去犯罪を提示されてはかなわないので、警部にその方を聴取に同席頂けるようお願いして居まして」

既に先生は顔面蒼白、自分が太刀打ちするしかない

「次席、もちろん聴取同席は拒みませんが、どういった行き違いがあったのか事前に思い出す時間をいただきたいので、証人のお名前とできれば顔写真を見せていただけないでしょうか」

「うーん、私もそれが公平な提案であることは認めますが、事前工作されると困りますのでねえ・・・」「そのようなことは一切しません。先ほどのお願いを聞いていただけるなら私はこの後の聴取まで、この部屋を一歩も出ず、被疑者と会話するだけにします。その条件でいかがでしょうか」「なるほど、それなら細工はできませんね。良いでしょう、貴方のスマホお預かりして良いですか」

「無論です」私はスマホとタブレットを次席に渡した。

「では、女性の同席は明朝10時からの聴取とします。これがその方の写真とお名前です」

先生の顔色に特段変化はないので、ひとまず安心した。


検事が退出したのち「ボイスレコーダーの忘れ物が無いことを確認した上で

「先生、見覚えのある女性でしたか」

「いえ、正直覚えていないです。名前も。ただ、いつもバーで知り合う時は源氏名ですし、お店では皆さんばっちりメイクなので」「それもそうですね」

くそっ、検事はそれもお見通しってわけか、それで聴取の時はばっちりメイクにバーでの衣装で来てもらえば先生の動揺は隠せない、という魂胆だな。

ということを先生に伝え、明日は見覚えのある女性が来たとしても動揺しないようにお願いした。本人は了解と言ったが、面の皮が厚い政治家といえども

性的暴行した相手がいきなり現れたら平気でいられるだろうか?

何とか作戦は決めたが、油断できない3日目になりそうである

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