第23話 ハルマスの辺境伯
そして国王陛下との謁見の日当日
ローレルとマディソンは王国側が用意した馬車でヴィノグラード城を目指していた
「ここが王都という場所か。全体的に忙しなくて見ていて疲れるな」
マディソンは馬車の窓から行き交う人々を見つめ眉間にシワを寄せた
「ここは国の中心部ですから。ハルマスに比べると賑やかなのは仕方ないですよ」
ローレルは苦笑しながら、マディソンを諌める
そしてふと、馬車から街の様子を眺めた
(目に見えて悪くなっている訳ではないけど………私が辺境送りになった時よりも、活気がないような……)
ローレルは街全体が何処か元気のない様子に眉をひそめた
一抹の不安を感じながらも、ローレルはヴィノグラード城を目指す野だった
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ヴィノグラード城到着後
ローレルとマディソンは謁見の間へと通された
そして国王陛下であるアーノルド陛下が姿を現すと、慌ててローレルはマディソンに頭を下げるよう促した
「良い。楽にせよ」
アーノルドは笑みを浮かべ述べると、ローレルは顔を上げた
「遠路はるばるよく来てくれたローレル。そして、ハルマスの主よ」
労いの言葉をかけられ、ローレルは再び頭を下げる
そしてふと、周りを見渡した
アーノルドの周りにはオルグレンを始め、王族や高位貴族が顔を出していた
マディソンを見慣れているオルグレン以外の高位貴族達は、得体の知れないものを見るかのようにマディソンを見ている
そんな好奇の目に晒されているのを感じていると、アーノルドが口を開いた
「ハルマスの主、ヒースフィールドよ。そなたは死の森と言われるあの辺境の森を統べ、長きに渡り頂点に君臨していたと聞く。その功績を称え、そなたに爵位を授けよう…………ヒースフィールドよ。そなたは爵位を受け取るか?」
そうアーノルドに問われたマディソンは、気怠そうに答えた
「私は爵位など要らぬ。だが、ローレルの為になるのなら、仕方なく受け取ってやろう」
あんまりな物言いにその場にいた貴族達がざわめいた
ローレルは慌ててマディソンを諭す
「マ、マディソン様!!国王陛下に向かってそのような発言をしてはなりません!」
「何故だ?私は思った事を口にしただけだ」
全く悪気の無いマディソンに、ローレルが困り果てていると、アーノルドが声を上げて笑った
「はっはっはっ!流石は死の森の絶対王者。一筋縄ではいかないな」
愉快そうに述べると、続いてローレルに目線を向ける
「――――さて、ローレルよ」
「はい」
「そなたには、まず謝罪を述べねばなるまい。此度の我が愚息が独断で行った悪行、誠に申し訳なかった」
深々と頭を下げるアーノルドを見たローレルは驚きをあらわにした
「アーノルド国王陛下!どうか顔を上げて下さい!これは国王陛下の責任ではありません!」
「いや、息子の失態は親である私に責任がある。どうか謝らせてくれ。そのせいで、そなたには要らぬ手間をかけさせたのだから」
国王の言葉を聞き、ローレルはおずおずと尋ねた
「それは………新たな聖女探しの事でしょうか?」
「察しが良くて助かる。レイラに力がない訳では無いのだろう。しかし、今のセルニグルには以前程の加護を感じないのだ」
アーノルドは頭を抱え、小さく息をついた
「ローレルがハルマスの森で生きると決めた以上、それを咎めるわけにはいかぬ。早急に神官達と共に真の聖女を探してほしいのだ」
国王の願いを聞き、ローレルは頭を下げ口を開いた
「承知したしました。国王陛下とセルニグルの為、尽力致します」
真っ直ぐにそう述べると、アーノルドは大きく頷いた
「うむ―――――では最後に、ヒースフィールドに爵位を授与する」
そう言って立ち上がると、側近から爵位証書を受け取りマディソンの前に歩みを進める
そしてマディソンの前に立ちこう述べた
「マディソン・ヒースフィールド。これよりそなたをセルニグル王国ハルマスの辺境伯とする」
マディソンはアーノルドから差し出された証書をゆっくり受け取った
こうしてハルマスの主は死の森の辺境伯となったのだった




