↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
食人蔦に愛された聖女〜追放された聖女は死の森で居場所を見つける〜  作者: mai


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/40

第20話 妻の勘違い

それから数週間後


ハルマスの森には森の復興に励むローレルの姿があった


「――――――これでよしっ………と。これで元に戻ったわ」


ローレルは笑顔を向けると、苔の生き物が弾んで喜んでいる


あの火事の騒動の後

被害自体はそこまで大きく無かったものの、怪我を負った植物生物や、残念ながら焼けて無くなってしまった植物達も少なくはなかった


そんな傷付いた動植物を癒す為、ローレルは毎日祈りを捧げ、傷付いた動植物の手当てを行っていたのだ


(………これで大部分の動植物達の手当てをしたわ……後は皆の生きる力を信じるのみね)


ローレルが額の汗を拭いていると、後ろから誰かがやってくる気配がした


「やあ奥様、治療は捗っているかな?」

「ルシアン様!」


そこにいたのはひまわり頭の異形頭医師、ルシアンだった


「お陰様で、ゆっくりですが大部分の動植物達の手当ては出来ました」

「ここに奥様がいらっしゃって本当に良かった。もし居なかったら僕1人でやらなければなりませんでしたよ。森に残る決心をして下さって、ありがとうございました」


そう言ってルシアンはローレルに向けて頭を下げる


「いえ、そんな大げさな―――」


ローレルが否定しようとしたその時


シュルシュルシュル


突如、ローレルに蔦が巻き付いた


『私のものに手を出そうとするとは、いい度胸だなルシアン』

「マディソン様!」


見ると未だ小さな蔦の生き物の姿のマディソンが、ローレルの頭にしがみつき、1つ目をジトリとさせルシアンを睨みつけていた


ローレルは慌てて誤解を解こうとする


「そんな!誤解ですよマディソン様!ただルシアン様とお話していただけです。」

「そうだよマディソン。世間話すら、君は許さないのかい?」


ルシアンは腰に手を当て、呆れたように尋ねる

しかしマディソンは不機嫌なままだ


『…………フン。ローレルは気立てが良いからな。勘違いを起こされては困るのだ』

「もう!そんな間違いは起こさないですから、心配なさらないで下さいよ!」


嫉妬するマディソンに、ローレルは反論する


そんな2人の様子を、ルシアンは冷めた目で見つめている


「全く。仲を引き裂く真似なんてしないから安心しなよ。いろいろ苦労しそうだね奥様」


ルシアンに同情され、ローレルは苦笑を浮かべるのだった


―――――――――――――――――


その日の夜


ローレルの自室にて、マディソンは不服そうな表情を浮かべていた


『ローレルよ』

「はい。何でしょう?」

『私はハルマスの主なのだが?』

「ええ、知ってますよ?」

『では、これは何なのだ?』


そう言って蔦でマディソンが入れられている籠を指し示した


まるで愛玩動物でもいれるかのようにレースをあしらった小さな籠に、マディソンがちょこんと置かれている


「何って…………マディソン様のベッドです。普通のベッドじゃ広すぎるでしょ?」


さも当然のように言ってのけるローレルにマディソンは更に不満をあらわにした


夕飯時―――

共に食事を取っていたマディソンは、ローレルに夜、寝室を共にしたいという趣旨の申し出をしていたのだ


ローレルは快く了承し、現在に至るのだが――――

マディソンが思っていたものとは異なる展開に、彼は低く唸り声を上げた


『むう………私はミニマンドラゴラではないのだ。この様な籠は必要ない』

「けど、一緒に寝たいって仰ったのマディソン様ですよ?それならベッドは必要じゃないですか?」


一体何がいけないのか?とローレルは首を傾げる

それを見たマディソンは頭を抱えた


(………夫婦が寝室を共にするという意味を、そもそもローレルは理解していないのだな………)


マディソンはため息を付き、口を開いた


『ローレルよ。確かに私は同じ部屋で寝たいと言ったが、こういう事ではないのだ』

「そうなのですか?」

『ああ、つまり私は"ローレルとベッドを共にしたい"と言うことが言いたいのだ』


マディソンはローレルに分かるようにハッキリと説明した


それを聞いたローレルは目を見開き、動きが止まっている


(ふ…………やっと理解したな。穢れを知らぬローレルには少々衝撃が強すぎたか)


マディソンが少し満足げにしていたその時


「なんだ!そういう事なのですね?」

『ん?』

「もう!それならそうと初めから仰っていただければ良かったのに!」


そう言ってローレルがマディソンを持ち上げると、ベッドの枕元にそっと置かれ、その上にブランケット変わりの布がフワリとかけられた


「さあ!寝ましょうか!」

『いや、待て、ローレル。何も分かっていないではないか』

「おやすみなさいマディソン様」


ローレルは慈しむようにマディソンを撫でると、明かりを消しベッドに入ると、そのまま目を閉じた


(むむ……ローレルは完全に私の事をあの頃と同じ妖精だと思っているな)


マディソンは不満げな表情を浮かべスヤスヤと眠るローレルを見つめる


(ならばどういう事か分からせるまで。明日後悔するがいい)


ある事を企みつつ、マディソンはローレルにくっつくように眠りにつくのだった


――――――――――――――――――


次の日の朝


明るい柔らかな日差しが瞼に当たり、ローレルは目を覚ました


「んん………よく寝たわ……」


そして身をよじった時、なんだか違和感を感じる


何故か身動きが取りづらいのだ


(なんだか何かが私に覆いかぶさっているような――――――)


そう思いながら振り返った瞬間、ローレルの動きが止まる


目の前にあったのは男の胸板だった

そして恐る恐る上を見上げると――――それは人間姿のマディソンだったのだ


「!?!?!?!?」


状況を飲み込めないローレルは混乱する


(なっ!?ななななななんで!?なんでディソン様人間の姿に戻ってるの!?)


慌てて抜け出そうとしたその時


マディソンがローレルの身体を抱き寄せた


「動くな」

「ひえっ……!」


耳元でボソリと低く呟かれ、ローレルは動きを止めた


「マ、マディソン様………?」

「なんだ?」

「起きてます……よね?」

「ああ」

「あの……いつの間に、人間に戻ったんですか?」


ローレルが恐る恐る尋ねると、マディソンは愉快そうに笑みを浮かべた


「ああ。数日前から元に戻れるだけの力は付いていたのだ。だから昨日、ローレルの寝室に来たわけだが…………どうやら我が妻は些か純粋過ぎたようだ。夫を妖精扱いして穏やかに寝てしまった」


マディソンから語られた言葉に、ローレルは見る見る顔を青くさせた


「あ……あれってその様な意味、だったのですか…………!?」

「如何にも」

「す、すみません。まさかあの姿でそんな事を求めてくるとは思わなくて………」

「良い。だから―――――」


そう言って起き上がりローレルをシーツに縫い止めると、マディソン怪しげな笑みを浮かべこう言った


「今からしようじゃないか。夫婦の交わりというやつを」


その言葉に、ローレルは見る見る顔を赤くした


「いっ…………今からは駄目です―――――――!!」


ローレルの必死な叫び声が屋敷にこだました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。