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食人蔦に愛された聖女〜追放された聖女は死の森で居場所を見つける〜  作者: mai


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第28話 久々の帰還

次の日の朝

ローレルは1人、セルニグル大神殿に来ていた

王命である新たな聖女を決める為だ


(ここを離れて半年も経っていないはずなのに………なんだか長い間離れていたような気分だわ)


久しぶりの思い出の場所に、ローレルは目を細める


しかしその余韻に浸っていられたのはほんの一瞬だった


正門の方から何やら騒がしい声が聞こえてきたからだ


(何が起こっているのかしら………)


ローレルがゆっくり正門に近付くと、その光景に目を疑った


「これは………!一体何が……!」


そこには国民達が正門を突破する勢いで、大勢押しかけていたのだ


「お願いします!助けて下さい!」

「家族の病気が治らないの!」

「作物も育たないんだ!」


そんな声が飛び交う中、必死で司祭達がそれを抑えている


その光景に呆気にとられていると、何処からか声が飛び込んできた


「ああ!ローレル様!よく来てくださいました!」


振り返るとそこにいたのは茶髪の司祭――アボットだった

かつて聖女候補だったローレルの教育係をしていた司祭だ


「アボット司教!お久しぶりです。これは一体…」

「ご覧の通り正門からは入れませんから、どうぞ裏門へ」


アボットに促され、ローレルは暴動を横目に大神殿の裏門へと向かうのだった


――――――――――――――――――――――――――


無事裏門から中へ入ることの出来たローレルは、アボットと共に大神殿の神官評議室へと続く階段を登っていた


静寂に包まれ、足音だけが響き渡る空間で、アボットが口を開いた


「先程は驚かれたでしょう?あの様な暴動を目にして」

「ええ………いつもこの様な状態だったのですか?」


ローレルが尋ねると、アボットは額に手を当てた


「はい…………ローレル様が辺境送りになって数週間後くらいから、病や怪我に悩まされる人々達が多くなり、そこから徐々に押しかけてくるようになったのです」


そう語るアボットの目の下のクマやこけた頬が、その大変さを物語っており、ローレルはなんとも言えぬ気分になった


「レイラ様も元聖女候補だったお方だ。決して無能な訳ではありません。しかし、聖女に選ばなかったのにはそれ相応の理由がありました。それを、デューク殿下やレイラ様は理解していなかったのでしょうね」


アボットは疲れを滲ませながら静かに述べると大きくため息を付いた


すると階段を登り終え、一直線の廊下が現れると、その奥に大きな扉が見えた

神官評議室だ


道なりに進み扉に到達すると、アボットはその扉をゆっくりと叩いた


「元聖女、ローレル様をお連れしました」

「ああ、中へ入れろ」


そして扉をゆっくり開けると、神官評議室に高位神官の面々が出迎えてくれた


「遠路はるばるご苦労であったなローレル。また会えて嬉しいよ」


その中の1人―――枢機卿リドリーが労いの言葉をかけると、ローレルは深々とお辞儀をした


「聖女の身を退いたこの私を、お招きいただきありがとうございますリドリー枢機卿猊下。神ルナリアの為、そして国王陛下の為に、微力ながら皆様にお力添え致します」


感謝の意を述べると周りにいる神官達はゆっくり頷いた


「それでは始めよう。セルニグルの平和を取り戻す為の話を」


こうしてセルニグル時期聖女の決める話し合いがはじまったのだ


―――――――――――――――――――――


「―――――――というのが、今の現状だ」


リドリーからの話を聞き終えたローレルは神妙な面持ちで口を開いた


「少し活気が無いとは思っていましたが、まさかここまで酷くなっているとは………」


ローレルは今までの事を思い出し、目を伏せる


「レイラの力不足、というのもあるが―――それ以上に彼女が聖女としての使命を果たさない、というのも関係している」

「どういう事ですか?」

「自分がやっても意味はないからと、祈りの儀すら放棄してるのだ」

「そんな………」


ローレルはレイラの身勝手さに開いた口が塞がらなかった


(そんな事をしてしまっては余計、神の加護を得られないわ………)


ローレルが額を抑えていると、リドリーが本題に入った


「そこでローレル―――貴女に聖女候補達から聖女として相応しい人物を探して欲しい」

「私が…………ですか?」

「ああ、まだ聖女として任命するにはどれも少し若すぎるが―――このまま悠長に待っていられん。早急に決めなければならない」


リドリーの言葉に一呼吸置くと、ローレルはこう提案した


「分かりました。ですが1つ、お願いがあります」

「なんだ」

「まずは正門の前にいる人々を助ける事から始めさせてください。時期聖女を見つけるのはその後です」

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