第31話 衝突
その後
救済活動を終えたを終えたローレルは、リドリー枢機卿のもとに来ていた
窓からは夕焼けの暖かみを感じる陽の光が、向かい合って座る2人を包みこんでいる
「―――して、どうだったかな?聖女候補の少女達は」
「はい、皆とても素直で良い心がけを持った子達でした。課題がある者もいますが、彼女達ならすぐに克服出来るでしょう」
ローレルの言葉にリドリーは目を細める
「では、時期聖女も見つけられたのかね?」
そう尋ねられたローレルは小さく頷く
「はい―――時期聖女は、ヘレナが適性かと存じます」
はっきりとした言葉に、リドリーは感心したように声を漏らした
「ほう………ヘレナか」
「ええ、あの子はどのような時も他者を思いやる心と優しさを持っていました。神力も問題ありません」
迷いなく答えると、リドリーは小さな笑みを零した
「そうか。ではこちらでもヘレナを有力候補として上げつつ審議を重ね、新聖女を決めよう」
そして椅子から立ち上がると、ローレルに向け深々と頭を下げた
「自由の身でありながら、我々の願いに応えてくれて感謝するぞローレルよ。貴女は真の聖女であった」
そう述べられローレルは小さく笑みを浮かべた
――――――――――――――――
枢機卿との面会を終えたローレルは、1人帰路に就こうとしていた
(マディソン様もそろそろお務めを終えた頃かしら……………)
そう思いながらネックレスについた琥珀の石を握りしめていると、目の前に立ちはだかる人物がいた
「レイラ様…………」
そこにいたのは現聖女のレイラだった
昨夜の夜会ぶりの再会だが、綺麗なはずの彼女の顔が何処かくすみ陰りが見えた
「……いい気なもんね。大神殿に出戻って聖女の真似事だなんて」
レイラは口を歪ませ皮肉混じりの言葉をローレルに投げつけた
しかし、ローレルはそれに怯まない
「ここに来たのは神官様達経っての願いよ。自分の力を誇示したかったわけではないわ」
毅然とした態度で答えるローレルを、レイラは鼻で笑った
「ハッ!どうだか!どうせ自分の力を見せつけに来たんでしょ?偽聖女に格の違いを見せつける為に、ここでも私を見せしめにしに来たんでしょ!?ハッキリ言いなさいよ!聖人ぶっちゃわないでさ!」
言葉を荒げ詰め寄るレイラに、ローレルは静かに問いただした
「レイラ様……貴女はどうして聖女としての仕事を放棄していたの?皆、困っていたわ」
「はあ!?それがどうしたっていうのよ!」
「聖女であるなら務めを果たさなければならないわ。例え、それに力が見合わなくとも」
するとレイラは苛立ったように舌打ちをした
「何が務めよ面倒くさい!私はただ、あんたからデューク殿下を奪えればそれで良かったの!お父様からも望まれてたし、デューク殿下と一緒にさえなれば私は王太子妃だもの!優雅な生活ができればそれで良かったの!……なのに聖女になったらやれ祈りの儀だ、人々の救済だ面倒事ばかり!しかもやってやっても効いてないだの文句つけて!それなら私がやっても意味なんて無い―――――」
バチンッ!
廊下に乾いた音が静かに響き渡った
ローレルがレイラの頬を叩いたのだ
「―――――っ何すんのよ!」
「人々に耳を傾ける気のない貴女に、私が反論を受ける義理なんて無いわ」
「はあ?意味わかんない!」
睨みつけるレイラに、ローレルは目を逸らす事なく真っ直ぐ見つめる
「貴女、今まで何を学んできたの?聖女たるもの時に自分の身を顧みず、常に人々に耳を傾け寄り添うものよ。貴女は聖女―――いえ、聖職者として失格よ」
ローレルの言葉が真っ直ぐにレイラに刺さり、レイラは怒りを滲ませた
「あんたなんかが、私に命令するんじゃないわよ!」
レイラがローレルに飛びかかろうとしたその時
ザザザッ!
「――――――!?」
2人の周りを武装した兵士のような姿の軍団が取り囲んだのだ
(この格好……聖衛騎士団!?何故こんな所に―――)
聖衛騎士団とは、セルニグル大神殿で所有している騎士の事だ
主に慈善活動や人道支援活動を行う組織だが、時に剣を振るう事もある団体である
――――――――そのような団体が何故ここに?
ローレルが疑問に思っていると、騎士の1人が合図を出すと同時に、彼女達を達を取り押さえた
「何を――離して!」
抵抗するも力では敵わずあっという間に捕らえられる
「ちょっと!なんで私まで捕まるの!?私は聖女よ!?」
レイラも抵抗を示すがまるでびくともしない
すると2人の口には布が巻かれ塞がれる
そしてそのまま抱き上げられ、何処かへと連れて行かれる
(マディソン様―――!!)
ローレル達は成すすべもなく連れ去られてしまうのだった




