↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
食人蔦に愛された聖女〜追放された聖女は死の森で居場所を見つける〜  作者: mai


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/40

第15話 柔らかな髪

それから数時間後


喉が乾いたローレルはサイドテーブルに置かれた水が入った瓶に手を伸ばした


ところが


「―――あ!」


ガシャン!


手が滑り床に落としてしまったのだ


床には水と割れた瓶の破片が飛び散っている


「どうしよう……掃除してもらわなきゃ……後新しいお水も…………今パールは預けてもらってるから自分でやらなきゃ」


ローレルはのそりとベッドから出ると、リビーを探す事にした


部屋の扉を開けると、ぼんやりする頭でゆっくり廊下を歩く


「どこにいるかしら………」


段々ふぅふぅと息が上がるのを感じながらも、ローレルは前を歩き続けた


すると徐々に視界が揺れチリチリと目の前が霞み始めた


(あ……ちょっとマズい……かも)


そう思った瞬間、視界が完全に闇に包まれる


闇へと変わった直後、ローレルの身体を何かが支えてくれるような感覚を感じつつ、彼女は意識を手放した


――――――――――――――


何処かの遠い記憶の光景―――


幼いローレルが庭先にて、『妖精』と話をしていた


「―――それでね、みんなと誰が上手く隠れられるか勝負したの。そうしたら、私が最後まで見つからなかったんだよ?凄いでしょ!」


孤児院でしたかくれんぼの話を、ローレルは『妖精』に向け自慢げに話した

その時風が強く吹き、ローレルの柔らかな金髪がフワリとそよぐ

金の糸の様な髪に、『妖精』は思わず蔦を伸ばした


「妖精さん?」


ローレルが首を傾げていると、妖精は髪の先に蔦を巻き付けをクイクイと引っ張りだす


「どうしたの?私の髪が面白いの?」


そう尋ねると妖精はコクリと頷く


「妖精さんは髪無いものね。女の子はね、こうやって髪を伸ばすのよ。私はまだそこまで長くないけれど、もっと長くするの。綺麗に伸ばして、いつか誰かのお嫁さんになったら、旦那さんだけがそれに触る事が出来るのよ」


そう言うと幼い少女はませたように笑ったのだ


―――――――――――――――――――――


「―――――――ん……」


目を覚ましたローレルは薄目で目を開き、ぼんやりと一点を見つめた


(私の部屋……じゃない………?)


見覚えのない家具の配置にローレルは目を細めた


しかし、それと同時に顔の右半分に柔らかい温かみも感じ、その心地良さに思わずうっとりとする


するとふいに、髪を触られている感覚がした


スルスルと滑らせるように触れる感覚に、ローレルは先程見た不思議な夢を思い出す


「――――――妖精さん?」


思わず無意識に名を発した途端、その動きがピタリと止まった


不審に思い目線を上に向けると、マディソンが目を丸くしてローレルを見つめている


「マ……マディソン様!?……って事は私……………!」


ローレルはようやく自分の置かれた状況を理解していた


今までずっとマディソンの膝を枕にし、眠っていたのだ


ローレルは慌てて起き上がろうとした―――が、起き上がる前にマディソンに阻止されてしまった


「…………そのまま寝ているといい。先程の様に倒れられては困るからな」

「え?」

「覚えていないのか?廊下で倒れたのだぞ?」


そう指摘され、ローレルは水を持っていこうとしていた事を思い出した


「あ………!お水!それに瓶を割ってしまって――――」

「それなら心配ない。水はここに置いてあるし、片付けはリビーに頼んだ」


マディソンは気にするなと言わんばかりに、ローレルの頭を撫でる


まるでひたすら甘やかされているような状況に、ローレルはむず痒くなる


「あの……」

「何だ」

「普通に寝かせてくれませんか?恥ずかしいので…………」

「それは承諾できかねるな。こうして妻に安らぎを与えるのが私の幸せなのだ」


ふと、マディソンがローレルの頬をなぞるようにそっと触れた


「――――――っ!」


その指から愛おしさを感じ、発熱とは違う熱さが顔に集まって来た


「ローレル?また熱が上がったような気がするのだが――――」

「い、いえ!き、気のせいです!」

「そうなのか?やはり心配だからルシアンをもう一度呼んだほうが――――」

「呼ばないで下さい!何ともないので!本当に!」


必死の訴えに不審に思いながらも、マディソンが引き下がり、ローレルはホッと胸をなで下ろす


(化け物なのに、見た目も年上のおじ様なのに………!調子が狂っちゃう………)


ローレルはいつの間にかマディソンに心が掻き乱されている事に困惑するのだった


一方、マディソンもまた、心に秘めたものを隠していた


(あの時ローレルが口走った言葉…………もしや覚えているのか……?)


そう疑問に思いつつも、マディソンは敢えて尋ねずにいた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。