第4話 孤独な結婚
それから数日後ーーー
ハルマスの森では婚姻の儀が執り行わられていた
開けた場所には簡易的な祭壇のような物やアーチが設置され、微かに結婚式らしき雰囲気を出していた
そして周りには様々な植物人外や生物達が集まり、その儀式を見届けようとしていた
やがて白いドレスに身を包んだローレルがゆっくりと現れる
知り合いはおろか、人間1人すらいないこの結婚式に、彼女は孤独を感じていた
(結婚式じゃなくて、見世物みたい……)
そして顔を上げた彼女の視線の先には、マディソンが佇んでいた
そっと差し伸べるマディソンの手を、ローレルはゆっくり掴む
(私は今日から、化け物の妻になるのだわ)
口を真一文字に結び、ローレルはこれからの未来を覚悟するのだった
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その日の夜
マディソンが用意した自室に戻ったローレルは、ベッドに腰掛けソワソワとしていた
(今日、あの方はこの部屋に来るのかしら…………)
ただでさえ初夜という緊張する日であるに加え、相手は人ではないのである
どの様に行うのか想像が出来なかった
すると、扉が叩かれた
「………どうぞ」
現れたのはマディソンだった
ローレルの心臓がドクリと跳ねる
「ローレル。疲れていないだろうか?」
マディソンは体調を気にしながらローレルのもとへ近づく
「………大丈夫です。お気になさらず」
ローレルが目を伏せ答えると、マディソンが隣に座った
ローレルは震えを隠すように手をギュッと握りしめる
「そんな思い詰めた顔をするな。私はただ、貴女と共に生きたいだけなのだ」
マディソンは少し困ったように眉を下げると、ローレルの手に触れた
触れられたローレルはビクリと身体を揺らす
「貴女の望む事は叶えられる範囲で何でもしよう。欲しいものやしたい事を遠慮なく申し出ると良い。貴女は私の妻なのだから」
そう言ってマディソンはローレルの手を取ると手の甲に口づけを落とす
その表情は愛おしさで満ち溢れている
(…………これは人の真似事なのかしら………それとも…………)
人ではないマディソンの行動が読めず、ローレルは怪訝な表情で見つめる
ふと、視線に気づいたマディソンと目が合う
するとマディソンは愉快そうな笑みを浮かべた
「人間がこの様に愛情表現をする所を見たことがあるのだが……何か間違っていたかな?」
マディソンはローレルを見つめたまま、今度は手首の内側に口づけを落とす
「ーーーーーーっ!?」
その何とも言えない妖艶な表情に、ローレルは思わず視線を逸らした
(な、ななななななんなのあの表情はっ!?)
心臓の音がうるさく鳴り響き、思わず顔が熱くなる
彼の行動は何処かで見た人の行動を模倣しているに過ぎないはずである
そのはずなのに…………その愛おしさ感じる熱を帯びた視線が、ローレルを捕らえて離さない
「ーーーーーおや?どうしました?」
ローレルがハッと我に返ると、マディソンがキョトンとした表情でこちらを見つめている
「な、なんでもありません!」
ローレルは手を引っ込め、気持ちを落ち着かせる
「ローレル」
低くしかし優しく名を呼ばれたかと思っていると、次の瞬間ローレルは組み敷かれていた
「…………あ」
ローレルは瞬時に理解し、身体を強張らせた
マディソンに組み敷かれるのはこれで2度目である
1度目の時は死の恐怖で怯え、2度目の今回は未知の恐怖で怯えている
覚悟を決めギュッと目を瞑るーーー
しかし、彼女に振り注いだのは額への優しい口づけのみだった
「……………?」
ゆっくり目を開けると、マディソンが穏やかな笑みで見つめていた
「今日はゆっくり休むといい」
そう言ってローレルの唇を指でそっと撫でると、側を離れそのまま部屋を出ていった
(な、なんなのかしらあの人は………)
ローレルは鳴り響く鼓動を収めながら、ベッドに潜り込んだ




