++ノイルさんとの熱愛++
エルジェイドが魔界に行っている間、俺はディアラに剣を教えつつ、魔術を教わっていた。
サンドリラス城は見知ったゴブリンたちと少しのメイドたちだけ。
ワーウルフのディアラは夜に寝て朝に目覚めるため、生活リズムがエルジェイドとは違う。
そのせいか、真夜中にこうやってノイルさんとの魔術講義が開かれていた。
そして、何回目かの授業のとき――
「クラディウスさん……」
俺が魔法薬を爆発させ、物が散乱した地下研究室。
サンドリラス城の地下奥深くで、俺はノイルさんを抱きとめていた。
爆発の衝撃でメイド服が所々破けてしまい、下着がもろに露出してしまっている。
そのこぼれんばかりの巨乳の、白肌が目の前にある。
なぜこうなったのか。
俺がめげずに魔術を教わろうとして、魔法薬に手を出したのが全ての原因。というかそれしかない。
一回目であきらめておけばよかったのだ。
こういう痴態を見せるくらいならば、まだ呪文詠唱を噛むくらいで済んだのだ。
ましてやこうやって爆発事故を起こし、ノイルさんの服を――
……悪くないんじゃね?
「ノイルさん……」
ノイルさんの朱いくちびる。
その左下にあるほくろに吸い込まれそうになる。
エルジェイドの理知的な目尻のほくろとは違う。
癒しだ。
ここには癒しがある。
柔らかそうなおっぱいに、鮮やかな赤と黒のグラデーションの美しい髪。
死人のような白い肌を下地に、それらすべてが輝いている。
淡く、妖艶に。
「ああ、ノイルさん……」
無意識のうちに、真っ赤に染められたくちびるに触れていた。
武骨な鎧の指だった。
それでも触覚はあった。
やわらかい。
ぷるるん、と瑞々しい弾力感。
唾液で少しぬれて、つやつやと光っている。
俺には性欲がない。食欲も睡眠欲もない。
それこそ俺は鎧しかないのだ。
それなのに、俺は前の世界での感覚を取り戻そうとしている。
なくなったものを追い求めるように、俺はノイルさんのくちびるをもてあそんでいた。
唾液でぬれた俺の指は、ノイルさんの顔を、頬を伝って、首筋を撫でていき。
いつの間にか、俺はノイルさんのメイド服をひんむいて、その全身をくまなく指でなぞっていた。
一体俺は何をしているんだろう。
まったくもって興奮しているわけではない。
しかし、疑似的な、精神的欲求にとらわれていた。
「クラディウス……」
女のぴりっとして艶やかな声で心地よい。
まるで芸術家が美に酔いしれるような感覚で、俺はノイルさんの死人のようでいて、完成された肉体を楽しんでいた。
じっくり見て楽しんで、ハッと気づく。
「……何をしているの、クラディウス……ッ!」
誰だ。
俺の後ろで仁王立ちしているのは一体誰なんだ。
パキンッ、と試験管が割れるような音がした。
ガラス片と、青白い液体が研究室の床に滴り落ちる。
「……ギリリィ……完全魅了<オール・チャーム>……」
[bad end 01] 早過ぎた過ち
つづく。




