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悪の鎧騎士物語  作者: うろこ
11/25

++ノイルさんとの熱愛++



 エルジェイドが魔界に行っている間、俺はディアラに剣を教えつつ、魔術を教わっていた。

 サンドリラス城は見知ったゴブリンたちと少しのメイドたちだけ。

 ワーウルフのディアラは夜に寝て朝に目覚めるため、生活リズムがエルジェイドとは違う。

 そのせいか、真夜中にこうやってノイルさんとの魔術講義が開かれていた。

 

 そして、何回目かの授業のとき―― 



「クラディウスさん……」


 俺が魔法薬を爆発させ、物が散乱した地下研究室。

 サンドリラス城の地下奥深くで、俺はノイルさんを抱きとめていた。


 爆発の衝撃でメイド服が所々破けてしまい、下着がもろに露出してしまっている。

 そのこぼれんばかりの巨乳の、白肌が目の前にある。


 なぜこうなったのか。

 俺がめげずに魔術を教わろうとして、魔法薬に手を出したのが全ての原因。というかそれしかない。

 一回目であきらめておけばよかったのだ。


 こういう痴態を見せるくらいならば、まだ呪文詠唱を噛むくらいで済んだのだ。

 ましてやこうやって爆発事故を起こし、ノイルさんの服を――


 ……悪くないんじゃね?


「ノイルさん……」


 ノイルさんの朱いくちびる。

 その左下にあるほくろに吸い込まれそうになる。


 エルジェイドの理知的な目尻のほくろとは違う。

 癒しだ。

 ここには癒しがある。


 柔らかそうなおっぱいに、鮮やかな赤と黒のグラデーションの美しい髪。

 死人のような白い肌を下地に、それらすべてが輝いている。

 淡く、妖艶に。


「ああ、ノイルさん……」


 無意識のうちに、真っ赤に染められたくちびるに触れていた。

 武骨な鎧の指だった。


 それでも触覚はあった。

 やわらかい。


 ぷるるん、と瑞々しい弾力感。

 唾液で少しぬれて、つやつやと光っている。



 俺には性欲がない。食欲も睡眠欲もない。

 それこそ俺は鎧しかないのだ。

 それなのに、俺は前の世界での感覚を取り戻そうとしている。


 なくなったものを追い求めるように、俺はノイルさんのくちびるをもてあそんでいた。

 唾液でぬれた俺の指は、ノイルさんの顔を、頬を伝って、首筋を撫でていき。


 いつの間にか、俺はノイルさんのメイド服をひんむいて、その全身をくまなく指でなぞっていた。


 一体俺は何をしているんだろう。


 まったくもって興奮しているわけではない。

 しかし、疑似的な、精神的欲求にとらわれていた。


「クラディウス……」


 女のぴりっとして艶やかな声で心地よい。

 まるで芸術家が美に酔いしれるような感覚で、俺はノイルさんの死人のようでいて、完成された肉体を楽しんでいた。


 じっくり見て楽しんで、ハッと気づく。


「……何をしているの、クラディウス……ッ!」


 誰だ。

 俺の後ろで仁王立ちしているのは一体誰なんだ。


 パキンッ、と試験管が割れるような音がした。

 ガラス片と、青白い液体が研究室の床に滴り落ちる。



「……ギリリィ……完全魅了<オール・チャーム>……」



 [bad end 01] 早過ぎた過ち


つづく。

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